おれの守護霊疫病神。隣の席は巫女だし邪神と戦う準備できた

根本美佐子

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「私、珍しく守護の上級術使ったんよ?あれやるの凄く霊力使うんよ?感謝してよ!」
 昨日からそう言ってるけど、多分本当なんだろう。俺はあの後、両肩が重くて人生で味わったこともないような肩こりに襲われたのだ。
 それはまるで霊にとりつかれたように不自然な痛みだった。でも、それはパキネの霊力が一気に放出されて、パキネが自分で歩くことも出来ないくらいの大技の代償だったらしい。
 立てないというパキネを置いていくわけにはいかないと思ったので、おんぶして家まで連れ帰った。周りの人からは腰の曲がったお爺ちゃんみたいに見えていたと思う。
「それにしても厄日ってあるんですよ。人生には何度も。でも、随分デカい厄日に当たりましたねぇ。さすが疫病神が守護霊なだけあって、高校デビューも大成功ですのぅ」
 コイツ本当に天使なのかってくらい厭味ったらしい言い方で、イラっとしたけど、その程度だ。俺にとっては言い返すほどの価値もない苛立ちだ。
「こら、そんな言い方やめなさい。二流天使守護霊のルキと違って、パキネさんは凄いわ。ブンくんの命を救ったんだもの」
 頭の中に、レナちゃんの言葉が流れてくる。
 俺の見物客の生徒たちは、俺を見た後、大したことのないルックスにガッカリしていくけど、隣の席に座るレナちゃんの美しさに気が付いて、男子の野次馬は女子の野次馬と違って、教室を覗いたままの人が多かった。
 レナちゃんは美人だ。かわいいとは違う。高校一年生の色気じゃない。大人っぽいというか、ちょっと前まで中学生だったようには見えないっていうのが正しい。
「レナ!俺は二流じゃない!天使試験は四回落ちてやっと合格したけど、今は立派な天使で、君を守る守護霊!つまり王子様さ!」
 絶妙にこのルキって天使はウザい。なんだろう、テンションが高いとかそういうのもあるけど、自分に酔っているような発言がムカつく。
「ウケる。天使の試験四回落ちるとか、もはや堕天使じゃん」
 パキネの容赦ない言葉に、更にルキの声はデカくなった。
「堕天使とは失敬だぞ!俺はただ、生まれつき……」
「生まれつきなんよ。前世でなんかあったん?」
「う、うるさい!疫病神に話す身の上話などない!」
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