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最終章
最終回 1 全ては夢だったエンド
しおりを挟む「はぐわっ」
私は目が覚める。時計を見ると、2021年4月10日になっている。おかしい。今は、3000年ではなかったのか。
部屋の中はいつもの私の部屋である。もっとも、3000年だってそんなに大した代わり映えはなかったのであるが、そうか。やはり、あの機動兵士とかは夢だったのか。
私はパジャマからTシャツに着替えて、階段を降りる。すると、四条夏生が鼻歌を歌いながら、エプロンをかけてフライパンをゆすっていた。
「あら、あなた、今日は遅いのね」
「うーん。何かさ。ものすごく長い夢を見たような気がするんだよ」
「ふううん。どんな夢」
「うーんと、何だか、ややこしくて、説明できないんだ」
「そうなんだ」
「うんしょ。うんしょ。うんしょ」
「あら、秋葉!」
四条秋葉がミルク瓶を運んでいた。
「今日もウーバーイーツ頑張んなくちゃ。あ、お兄ちゃん、おはよう!」
というとドアを開けて出てゆく。私は、目玉焼きを食べながら、昨日書きかけた書類のことを思い出す。
「あれ、完成させないとヤバいな」
「シズマ君。しばらくは何もしないでいいから」
「そうなの」
「うん。あたし、最近、ダイエット本出して、ブームになっているから」
「へえ。そうなんだ。どんな?」
「機動歩兵ダイエットっていうの」
「うん?」
「ダンボールを被ってロボットになり切って部屋の中をうろつくダイエットなのよ」
「そうか。何か、ひっかかるな」
しばらくして、私は背広に着替えて玄関のドアを開ける。
「行ってくるよ」
というと道路脇の歩道を歩く。何かが違ってしまっているような、別の世界線にいるような、フラフラした気持ちであるが、これも気のせいだろうと駅に向かって歩き出した。 完
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