53 / 66
53
しおりを挟む
明日が金曜日。どうするか二人で学校で話し合うべきなんだろうか?でも、それじゃあパキネにもルキにも話が筒抜けになる。出来たらメッセージでなにもかも決めた方が、パキネがこれ以上傷つかないんじゃないかって、思ってスマホをポケットから取り出して、ハッとなった。
パキネはまた勝手にテレビをつけて、興味もないだろうスポーツニュースを見ていた。
俺は確かに今思った。パキネがこれ以上傷ついてほしくないと、頭の中では今、パキネが傷ついているってわかってたのに、鈍感になっていた。
レナちゃんとデートしてうっかりレナちゃんを好きになったら、パキネが見えなくなる。それが明日かも明後日かもわからない。いつ、俺がパキネを見えなくなるかわからない不安定の中にパキネはいるのだ。
不安で傷ついている。気が付いているのにレナちゃんとデートに行ってもいいのか?
「あたしな、疫病神だから一緒にいるとどうしてしても今までブンが困ってる姿みて満足してたんよ。毎回引っかかってくれて、文句は言うけど、あたしのこと嫌いにならないブンに甘えてたんよ」
甘えって愛情表現だったのかな?今訊けばいいのに、照れが邪魔をして訊けなかった。
でも、それって好きな子には意地悪したくなるとか、そういうことなのか?
「おしゃれするって楽しいんやろうね」
「パキネはその服意外に着替えられないの?」
「うん。一緒に成長する便利で地味で、疫病神らしい灰色のこの服だけしか着れんようになってるんよ。あたし髪だって伸びないでしょ?呪いの日本人形は髪伸びるのにズルいよね。あたしなんてずっとおかっぱで、前髪もおろせんのよ」
「オデコだしてんのかわいいと思うけどな」
「……ありがと」
そう言った、パキネの耳の先端が赤くなって、可愛いなって思った。
目の前にいる疫病神は、世界で一番可愛いと思う。だけど見える人は限られていて、触れられる人も今のところ生きてきてレナちゃんとルキぐらいだ。
ずっと一緒に居たい。この先も、面白おかしく一緒に居られたら、別に一生童貞でもいい。けど、邪神っていう神であり妖怪でもある最強の存在から、俺はパキネを守らないといけない。
パキネはまた勝手にテレビをつけて、興味もないだろうスポーツニュースを見ていた。
俺は確かに今思った。パキネがこれ以上傷ついてほしくないと、頭の中では今、パキネが傷ついているってわかってたのに、鈍感になっていた。
レナちゃんとデートしてうっかりレナちゃんを好きになったら、パキネが見えなくなる。それが明日かも明後日かもわからない。いつ、俺がパキネを見えなくなるかわからない不安定の中にパキネはいるのだ。
不安で傷ついている。気が付いているのにレナちゃんとデートに行ってもいいのか?
「あたしな、疫病神だから一緒にいるとどうしてしても今までブンが困ってる姿みて満足してたんよ。毎回引っかかってくれて、文句は言うけど、あたしのこと嫌いにならないブンに甘えてたんよ」
甘えって愛情表現だったのかな?今訊けばいいのに、照れが邪魔をして訊けなかった。
でも、それって好きな子には意地悪したくなるとか、そういうことなのか?
「おしゃれするって楽しいんやろうね」
「パキネはその服意外に着替えられないの?」
「うん。一緒に成長する便利で地味で、疫病神らしい灰色のこの服だけしか着れんようになってるんよ。あたし髪だって伸びないでしょ?呪いの日本人形は髪伸びるのにズルいよね。あたしなんてずっとおかっぱで、前髪もおろせんのよ」
「オデコだしてんのかわいいと思うけどな」
「……ありがと」
そう言った、パキネの耳の先端が赤くなって、可愛いなって思った。
目の前にいる疫病神は、世界で一番可愛いと思う。だけど見える人は限られていて、触れられる人も今のところ生きてきてレナちゃんとルキぐらいだ。
ずっと一緒に居たい。この先も、面白おかしく一緒に居られたら、別に一生童貞でもいい。けど、邪神っていう神であり妖怪でもある最強の存在から、俺はパキネを守らないといけない。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
懐古百貨店 ~迷えるあなたの想い出の品、作ります~
菱沼あゆ
キャラ文芸
入社早々、場末の部署へ回されてしまった久嗣あげは。
ある日、廃墟と化した百貨店を見つけるが。
何故か喫茶室だけが営業しており、イケメンのウエイターが紅茶をサーブしてくれた。
だが――
「これもなにかの縁だろう。
お代はいいから働いていけ」
紅茶一杯で、あげはは、その百貨店の手伝いをすることになるが、お客さまは生きていたり、いなかったりで……?
まぼろしの百貨店で、あなたの思い出の品、そろえます――!
夢の中でもう一人のオレに丸投げされたがそこは宇宙生物の撃退に刀が重宝されている平行世界だった
竹井ゴールド
キャラ文芸
オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー
平行世界のオレと入れ替わってしまった。
平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
Sword Survive
和泉茉樹
ファンタジー
魔法が科学的に解析されている世界。
高校生で、魔法を使う素質が低いと認定されている都築睦月は、ある時、不思議な少女と出会う。
幻だと思っていた少女は、実際に睦月の前に現れると、超高位の魔法使いの遺産であるとされる「聖剣」そのものとなり、ここから睦月は騒動に巻き込まれていく。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
恋愛が運命を決めないとしたら平和かもしれない
三谷朱花
キャラ文芸
茜はある本を読みたいと思ったことをきっかけに前世の記憶が戻ってきて、この世界が茜の知っている前世の世界とは違うことに気付く。この世界は、恋愛の概念がない世界で、「好き」も「不倫」も「略奪愛」も存在しえない。だからその本も存在しない。前世の記憶を思い出したことから茜の平穏だった生活に変化も出てきて、茜の思わぬ方向に…。そんな中でもその本を読みたい茜と、周りの個性的な人々が織りなすお話。
※アルファポリスのみの公開です。
※毎日大体夜10時頃に公開します。早かったり遅かったりしますが、毎日します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる