上 下
91 / 106
最終章

最終回 1 全ては夢だったエンド

しおりを挟む

「はぐわっ」

    私は目が覚める。時計を見ると、2021年4月10日になっている。おかしい。今は、3000年ではなかったのか。

 部屋の中はいつもの私の部屋である。もっとも、3000年だってそんなに大した代わり映えはなかったのであるが、そうか。やはり、あの機動兵士とかは夢だったのか。

 私はパジャマからTシャツに着替えて、階段を降りる。すると、四条夏生が鼻歌を歌いながら、エプロンをかけてフライパンをゆすっていた。

「あら、あなた、今日は遅いのね」
「うーん。何かさ。ものすごく長い夢を見たような気がするんだよ」
「ふううん。どんな夢」
「うーんと、何だか、ややこしくて、説明できないんだ」
「そうなんだ」
「うんしょ。うんしょ。うんしょ」
「あら、秋葉!」

   四条秋葉がミルク瓶を運んでいた。

「今日もウーバーイーツ頑張んなくちゃ。あ、お兄ちゃん、おはよう!」

  というとドアを開けて出てゆく。私は、目玉焼きを食べながら、昨日書きかけた書類のことを思い出す。

「あれ、完成させないとヤバいな」
「シズマ君。しばらくは何もしないでいいから」
「そうなの」
「うん。あたし、最近、ダイエット本出して、ブームになっているから」
「へえ。そうなんだ。どんな?」
「機動歩兵ダイエットっていうの」
「うん?」
「ダンボールを被ってロボットになり切って部屋の中をうろつくダイエットなのよ」
「そうか。何か、ひっかかるな」

   しばらくして、私は背広に着替えて玄関のドアを開ける。

「行ってくるよ」

  というと道路脇の歩道を歩く。何かが違ってしまっているような、別の世界線にいるような、フラフラした気持ちであるが、これも気のせいだろうと駅に向かって歩き出した。  完

       
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

達也の女体化事件

愛莉
ファンタジー
21歳実家暮らしのf蘭大学生達也は、朝起きると、股間だけが女性化していて、、!子宮まで形成されていた!?

えっちのあとで

奈落
SF
TSFの短い話です

処理中です...