おれの守護霊疫病神。隣の席は巫女だし邪神と戦う準備できた

１７

「大丈夫！食べ物はみんな食べちゃえば栄養！」
　悪気はないのだ。疫病神だから。悪気はない。つまり反省する気はないのだ。
「おやおやぁ？お弁当の中身が随分端っこに固まっておりますのう」
　俺の弁当を天使がクスクスと小馬鹿にするように笑いながら覗き込んできた。
「ブン殿は自転車通学でしたっけねぇ？いや、自転車のカゴにお弁当袋を入れてもここまで見事に偏ることなどないと思いますがのう！」
　本当に声でけぇなこの天使は。
「ルキ。人様の食べのものを馬鹿にするのはやめなさい。失礼だし、幼稚だわ」
　レナちゃんはまるで子供を、いや、犬を躾けているみたいな感じで、そう言うと、小さな四角いお弁当箱に並んだ二つのお握りのうち、お赤飯のお握りを手に取ると、口に入れた。　　　
小さな口。伸びた背筋。長い脚。白い肌。パキネより小さいけど、体のメリハリを象徴するみたいな形のいい胸。ベージュのカーディガンも、他の女子と違ってダボダボと大きいサイズではなく、体にフィットしたサイズ感で、それが凄く清楚に見えた。
　他の女子と違う。俺じゃなくてもわかるくらい。彼女を美人だと認識している人が多いのにも納得がいく。
それに、俺にしてみたら俺以外にパキネのことが見える唯一の人間でもある。
　初めて、パキネ以外の存在に特別を感じた。口数は少ないけど、言うことはキッチリ言っているし、さっきも学級委員長に他の女子が推薦したら「お断りします。私は推薦されるようなことしたかしら？本を読んでるからって真面目な人間だと思ったなら、偏見にもほどがあります。そんな私を平気で推薦する目立ちたがり屋がやった方がいいクラスになると思うわ」と言って教室中の人間が一瞬黙った。
　ムッとした推薦した女子が、何か言いたそうにしたけど、守護霊の天使が深い吐息を教室中に吹いた。
　すると「確かに、仕切り屋がやったほうがいいんじゃね？」とか「面倒だからって押し付けんなよ」と声が上がり、売り言葉に買い言葉って感じで、推薦してきた女子が「じゃあ、やってあげるわよ！」と座って脚を組み、ふんぞり返った。
　天使に守護されるっていいな。と、少し羨ましかったけど、自分よりイケメンでデカい声のコイツが四六時中いるのは嫌だなと思いなおした。パキネにオナニー見られるのも嫌だけど、ルキに見られるのも生理的に無理だ。