82 / 106
機動兵士 4
艦隊決戦 (中編)
しおりを挟む月面宙域XP2345。
地球の周回軌道をうまく使い、月に向かって進み、月の周回軌道にしばらく入ってから、関口昭之は、デブリ帯を見つけ、ここに対陣することを主張した。
「まずは、我々が先制できます」
と関口は断言する。それから、頭を掻いて
「後は、チャーリー閣下と、静馬さんの腕の見せ所です」
と呟いた。
「そうか。君がそう言うのなら信じよう」
チャーリー・パイナップルは、数々の戦場をくぐり抜けた歴戦の戦士である。少なくとも人を見抜く目は誰よりも鋭かった。逆に言えば、鋭くなかったら大統領どころか、生き残ることもできなかったであろう。
戦況は、確かに関口の目論見通りに動いた。日本軍は、第一艦隊を右翼デブリ帯に配置して、第二艦隊を中央、第三艦隊を左翼に布陣する。
そこに襲いかかってきた反乱軍は、第一艦隊のある右翼に主力を傾ける。一方、待ち構える右翼の方はデブリ帯を利用して、敵の猛攻を撹乱していた。
中央陣の方では、二番目に強い、第二艦隊が反乱軍を圧倒しつつある。そして、左翼の方では、攻撃力に優れる最強の艦隊、第三艦隊が反乱軍を総崩れにしていた。
どうしてこう言うことになるかというと、簡単な原理である。
右翼 自軍 小 敵軍 大
中央 自軍 中 敵軍 小
左翼 自軍 大 敵軍 中
このように戦陣を組めば、三つの内、二つの領域では必ず勝てる。そして、自軍が負けるはずの左翼は、デブリ帯で勝負がつきにくい場所の戦いなのだ。
「今だ!やれえええ!!」
破竹の勢いで第三艦隊、岩原真太郎提督は、宇宙戦車部隊を率いて自ら先陣に立って、プラズマ砲をぶち込む。この勢いに、敵軍は呑まれて後退して、どんどん、日本軍が包囲する形になった。
「お膳立てとしては最高でしょう!」
いよいよ、最後の仕上げとして、チャーリーと私が機動歩兵に乗り込む時であるが、その時、旗艦のディスプレイに、信じられない人物が直立して映し出されたのである。
「四条夏生……生きていたのか!」
私は思わず叫んでしまった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる