おれの守護霊疫病神。隣の席は巫女だし邪神と戦う準備できた

根本美佐子

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 彼女は俺と同じ速度で歳をとり、小学五年生にまでお互い成長した時だった。いつだって、どこにいても一緒。そんな日々は少しだけ形が変わった。夜、風呂上り、ベッドに入ろうとした時、いつもみたいにベッドにもぐりこんでくる彼女はベッドの横に立って、とても言いにくそうに「あのな。あたし、ブンの守護霊なんよ」とか言ってきた。
俺はいつもどおり頭の中で「へぇー」って言い返した。パキネとは声を出さなくても伝えたいと思ったことを、頭の中で話しかけるとテレパシーみたいに、お喋りすることが出来た。   
だけど、俺と成長を共にしてきた彼女は思いつめたように寂しそうにしていた。  
そして、意を決したみたいに。

「あたし、座敷童じゃないんよ。ブンの守護霊。だけど疫病神なんよ」

 そう言って、泣きそうな顔をしていた。
「守護霊で、疫病神?なにそれ?」
「うん。普通の人の守護霊はな、だいたい死んだ人が新しい就職先として守護霊になるんよ。でもな、あたしは違うんよ。ううん。むしろブンが普通と違うんよ。守護霊が疫病神なんて、本当に気の毒」
 あの時、守護霊とか、疫病神がどういうものか全然わかっていなかったし、子供の頃から彼女の存在を親は座敷童なんだからと、見えない彼女のことを気にもしていなかったし、俺も成長するにつれて、パキネの話を親にしなくなったから、子供の頃の幻ぐらいに思われていて、今も見えているとは言わなくなっていた。幽霊が見えるとか座敷童が見えるとか、そんなこと言ったら変奴だと思われると思ったからだ。
「疫病神ってことはわかったけど、今までとどう違うの?」
「ちょ、っちょっとだけ、不幸になるかも?」
「ちょっとってどのくらい?」
「信号が毎回赤になるとか……」
「なんだ。そんくらい気にしないって」
今はそれが間違いだったって思い知らされている。
 あの夜から、俺の守護霊こと疫病神のパキネは思春期を迎え、俺と一緒のベッドで寝なくなった。だけど、あの夜の守護霊だけど疫病神ってカミングアウトされから、俺の人生には目に見えて不幸なことがついてまわるようになった。
 そうやって日々を過ごし、高校生になっても、俺、時田文太。通称ブンは小さな不幸が人より多くつきまとう生活をずっと送っている。

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