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「守護霊の霊力がある程度強いと、俺や、お前のような他人の守護霊が見えたり話しかけたりすることが出来るのだ。レナはそんな貴重な逸材なのだ!貴様は他人の守護霊を見えたのは何人目だ?」
「いや、お前が初めてだよ」
「それは嬉しくないが光栄だな。だがやはり!それだけ俺の霊力は強いということなのだ!」
 こいつ声でけぇな。喋り方も変だし、全身白い服だから目立つのに、誰もコイツを見ていないってことは、本当にコイツも守護霊なんだな。
「貴様たちの運ぶ不幸など、レナには効果を無くしてやるからな!」
「重い男。見たところ確かに天使だけど、私はプロの疫病神よ?あまり甘く見ないでね。精々私を恐れなさい!」
「やめろパキネ。関わるな。天使と疫病神だったら、お前のほうが分が悪い……んじゃないのか?」
 脳内で、パキネを諭し、隣の席のレナさんに軽く会釈した。天使のルキの言う通り。俺らに関わって幸せになることはないだろう。今までがそうだった。だからろくに友達がいない。でもパキネのことは恨んでいない。
「守護霊のランクは勝ち負けなのよ!そもそも天使は使い魔レベルの存在!その点、私は神よ!」
 胸の前で腕を組むから、谷間がくっきりとして見えて、なんかまたパキネの胸が大きくなったような気がした。言わないけど。
 すると、隣の席のレナちゃんが俺に申し訳なさそうに話しかけてきた。
「なんか、ごめんなさいね。私は中学二年生くらいにルキが見えるようになったんだけど、なんか過保護の守護霊で、まぁ色々守ってくれるみたいだから御祓いしてないだけなの。でも、彼この性格でしょ?ちょっと鬱陶しいけど、今日は高校生初日だから、なんかやけにイキっちゃってるけどで、根は小心者だから」
「そうなんだ。俺の守護霊は生まれつきいたからさ、結構大きくなるまで座敷童だと思ってた」
 俺とレナちゃんは、ちゃんと声に出して話したけど、中二病感が凄いから、他の人に聞こえないように小声で喋った。
「え、っちょっと待って。あなたこの天使、中学二年生の時に現れたん?」
「そうだけど……」
 パキネの問いに、口を開かずに、レナちゃんが答えると、パキネがルキを指さして、腹を抱えながら大笑いしだした。
「え、なに?どうしたの?」
「だってぇ、この天使、ドヤ顔で守護霊の天使とか言ってるけど、中途採用なんじゃん!」
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