103 / 106
会田鉄夫と会食
人間ドラマ
しおりを挟む私は兼ねてから疑問に思っていたことを宇宙の教主でもある会田鉄夫に尋ねることにした。
「人間ドラマってのは何かねえ。どうして人はちゃんとした人間ドラマに引き寄せられるんだろうか」
「人生指南ってことなんじゃないかなぁとは思う。結局、人はこういう小説を通して『いかに生きるか』『人生の意味』というものを探求しようとしているんだよ」
「なるほど。自分も気になるしね。だから、小説というのは少なくとも人生の写し鏡と言っても、過言ではないだろうね」
「うん。リアリティともいうけれども、人間ドラマを描くことによって、変な「生々しさ」が生まれるだろう。それがリアリティとなって、人々の記憶に残るんだよ」
「なるほど」
「でも、そのリアリティというのは、真実らしさってことだろうね」
「それ、アシモフの『宇宙心理学』みたいなものかね」
「読んだことがないけどそうだろうね。まあ、法華経には全てがあるから……君も読んだほうがいいよ」
「実は、すでに読んでいるんだけど、読み込みが足りないのかもなあ。しかも、段々、最近の俺って、旧約聖書に引き寄せられて行っているし」
「それもまた人生だろうけどね。つまり、移気ということで」
「前々から、俺は三日坊主だからね」
「三日天下と三日坊主は良くないけれども。そういえば最近、瞑想やってんの?」
「あ?全然、やってないけど。とにかく、今は旧約聖書を読みたいね。あと、最近、ps2のアンリミテッドサガっていうゲームにハマっている」
「あれは面白いけどね」
「うん」
「それはそうと、私の周りの情報筋で、四条夏生が生きていた、という話を聞いたんだが」
「それは大変だ。あの女のことだから、政府転覆などを考えているに違いあるまい」
「俺たちはいわゆる親の仇だからな」
「そうだよ。どうするんだよ」
「わからないが、もうそこは胆力で何とかするしかないな」
「今、俺にできることは何だろう」
と、私が考えるとパッと思い浮かぶことは、散歩をすることと、A子さんのスナックにゆくことであった。エロスのようなものに飢えていたからである。そもそも、エロスこそがまさに人間ドラマでもあるのだ。ややこしいことに。
あるいは、漫画喫茶に行って、「ゴッドサイダーセカンド」を読んでもいいだろう。あれは、神様関係が好きな人なら、絶対に心に刺さる漫画であり、皆さんにもこんな小説を読んでいないで、是非、お薦めしたい逸品である。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる