おれの守護霊疫病神。隣の席は巫女だし邪神と戦う準備できた

根本美佐子

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第二章

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 食欲もない。せっかく父さんがコロッケを作ってくれたのに、あとで食べると言って、ベッドの上で胎児のようにうずくまった。
 脳が強制終了するみたいに、いつの間にか寝ていて、目が覚めた時ベランダを見たら、月を眺めるパキネの後ろ姿があった。
 ベランダの窓を開けると、赤い瞳のパキネが振り返って、困ったようにニコっと笑った。どんな表情をしていても可愛い。成長するにつれてその可愛さには磨きがかかり、疫病神なんかじゃなくて、普通の人間だったら芸能人とかモデルとかインフルエンサーとかすぐになれたと思う。
 けど、パキネは俺の守護霊で疫病神なんだ。
「ブン、レナのこと好き?」
「嫌いじゃないけど、まだパキネが見えるくらいには本気で恋してない。でも、大切だよ」
「そっか。でも、ごめんよ。一度かけてしまった呪いをすぐに解くことは呪いをかけたあたしにも出来ないんよ」
「その、呪われるとどんなことが起きるの?」
「いつもブンにしてきた悪戯みたいな小さな呪いと違って、今回レナにぶつけちゃった呪いはブンの命を守ろうとしたあたしの最大パワーの術で、最高級の呪いと同格の力がある術だったの。ルキみたいな天使は術を発動する時に祈りや願いで主を救うんだけど、あたしは疫病神だから負のパワー、つまり呪いとか恨みで術が発動されるんよ。そんな術をモロに受けたレナは少なくとも三年は不幸のどん底に落ちるかもしれない」
 高校生活がずっと不幸のどん底。想像できそうで全然意味が解らなかった。
「でも、安心して」
パキネは前髪をいつも上げるために使っている白いクリップを取り外した。
前髪のあるパキネを初めて見た。新鮮で可愛くて、思わず唾をのみ込んだ。
クリップはパキネの手の中でA5用紙ぐらいの紙に変化した。
「これにブンの名前を書けばレナは今日の骨折だけで、あとはいつもの日常に戻れるの」
「ほんと?」
「うん。だけど、ブンの血で書かないといけないんだ」
「わかった」
 俺は机の引き出しからハサミを取り出した。親指の先を少し切るつもりだった。けど、パキネは、そっとハサミを持った俺の手を握りしめで、首を横に振った。
「一番痛くなくて血が出せるのは唇の内側なんよ」
「だけ……ど」
 信じられないことが起きた。パキネが俺にキスしていた。尖ったパキネの八重歯が俺の唇の裏をプチッと小さく噛み口の中に鉄臭さを感じた。
「書いて」
 パキネの唇に、俺の血がついてた。
 本当にキスしたんだ。
「うん」
 唇の内側の血を吸って、血を人差し指ですくい、パキネに渡された真っ白な紙に一生懸命綺麗な字で書こうとしたけど指じゃ上手く書けなかったけど俺は『時田文太』と書いた。
「うわ。字汚っ!」
「うっせ」
 パキネは口をモゴモゴさせ、唇の裏を噛んだのか、溢れ出た血を指で取って、下手くそな俺の字の隣に『パキネ』と、汚い字で書いた。
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毎日投稿をこころがけ、一月中に完結させて!キャラ文芸大賞がとれるように頑張ります!男性向けとしていますが、女性も楽しめる内容になっています!一巻分では二体の邪神を倒し、最終的には七体の邪神を全部倒しながら、恋愛ファンタジーとして長編小説となります。書籍化、コミカライズ化、メディアミックス大歓迎です!応援よろしくお願いします!
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