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しおりを挟む「そうか。翠もそんな感覚を知ったのか。」
ココアを一口飲んだ母は話し始めだ。
「俺はね善孝と初めて会った時はもーそりゃあ衝撃的なできごとだったよ。
あいつさ、少し強引な所あるだろう?
初めて会ったのは就職して2年目の時でね、少し大きなクライアントを担当してたんだ。」
母はΩでありながら大手企業に就職し、デザイナーをしていた。
僕ほどではないが母もフェロモン過少で発情期も短く年に2回~3回程度だったらしい。
そのおかげで休んでも風邪と誤魔化し周りも疑わなかったとか。
「取り引き先の担当が善孝でね、初対面で『君は俺の運命の番だ!』て、皆んなの前で言うもんだから焦って焦って。
そこからは善孝のプチストーカーの始まり。
家にまでついて来たりもあったな。
何度も俺はβだって言っても聞かないんだよ。」
お父さんなんか凄いな。
もうそれプチじゃなくて完全なストーカーだよ。
「でもある日突然発情期になって今までとなんか違うから会社を早退して帰ることにしたんだけど、丁度、善孝と遭遇してね、一気にフェロモン放出したってわけ。その時思ったよ、『あ、この人が欲しい』てね。
最初は“Ωの本能だ!”で認めたくなかったんだけど発情期の俺を車に乗せて家まで送ってくれたんだ。
その時の善孝は自分の理性と戦っていて震えてたよ。いつだって噛めたのにね。
まー、そこからは俺が折れて番になったてわけ。
正直怖かったよ。
いきなりの運命の番発言。
いつもと違う発情期。
周りに知られること。
αの存在。
全部怖かった。
でも善孝がいてくれて俺は今の自分がいる。
翠や瑞樹だっている。
凄く幸せなんだ。」
だから怖がらず向き合えばいい。
翠には俺達、家族がいるんだから。
母のそんな言葉になんだから気持ちが楽になった気がした。
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