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私小説 4

会田鉄臣の報告

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 ガストで気炎を吐いた静馬が帰った後で、会田鉄夫、いや、会田鉄臣はチャリー大統領へ報告書を作成しなくてはいけなかった。

 会田が気になったのは「ゾーン入っている」と静馬が言っていたことであり、彼は躁鬱病の気があるので、明らかに「躁」状態にあるのだ。これは明白だと思われる。

 躁の状態が起こると、彼は無限に無責任なことを言い続ける。たとえば、「小林麻○を救いたい」ということを一時間以上話していた。遂には、「奥さんに欲しい」とまで叫んだのだ。その上、「あの人は俺にだけわかる暗号を発している!」とまで断言していた。他にも「小林は、グレース・ケリーの生まれ変わりだ」とか「俺はルイ・アームストロングの生まれ変わりだ」とも豪語していた。それから話は、グレース・ケリーが裸でソファーに寝転んで、男を誘惑していたことに言及している。

 それぞれのことが何に関連するのかさっぱりわからずに、静馬は思いつくままに話を続けて「あははははははははははは」と笑い出した。話が飛び飛びで、とにかく、テンションが高かったのだ。こう言ったことを逐一報告しないといけないのである。

 会田はスマホで、作成した文章をチャーリー・パイナップルに送信してから、彼は、今日、壇上で説教するスピーチの内容を考えなくてはならなかった。大体の草案はできており、

『家なき子と法華経のおしえ』

  というものであった。この二つの作品の相似性について、訴えなくてはいけないのである。アイダ教の信者たちはこう言う話をされたら大喜びであるというのは知っていた。
 
 いわば、定番メニューなのであるが、次話で、鉄臣の名調子を聞くことができる。それにしても、『家なき子』が青空文庫で無料で読めるとは良い時代になったものである。あれほど手に汗握る物語はない。できれば、姉妹編の『家なき娘』も刊行してほしい。アニメ「ペリーヌ物語」の原作である。
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