90 / 106
機動兵士 4
永続的恒久宇宙平和
しおりを挟む「永続的恒久宇宙平和超越神仏。
それが僕の本当の名前さ」
と男の声が呟いた。私は、この男が誰だかわかったのである。
「会田鉄夫!」
「そうだよ。我が友よ」
「まさか君がそこまで凄い男になるなんて」
「思っても見なかったかい?」
「うん」
「それにしても誰があんな機動歩兵を作ってくれたんだよ」
「クラウドファンディングで資金を集めて、有志たちが作ってくれたんだよ」
「凄いなあ」
「ちょっと、話そうか」
「うん」
白い蓮の葉の上に、私と会田鉄夫は立って笑顔で再会する。
「この蓮華ガルダンは最高だよ。こいつのおかげで、誰も戦争は起こせなくなるだろう。ようやく平和が訪れたんだよ」
「おめでとう。というか、ありがとうかな。でも、みんな、認めてくれるかな」
「私だけではダメだろう」
「その通りだ!」
いつの間にか、チャーリー・パイナップルが立っている。手には、ハンドガンを持っているではないか。
「チャーリーさん。無駄なことだよ。僕は、君を統一世界政府の大統領にして、新しい世界を君とともに築こうとしているからさ」
「何だって」
「君ほど愛されている人はいない。だから、君が存命中には、世界は回ってゆくと思う。いわば、君は人柱にならなくてはいけないのだよ。それでも良いのか」
「ふっ。その話をもっと早く聞きたかったな」
と、呟くと、チャーリー・パイナップルは倒れる。そして、喀血した。
「ど、どうしたんですか」
私は助け起こす。
「オムロンとの戦いで、奴の攻撃が……効いていたのだよ」
「手当てをしなくては」
「ダメだ。私の命は助からない……しかし、これで世界平和はしばらくの間だけでも、保てるな……グハッ」
チャーリー・パイナップルはそう言うと死んでいったのであった。
「チャーリーさん……」
私は虚空に向かって叫ぶ。会田鉄夫は敬礼する。
「これから俺たちで、世界をまとめなきゃいけないな。これは一仕事だぞ。勿論、戦いも起こるし人も死ぬ。それに耐えられるかな」
「俺はいつだって、その場の流れで最良と思うところを選んで、生きてきた。鉄夫よ。今度も、君の風に乗ることにするよ」
「ありがとう。お互いに頑張ろう」
宇宙空間に輝く白い蓮は、我々の世界の……いや、宇宙の永続的恒久平和の刻(とき)の到来を高らかに伝えているのであった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる