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私小説 4
会田鉄夫とは何か?
しおりを挟む私はよく自分の体験談を小説に書いて発表してしまう方なのであるが、今回も会田鉄夫が出演してしまっている。これはひょっとしたら、当人にとっては大迷惑かもしれない。大して人気も出ない小説に一方的な内容で書かれて恥ずかしい目にあうかもしれないのである。
それでも、彼のことを書くのは、他に書くものがないからであるが、これはもうしょうがないかもしれない。何かの病気なのであって、彼に対しては悪気はないのだ。しかし、会田鉄夫はニコニコとして私と会食してくれている。たまに、会田鉄夫本人ではないような気もするのであるが、姿形がそっくりなのでしょうがない。
「で、最近、精神状態はどうなんだい。静馬君」
「うーん。なかなかそういう質問をされてしまうと返答に困るね。基本的に、精神状態が良い時は何でも良い風に思えるし、悪い時は悪い風にとれるもんだよ」
「うん。で、どうなんだい」
「普通かな」
「そうか。なら、それはとても良いことだと思う。秋葉さんの亡霊に悩まされているとか聞いたことあるけど」
「あれは、この前の戦いの時から一切、出なくなった。なんなんだろう」
「へえ」
「その代わり、入れ替わりになって、夏生さんの亡霊に苦しめられているね」
「そりゃ大変だ」
「うん」
と当たり障りのない会話をしながら、私はカフェラテを飲む。最近、カフェイン中毒になっておりそういうものを飲まないと頭が霞がかかっているようになる。しかし、このことは言わないつもりであった。ふと、会田の祖父のことが気になる。
「君にお祖父さんいただろう」
「うん」
「あの人は、1980年代に、アメリカに進出して三店舗の飲食店を経営していたんだろう」
「うん」
「当時としては相当の変わり者だったね」
「そうなんだ。今でも、ワシントンにあるみたいだけどね。老舗の和食屋になっている。日本で言ったら「和民」みたいなものかな」
「ふーん」
「俺もそのオヤジの血を引いているんだよ。だから、アイダ教を始めたんだよ」
「そうらしいね」
「入信するか」
「いや、やめておく」
私にとっては会田鉄夫というのは、こういった変わり者であったが、だからどうした。ということはない。私は新興宗教には興味はないが……それをやる人を反対する気もないのだ。
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