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レナちゃんは、俺の半開きの目を覗き込んできた。勘違いされやすいが、俺はいつも眠そうな顔をしていると言われる。だけど、これは父からの遺伝で、奥二重で瞼の皮膚にしっかりと脂肪がついているせいで、生まれつき眠そうでやる気のない人相なのだ。
「目だけって修行的なことで霊とか見えるようになるの?」
「なるけど、やっちゃっていいのかしら?」
「母親からは二重整形した方がいいってよく言われるんだけど、そういう感じ?」
「うーん。瞼の問題じゃなくて眼球の問題なのよ。凄く痛いけど、ルキは天使だから困っている人に必要なものを授けることが出来るの。霊が見えるようになる目とかね」
「どうだ!他人に不幸しか呼ばない疫病神とはスペックが違うのだよ!」
そんな力があったのかコイツ。ただレナちゃんに過干渉でうるさいだけかと思ってた。
「痛いってどのくらい?」
「私がやってもらった時は……そうね、目の中で鉛筆削りしているみたいな痛さだったわ」
滅茶苦茶痛そうじゃん。
「手加減してその程度。しかも巫女としての素質のあるレナだったからこそ、その程度の痛みで目を変えることが出来たが、ブン殿はそこで嗚咽している疫病神よりも気分を害すだろうなぁ!」
上下白の学ランを着ているルキを今までちょっと老けてる高校生くらいに見ていたけど、本当は前世がちゃんとあって、俺よりも長く魂が生きている年上の人間なのだとやっと思えた。厳密には人間じゃなくて守護霊だけど。
「視力が落ちるわけじゃないんだよな?」
「当然だ。俺がそんなへまをするわけないだろう!」
「でも天使になる試験五回も落ちたんだろ?」
「失敬な!四回だ!」
じゃあ五回目で合格したってことか。
「目の中にちょっと指先を入れて、術をかけるだけだ!何人もの人間で練習したんだ!失敗はしない!」
「何人も無関係の人で練習したせいで、この世には霊が見えちゃう人が誕生しちゃうのよね。まったく、迷惑な話だわ。自称霊能力者とか私幽霊見えるのとか言ってる人って、大体はルキみたいに天使になろうとした人の、たまたま練習台になった人なのよね」
レナちゃんにそう言われると、気を取り直すようにルキは咳ばらいをした。
「ブン殿は痛みに耐える覚悟はあるかね?」
「目だけって修行的なことで霊とか見えるようになるの?」
「なるけど、やっちゃっていいのかしら?」
「母親からは二重整形した方がいいってよく言われるんだけど、そういう感じ?」
「うーん。瞼の問題じゃなくて眼球の問題なのよ。凄く痛いけど、ルキは天使だから困っている人に必要なものを授けることが出来るの。霊が見えるようになる目とかね」
「どうだ!他人に不幸しか呼ばない疫病神とはスペックが違うのだよ!」
そんな力があったのかコイツ。ただレナちゃんに過干渉でうるさいだけかと思ってた。
「痛いってどのくらい?」
「私がやってもらった時は……そうね、目の中で鉛筆削りしているみたいな痛さだったわ」
滅茶苦茶痛そうじゃん。
「手加減してその程度。しかも巫女としての素質のあるレナだったからこそ、その程度の痛みで目を変えることが出来たが、ブン殿はそこで嗚咽している疫病神よりも気分を害すだろうなぁ!」
上下白の学ランを着ているルキを今までちょっと老けてる高校生くらいに見ていたけど、本当は前世がちゃんとあって、俺よりも長く魂が生きている年上の人間なのだとやっと思えた。厳密には人間じゃなくて守護霊だけど。
「視力が落ちるわけじゃないんだよな?」
「当然だ。俺がそんなへまをするわけないだろう!」
「でも天使になる試験五回も落ちたんだろ?」
「失敬な!四回だ!」
じゃあ五回目で合格したってことか。
「目の中にちょっと指先を入れて、術をかけるだけだ!何人もの人間で練習したんだ!失敗はしない!」
「何人も無関係の人で練習したせいで、この世には霊が見えちゃう人が誕生しちゃうのよね。まったく、迷惑な話だわ。自称霊能力者とか私幽霊見えるのとか言ってる人って、大体はルキみたいに天使になろうとした人の、たまたま練習台になった人なのよね」
レナちゃんにそう言われると、気を取り直すようにルキは咳ばらいをした。
「ブン殿は痛みに耐える覚悟はあるかね?」
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