3 / 66
3
しおりを挟む
彼女は俺と同じ速度で歳をとり、小学五年生にまでお互い成長した時だった。いつだって、どこにいても一緒。そんな日々は少しだけ形が変わった。夜、風呂上り、ベッドに入ろうとした時、いつもみたいにベッドにもぐりこんでくる彼女はベッドの横に立って、とても言いにくそうに「あのな。あたし、ブンの守護霊なんよ」とか言ってきた。
俺はいつもどおり頭の中で「へぇー」って言い返した。パキネとは声を出さなくても伝えたいと思ったことを、頭の中で話しかけるとテレパシーみたいに、お喋りすることが出来た。
だけど、俺と成長を共にしてきた彼女は思いつめたように寂しそうにしていた。
そして、意を決したみたいに。
「あたし、座敷童じゃないんよ。ブンの守護霊。だけど疫病神なんよ」
そう言って、泣きそうな顔をしていた。
「守護霊で、疫病神?なにそれ?」
「うん。普通の人の守護霊はな、だいたい死んだ人が新しい就職先として守護霊になるんよ。でもな、あたしは違うんよ。ううん。むしろブンが普通と違うんよ。守護霊が疫病神なんて、本当に気の毒」
あの時、守護霊とか、疫病神がどういうものか全然わかっていなかったし、子供の頃から彼女の存在を親は座敷童なんだからと、見えない彼女のことを気にもしていなかったし、俺も成長するにつれて、パキネの話を親にしなくなったから、子供の頃の幻ぐらいに思われていて、今も見えているとは言わなくなっていた。幽霊が見えるとか座敷童が見えるとか、そんなこと言ったら変奴だと思われると思ったからだ。
「疫病神ってことはわかったけど、今までとどう違うの?」
「ちょ、っちょっとだけ、不幸になるかも?」
「ちょっとってどのくらい?」
「信号が毎回赤になるとか……」
「なんだ。そんくらい気にしないって」
今はそれが間違いだったって思い知らされている。
あの夜から、俺の守護霊こと疫病神のパキネは思春期を迎え、俺と一緒のベッドで寝なくなった。だけど、あの夜の守護霊だけど疫病神ってカミングアウトされから、俺の人生には目に見えて不幸なことがついてまわるようになった。
そうやって日々を過ごし、高校生になっても、俺、時田文太。通称ブンは小さな不幸が人より多くつきまとう生活をずっと送っている。
俺はいつもどおり頭の中で「へぇー」って言い返した。パキネとは声を出さなくても伝えたいと思ったことを、頭の中で話しかけるとテレパシーみたいに、お喋りすることが出来た。
だけど、俺と成長を共にしてきた彼女は思いつめたように寂しそうにしていた。
そして、意を決したみたいに。
「あたし、座敷童じゃないんよ。ブンの守護霊。だけど疫病神なんよ」
そう言って、泣きそうな顔をしていた。
「守護霊で、疫病神?なにそれ?」
「うん。普通の人の守護霊はな、だいたい死んだ人が新しい就職先として守護霊になるんよ。でもな、あたしは違うんよ。ううん。むしろブンが普通と違うんよ。守護霊が疫病神なんて、本当に気の毒」
あの時、守護霊とか、疫病神がどういうものか全然わかっていなかったし、子供の頃から彼女の存在を親は座敷童なんだからと、見えない彼女のことを気にもしていなかったし、俺も成長するにつれて、パキネの話を親にしなくなったから、子供の頃の幻ぐらいに思われていて、今も見えているとは言わなくなっていた。幽霊が見えるとか座敷童が見えるとか、そんなこと言ったら変奴だと思われると思ったからだ。
「疫病神ってことはわかったけど、今までとどう違うの?」
「ちょ、っちょっとだけ、不幸になるかも?」
「ちょっとってどのくらい?」
「信号が毎回赤になるとか……」
「なんだ。そんくらい気にしないって」
今はそれが間違いだったって思い知らされている。
あの夜から、俺の守護霊こと疫病神のパキネは思春期を迎え、俺と一緒のベッドで寝なくなった。だけど、あの夜の守護霊だけど疫病神ってカミングアウトされから、俺の人生には目に見えて不幸なことがついてまわるようになった。
そうやって日々を過ごし、高校生になっても、俺、時田文太。通称ブンは小さな不幸が人より多くつきまとう生活をずっと送っている。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。


これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。


転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
妹に邪魔される人生は終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
公爵家の長女として生まれた私、エリナ・モドゥルスは、二卵性双生児の妹、エイナとは仲良くやってきたつもりだった。
無愛想な私と天使の様に可愛いと言われるエイナ。
周りからは悪魔と天使の様だと言われていたけれど、大して気にもとめていなかった。
私の婚約者である第一王子、クズーズ殿下との結婚を控えたある日、王家主催の夜会の休憩所で、エイナと殿下が愛を語らい、エイナが私にいじめられていると嘘を話しているのを聞いてしまう。
父に報告しようとパーティ会場に戻ろうとしたところ、エイナの専属メイドにより、私は階段から落とされる。
意識を失う寸前に視界に入ったのは、妹のエイナが、ほくそ笑む姿だった。
運良く助かった私は、記憶喪失のふりをして、身の安全を確保しつつエイナの本性を暴くと決めた。
婚約者は婚約者で、見舞いに来たくせに、エイナの話ばかり。
そんな婚約者なんていらない。
それなら妹がいらないと言っている冴えない第二王子殿下と婚約するわ!
※2024年1月下旬に書籍化が決まりました。
※現在はifバージョンを更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる