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「パキネ殿が凄いのは、わかってるさ。だけど、俺レベルの守護霊じゃ、他の人まで守護出来る程の霊力も瞬発力も反射神経もない。悔しいが、パキネ殿の方が格上だって思い知らされたよ。でも、レナやブン殿には見えないだろうが、あそこにいた人間たちの守護霊は全員、蜂のせいで体勢を崩している彼女に気が付き、自分のパートナーを守護しようと身構えていたんだ。だけど、やっぱり矢はブン殿に向かってきた。可哀そうだが、ブン殿はパキネ殿といる限り、そういう運命にある……だから何度も言うが、本当ならブン殿たちと一緒にいるのは避けて欲しいのだ」
 ルキがレナちゃんを想ってそういうのも仕方がないことだ。俺の近くに居るってことは、疫病神がそばにいるってことと同じだもんな。離れて欲しいとか、一緒にいないで欲しいというのは、守護霊の思考から言ったら当たり前だろう。だけど、レナちゃんは、ウフフと上品に笑って言った。
「嫌よ。私、ブンくんのこと好きだもの」
 そう言ってレナちゃんは保健室のドアを開けた。

☆☆☆

 今日、生まれて初めて女子から「好き」って言われた。
「アレって告白だったのかな。なぁパキネどう思う?」
「どうってなんよ。なんであたしにそんなこと訊くんよ!」
「何怒ってんだよ」
 風呂に浸かっていたら、パキネが俺の顔面に向かって息を吹いて、珍しく浴槽に入ってきた。すると途端に、頬に貼っていたガーゼが落ちて浴槽に沈んでいった。
「服着たまま風呂に浸かるとか、行儀悪いぞ」
「じゃあ脱ぐ」
「いや、脱がんでいい。脱がんでいい」
「なんなんよ。ブンは煩悩とかないん?」
「ないわけじゃないんだと思う。好きとか女子に言われて今ちょっと、かなり、浮かれてるし」
 男子って単純に意識してなかった女子でも『好き』って言われたらそのことで頭一杯になるし、そこの子のことしか考えられない単純な生き物だと人生で初めて知った。
 でも、なんだか男としてレベルアップしたような気分だった。けど、問題は『好き』って告白に入るかそうじゃないかだ。
 レナちゃんはあの後、俺の足に大きめの絆創膏を二枚張ってくれた。けど、そのまま俺とパキネを保健室に残し、ルキと俺に矢を放ってしまった先輩と一緒に、一度廊下に出て行った。
長く感じたけど、体感二分くらいでレナちゃんとルキは戻ってきた。
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