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私小説
よく生きているな……
しおりを挟むそもそも考えてみたら、うちの父親はよく生きているなあと感心したくもある。そこらへんは、私よりも素晴らしい。掃除もちゃんとするし、洗濯もするし。
私なんかはここ数ヶ月、何もしていない。もう、全てに絶望しているからである。そんな場合でもないのであるが、というか、今日もこれから役所に行かないといけない。が、書類を作るのさえ面倒になってくる。
もう、何もしたくない。が、人間、やはり労働しなくてはいけないのであろう。辛うじて、私のことを弁護するなら、職業訓練を受けるために頑張っている状態、ということになるだろうか。
とにかく、ここでこうして書いてみて、私もやらなくてはいけない。と思えてきた。読まれている方もイライラしているかもしれない。私自身が私にイライラしてきた。
かといって、やはりこのおっさんが、アルバイトなんかをしてもダメである。最近、視力も悪いし、耳も聞こえないし、仕事もミスが目立っている。というか、真面目に仕事をしようと思っていない節もある。
というか、本当に、今、私が全力でできることは、書類を書くことである。それが、カンダタが地獄の底で、天から降りてくる糸に縋り付くような気持ちでこれを書いている。
こういう風に書けている内は大丈夫だと、自分を奮い起こして書いてゆこう。いや、書類をね。でも、何枚も何枚も書かないといけない。それがだるい。
あと、風呂に入らないといけない。リアルに三日、入っていない。でも、公営団地の風呂は壊れているので、私のアパートに行けないといけない。それが歩いて15分かかる。
とりあえず、風呂、それから書類だ。その前にゲームでもやろうかなと少し思っている。いや、そんなことはしてはいかん。とにかく、書類だ。いや、ゲームだ。いや、飯だ。あうわーーーーー。
布団を出る。寒い。もう、どうなっとんじゃ。私は。とにかく、色んなことをこなさないと、生きてゆかないといけない。苦難を乗り越えるとあうか、働かなくては。書類だ。書類。
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