もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

静馬⭐︎GTR

文字の大きさ
上 下
25 / 106
私小説

説得のプロ

しおりを挟む

 それから数日後、またいつもの蕎麦屋で彼女に会うと
「けど、どうしちゃったの?あなた、説得のプロなのっ」
   と私が秋葉を動かしたことを、夏生は褒め称えているみたいであった。
「いや、何か、そういう特技があるんだよ。私は昔から、『こうして欲しい』というと願いが叶うタイプなんだ」
「へえ」
「だから、あなたとも付き合いたい」
「そうなんだ」
「うん」
「でも、そうなってない」
「これは多分、理由があると思うんだ。つまり、私の中で、何か、あなたへのストッパーのようなものが働いているのかもしれない」
「ほう。私のせいではなくて」
「うん。多分、原因は私の中にあるんだ。何かがあるんだ。それは何なんだろう、というのがこの小説の眼目なんだよ」
「この小説」
 彼女は怪訝そうな顔をする。いや、それは完全に私だけの問題である。
「あいや。何でもない。こっちの話だよ」
「そう」
   と彼女は答える。それから少したわいのない世間話をしてから、私は彼女と別れた。日常というやつはこうやって、記述してゆくと延々と記述できるが、果たして、読者はこんなものを読んでいて楽しいのか、私は心配になってきた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...