1 / 1
この本を読んだらあなたは死にます
しおりを挟む「この本を読んだらあなたは死にます」
というタイトルの本を見つけたあなたは、当然のことながら「そんなわけないだろ」と思いつつ、ブックオフの百円コーナーに置いてあったので買ってみた。そして、会計の際、呟いた。
「変な本ですよね」
レジのアルバイトの店員がこう答える。
「たまに、自費出版の訳のわからない本が紛れ込んでいるんですよ」
「まあ、面白いから買ってみますわ」
とあなたは、家に帰りさっそく本を読んでみる。
「この本を手に取ったあなたは、怖いもの知らずだ。もう、閉じてもダメだ。これを読んだ瞬間から、カウントダウンは始まっている。この本を読み終わろうが、読み終わるまいがあなたは死ぬ!絶対に死ぬ。具体的には三日以内に死ぬ」
そんなはずはない。と思いつつ、その本を読み続けた。本の内容は、変な人生論のようなものであり、皮肉にも「どうやったら残りの人生を幸せに生きることができるか」というものであった。仮に、幸せな人生が送れても、この本の宣告が本当だとしたら三日しか生きることができないではないか。途中まで読んだが、内容が難解になってきたので「やめた。アホくさ」と本棚にしまっておいた。
すると、丁度、その三日後、歩道を歩いていたあなたに、乗用車が突っ込んでくるのであった。運転手は酔っ払ったおじさんだった。
あなたは、目が覚めると、真っ暗な闇の中にいた。これがあの世というものであろうか。あなたは、無限の闇の中を小一時間、彷徨ったのであるが、小さな光を見つける。それは、仏様であった。
「そなたは、呪いの本を読んだ結果として、死んでしまったのだ」
「そ、そうなんですか」
「私は、そなたの窮状を見て、あまりにも可哀想なので、生き返らせてあげようと思う」
「わかりました。ありがとうございます。自分、好奇心が強くて、ついつい触れてはいけない真実みたいなものを探ろうとしてしまうんです」
「その癖は良くないな。では、目を閉じるが良い」
「はい」
「生き返った際、そなたの記憶は消える。そして、例の呪いの本もそなたの家からは排除しておく。素晴らしい人生を歩むのだぞ」
「ありがとうございます」
あなたは、目が覚めると、乗用車があなたにではなく、電信柱にぶつかっていた。本当に助かったのだ。
それから、数日後、あなたは散歩がてら、ブックオフにゆくことにした。そして、百円コーナーで面白い本を見つけるのである。これは、どうしても買いたくなった。そのタイトルは、
「この本を読んだらあなたは死にます」
だった……。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
何かを喪失するAI話
月歌(ツキウタ)
ホラー
何かを喪失するAI話。AIが作ったので、喪失の意図は分かりませんw
☆月歌ってどんな人?こんな人↓↓☆
『嫌われ悪役令息は王子のベッドで前世を思い出す』が、アルファポリスの第9回BL小説大賞にて奨励賞を受賞(#^.^#)
その後、幸運な事に書籍化の話が進み、2023年3月13日に無事に刊行される運びとなりました。49歳で商業BL作家としてデビューさせていただく機会を得ました。
☆表紙絵、挿絵は全てAIイラスです
鈴ノ宮恋愛奇譚
麻竹
ホラー
霊感少年と平凡な少女との涙と感動のホラーラブコメディー・・・・かも。
第一章【きっかけ】
容姿端麗、冷静沈着、学校内では人気NO.1の鈴宮 兇。彼がひょんな場所で出会ったのはクラスメートの那々瀬 北斗だった。しかし北斗は・・・・。
--------------------------------------------------------------------------------
恋愛要素多め、ホラー要素ありますが、作者がチキンなため大して怖くないです(汗)
他サイト様にも投稿されています。
毎週金曜、丑三つ時に更新予定。
セイカイ〜全ての暗号を解き明かせ〜
雪音鈴
ミステリー
制限時間内に全ての暗号を解き明かし脱出する《ゲーム》へと強制参加することになった主人公。その先に待ち受けているものとはーー?
【暗号を解く度に変化していく景色と暗号の解読を楽しみながらも、主人公の行く末を見守ってあげて下さい。また、読者の方々にも、2話目から暗号(という名のなぞなぞもあり。難易度は話数が進むごとに上げていきます)を解き明かしてもらう形式になっているので、楽しんでいただければ幸いです(*^^*)】
強面おじさんと無表情女子大生の非日常~出会い編~
黒木メイ
ホラー
白金 猛(しらかね たける)は裏社会では『腕が立つ何でも屋』として有名だ。
昔に比べたら平和な仕事のはずなのだが……とある依頼を受けたことで命の危険に晒される。
何とか命は助かったものの。以降、白金の身に襲いかかる奇々怪々。
対処の仕様がない事象に頭を抱える白金。
そんな彼に手を差し伸べたのは、一般人?(大学生)の黒井 百合(くろい ゆり)。
本来交わるはずのない世界で生きている二人が交わったことで起きる非日常。
※現代を舞台にしていますが、あくまで架空の設定です。
※小説家になろう様にも掲載。
魔法の言葉、もう少しだけ。
楪巴 (ゆずりは)
ホラー
もう少しだけ。
それは、私の口癖。
魔法の言葉――……
さくっと読める800文字のショートショート。
※ イラストはあままつ様よりお借りしました。
アプリを起動したらリアル脱出ゲームでした
鷹夜月子
ホラー
とあるアプリを一緒にやろうと約束した仲良しな2人。しかし、いざ登録してアプリをしていたら画面に吸い込まれ、リアル脱出ゲームになっていた。しかも舞台は留置所の様な場所でホラーだった。2人の生死をかけたゲームが今、解禁される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる