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機動兵士 4
ニューガルダン
しおりを挟む一方、チャーリー・パイナップルはどうなっているかというと、彼は、派手に戦っている静馬達のところとは別に、機動兵士を大量虐殺している白い影を追っていた。
「奴に違いない」
白い影はデブリ帯に入り込むと、圧倒的な機動力で味方の機を次々と葬ってゆく。その中には、新兵も沢山いて当然のこと一人一人の顔を知っているチャーリーは心が痛んだ。それがそのまま叫びとなって、宇宙にこだました。
「やめろっ!」
「お前が言えることなのか。お前が戦争を起こしたんだろ」
「違う。私は、これ以上、戦争を起こさないために戦っているのだ」
「強い人間は、みんな、そんな理屈をこねる」
白い影はデブリ帯から現れる。気がついたら、チャーリーの周りの機は全て撃墜されていた。
「貴様にしても戦い続けているではないか」
「俺は生き残るために戦っている。ただ、それだけだ」
「理念ない生き方は人を不幸に導くぞ」
「違う。貴様のような理屈をこねる人間が人を惑わすのだ!」
ニューガルダン。その、スピードが数倍も速くなった白い機体は、背後に反重力バーニアという超兵器を備えており、青々としたテールライトでさえ追い付いていない印象を与えた。
チャーリーは、ブレムミュアエの両腕から、ビームクローを生やして、白い影に突撃する。しかし、ニューガルダンは白刃を振りかざして、クローを弾き返した。
「弱い機体を回されたものだな」
「機動兵士の性能の差なんてものは、パイロットの腕でどうとでもなるわっ!」
気合い一閃。
ブレムミュアエの一撃が、ニューガルダンの腹部に命中する。
しかし、ニューガルダンはすぐに距離を取ると、大きな空中浮遊物の後ろに消える。
「出てこい」
「ちょっと待て!」
暫くしてから、三角錐のピラミッド状のような赤く明滅するエネルギー体に囲まれて、結跏趺坐しているニューガルダンが現れた。
「えっ!」
「これぞ、悟りの境地!」
とオムロンは訳のわからないことを叫んでいる。
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