おれの守護霊疫病神。隣の席は巫女だし邪神と戦う準備できた

根本美佐子

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「レナ!」
 ルキが俺を急いでどかした。俺は上半身だけ振り返りレナちゃんを確認すると、手首がみるみる赤く腫れあがってきていた。
 絶対、骨が折れているとすぐに思った。
 目の前には痛みに震えるカノジョ。上を見上げれば女の子が街灯の上で声をあげて泣いていた。もう灰色の炎に覆われていない。
「ブン!」
「なんでだよ……」
 なんだ?この気分の悪さ。悪霊が乗り移ったせいか?
「なんで俺を守護しなかったんだよ!お前の仕事だろ!この……やく」
 疫病神。
 酷いことを言いそうになった。本当のことだけど、立派な罵りの言葉だ。
 けど、それより早く、俺はパキネに強くビンタされた。正気が戻って来る感覚と、体から灰色の炎が消えていく。
「ブン、大丈夫?」
「レナちゃん!」
 パキネの言葉を無視してしまった。正気になったら、街灯の上で大泣きする女の子より、横で、腕を腫らしているレナちゃんのことが一番心配だった。
 横で、呆然と立ち尽くすパキネに何か言わなきゃいけなかったはずなのに、俺はレナちゃんに釘付けになっていた。ふわふわと、小さな悪霊が集まってきて、レナちゃんを狙っているみたいだった。けど、ルキが片っ端から腕を振り回し、憑りつこうと寄って来る悪霊を煙にして消していった。
「悪霊が群がってきている!電球の上のあの子もいつまた憑りつかれるかわからない!ブン殿!パキネ殿とここから離れてくれ!」
「なんで?」
「わからないのか?パキネ殿が守護の術を発動させようとしたのをレナが止めてしまった!それゆえにパキネ殿が使う特殊な疫病神の術がレナに当たってしまったんだ!」
「どういうことだよ!」
「事故だが、今レナは疫病神に呪われた状態なんだ!」
 パキネが、レナちゃんを呪った?
「あたし、そんなつもり、なかったんよ。レナが飛び出してきて、それで……」
「今はそんなことどうでもいい!早く二人とも離れろ!」
 ルキが、悪霊を煙にしても、その煙同士がまた個体に変わる。悪霊がどんどん大きくなっている。
「パキネちゃんごめんなさい!ブンくんを連れて離れて!」
「あたし、あた、あたし……あたしはただブンを……」
 俺はパキネの腕を掴んで、救急車が見えたので、公園の入り口まで走った。
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