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それにレナちゃんを恋人にしたほうがいいと後押ししたのも、以前「どうせ、好きになっちゃうよ」と言ったパキネのことを思い出すと、まだ否定したくなる。
恋人って関係を築いたってだけで、好きとは違うって。
でも、今そう伝えてもパキネがはぐらかすような気がして、言うのは今じゃないって躊躇してしまった。
放課後も、家でも、授業中や学校にいる間も、隣にいるのはパキネだけど、反対隣にはレナちゃんがいる。
ルキは僕とレナちゃんの交際に反対して、必死に「別れてくれ」って言ってる。天使ゆえに、幸せや困っている人に助けを授けることしか能力のないルキは、パキネに「疫病神なんだから二人を別れさせるのなんて、溜息一つで出来るだろう?」と、パキネを焚きつけようとしていたけど、最近のパキネは溜息どころか吐息一つ吐かなくなった。
平凡な日々が過ぎていく。入学したての時みたいに邪神が襲ってくることも何故かなかった。まるで、邪神だと思っていた厄は、本当にただ厄日という偶然だったみたいに思えるほど、平和だった。
学校が終わって家に帰り、部屋のベッドに横たわった。特に疲れるようなことなかったのに、レナちゃんと恋人になった途端、パキネは、僕の部屋でテレビばかり見ていた。
夕方のニュースをやたら真剣に見ているけど、邪神と何か関係があるんだろうか。
「そういえばパキネ」
「なんよ」
「前に電車に飛び込もうとした人助けようとして、ソイツの守護霊は何やってんだよ的なこと俺言ったじゃん」
「そうやっけ?」
「うん。そしたら、守護霊がいない人間もいるって言ったじゃん?でもそれおかしくないか?」
「なんよ」
「だって、守護霊って、死んだあとの就職先で人気な職業なんだろ?飽和状態とか言ってたじゃん?なのに守護霊がいない人がいるって変じゃないか?」
 パキネが鼻で溜息をついた。そして、気が付いてしまったか。って感じで僕を見つめてきた。
「レナも中学生くらいでルキが見えるようになったって言ってたでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「守護霊の試験……っていうか適性試験って結構シビアなんよ。だって霊になった女子中学生が、急に四十歳のオジサンの守護霊に任命されたって、本気で見ず知らずのオジサンの為に守護霊としてやっていけると思う?」
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