閃光浄化神聖拳~私の拳でこの世界を浄化しに行くわ!~

緑樹ユグ

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16話 「恵の記憶」

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…恵たちが城へ戻ってきた

恵たちの活躍は城全体、いや街全体に大いに届いておりその存在感はとても大きいものとなっていた

アスレチックを浄化したあと、一兵卒が来てその光景をブロマイドカメラで投写。そして部隊長へと届いていた

城へ戻り、早速それを見ている。こんなすぐに浄化をするとは思っていなかった。セント部隊長は驚く

「…本当によくやってくれた。これは王子にも通しておくよ。君たち、ご苦労だった」

セントが言うと恵は嬉しそうな表情で答える

「ふふーんすごいでしょ?これからも血漿族とかいうバカタレを始末してあげるんだから」

「次はバカタレですか?私たちは血漿族との戦いを続けます」

恵とロザリーは言う。この余裕、どこから出てくるんだ。セントはまた驚くことになった

「…とりあえず、今日はありがとう。また明日よろしく頼む」

気がつけばもう夕方近い時間だ。恵たち遊撃隊の仕事はここでおしまいだ

「うん!じゃあね~」

「セントおじちゃんばいばい」

5人は部隊部屋を後にする

「…俺、おじちゃんと言われた。俺…そんなおじちゃん…かな…」



5人は街に出た。今日は何か食べようか。そう思った恵たち

繁華街は相変わらず美味しい香りのする飲食店が多く、ここだけでも十分にお米が食べられそうだ

リミットはとても目を輝かして街を歩く。杏は美味しそうなにおいをかぎながら歩いていた

「わあ…いっぱい美味しそうなものがある~」

時刻は夕方過ぎ。もちろんこの時間帯に開くお店も多くどこも美味しそうだ

「そうだ。アタイの行きつけの美味しい料理がある店があるんだ。そこへ寄ろうか」

「いいわよ。お腹すいたわ」

杏が言うとカロフトはその店へと案内する

その店とはラーメン屋だった。豚骨ラーメンと言ったものである。麺が細くて濃厚なスープが堪能できる、ラーメンだった

ラーメン屋はカウンター席とテーブル席があり、恵たちはテーブル席に座った

ロザリー、リミットは初めての体験なのかとても美味しそうでワクワクしていた

…そんな中、恵はどこか不思議そうな顔をしている。注文を受けて待っているときにそういう顔をしていた

不思議そうな顔をする恵にカロフトは言う

「…どうしたんだい?」

「…うん?いや。なんでもないわ。…どこか懐かしい食べ物出るなって思ったの」

「ふうん?」

カロフトはこれ以上追求はしなかったが、『どこか懐かしい食べ物』というのはなんだか引っかかる言い方だ

もしかしたら恵はこの世界にいながらあまり小さいころの記憶が無い少女なのでは…とは思った

そう思ってたら注文したラーメンが来た。その香り、その美味しそうなスープにカロフト除くおお~と言った感じだった

「これがラーメンというのですか…」

割り箸を割り、いただく一同

「美味しそう!いただきまーす!ずるっ!…あちあち」

早速いただいているのはリミットだった。熱いラーメンなので火傷しそうになった

「こらこら、ふーふーしながら食べな」

そう言われるとリミットはゆっくり食べる

「…ずるっ…うん、美味しいわ」

恵は何かを思い出せそうな顔をしていただいていた。その顔、どこか不思議そうでカロフトはなんだろうと思っていた

「はぁ~温まる~ラーメンってそこまで食べないからさ」

「この麺をすする感じの食べる感じ…ちょっと礼儀正しくないですね」

杏は美味しくいただき、ロザリーはちょっと恥ずかしそうに言う

「あはは。ラーメンっていうのはすする音をたてながら食べるのが礼儀。恥ずかしくはないよ」

ここまで言うとカロフトはまた恵を見た。無言の顔で食べていた。美味しくないのだろうか?それとも何か思い出すのだろうか?

(恵…どうしたのだろう)

「もっと食べたいなー!」

おっと。リミットの声で我にかえった。カロフトは言う

「じゃあ替え玉頼むかい?この豚骨ラーメンはそういうのができるよ」

「ほんとー!?替え玉くださーい」

リミットが言うと黙って食べてた恵も言う

「私もいいかしら?」

何かあったのだろうか?だが、言わなくていいだろう。カロフトは言う

「替え玉、恵とリミットだな。…ところで恵、何を思ってラーメンを食べたんだい?」

美味しくて楽しいひとときだろうが、あえて言ってみた

「うん。私って、一番最初の思い出はロザリーのいた街の樹木…じゃなくて神に紋章を与えられた場所だったの」

…その話を聞いてロザリー以外はぽかんとした

「あんた…子供のときの記憶、ないの?」

「うん無いわね」

杏の質問に即答する恵

「お姉ちゃん趣味とか?大好きな食べ物はあるの?」

「ううん。全くないわ」

リミットの質問にも即答する恵

「じゃあこのラーメンを食べてたら思い出が蘇ったってことかい?」

「…それは…ごめんね、ちっともわからない」

わからない…その言葉が出てきたとは

血漿族の前では強くて頼もしい恵が見えた。しかし、今の恵は記憶喪失なのかよくわからない、一人の少女がいた

「まあ…この話は止めよう。今の恵がいるだけ十分だ。いずれ記憶が出てくるかもしれない。そうだろ?恵?」

カロフトに言われて恵は真顔だった表情に笑顔が出てきた

「…うん!今を生きればいいと思うわ!だって私は選ばれたんだから。血漿族を滅ぼすために!」

「頼もしい恵。これからもずっとよろしくお願いしますね」

そう言うと替え玉が来た。替え玉の皿をラーメンの器に入れる。まだ食べられるのだろう

「…あ!アタイ替え玉頼むの忘れてた!すいませーん!」

「私も替え玉ほしいです」

「アタシも!カロフト頼んで!」

「あんたらもかい!?」



美味しくいただいたラーメンを食べた恵たち

ようやくお腹が満腹になったのか、会計を払って外に出た。すっかり夜になっていた

「美味しかった~!カロフトお姉ちゃんまた来よう!」

「ああそうだね。みんな帰ろう」

「ええ。お風呂に入って寝ましょう」

5人は明日もあるであろう任務に備えて家に帰ることになった


ヴァルキュリアの夜

賑やかで夜はこれからも続くような気がした

続く

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