異世界シンママ ~未婚のギャル母に堅物眼鏡は翻弄される~【完結】

多摩ゆら

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42.体温※

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「はぁ……っ、……っ……」

 全身を強張らせて強い快感に上り詰めた有那は、大きく息を吐いてその余韻に浸った。ピクピクと脚が痙攣している。
 やがてゆっくりと目を開くと、ユンカースが心配そうに見つめていた。

「大丈夫ですか?」

「……ムリぃ。こんなのが何度も続いたら気持ち良すぎて死んじゃう……。お願いだからもう挿れてぇ」

「……っ」

 有那の泣き言にユンカースの頬がさっと染まった。彼は眉を歪めると愛おしそうに微笑する。

「まだです。あなたの可愛い姿をもっと見たい。……と言ったら?」

「いやほんと無理すんなって……!」

 ガッチガチのギンギンのくせに、なぜまだ粘ろうとするのか。あとやっぱり、初めてのくせにやたら手際がいい。事前学習が完璧なせいか。
 前回を入れてもまだたった2回目なのに、ユンカースがどんどん変わっていくのが分かる。有那ははっと思い至った。

(こういうの、スポ根漫画で見たことある! 才能が開花するってやつだ! ……えっ、あたし大丈夫?)

 ドキドキしながら身を起こすと、ユンカースが枕元に置いていた瓶を手に取った。中では何とかの種が完全にふやけ、タピオカみたいになっている。

「それ、ユンユンが飲むの? それともあたし?」

「の――、まないですよ。飲む用じゃありません」

「え? じゃあどうす――、つめたっ!」

 ふやけた種をつまんだユンカースが、それをおもむろに有那の亀裂にめり込ませた。有那が身をすくませるとゆっくりそれを中に押し込む。

「あっ、使い方ってそーゆーこと!?」

「そうです。成人に害はありませんから――。水でふやかすと女性側の負担が強いですね……次はぬるま湯にします」

「んっ、うん……。そうして……」

 中指で奥の奥まで押し込まれ、抜かれるとチュッと水音が上がった。物足りなさに震えるそこに、ユンカースが先端を押し当てる。

「……失礼します」

「失礼じゃないでーす。……っ、あ……」


 ぐ、と硬い質量がめり込んでくる。ほぼ6年ぶり、記憶がある中ではそれ以上ぶりの感触に有那はぎゅっと目を閉じた。
 ユンカースのそれは、身長からすると普通サイズだった。身長通りに大きかったらどうしよう、と少し怯えていた有那にはむしろありがたかったが、それでも久々の侵入は圧迫感がすごかった。

 奥まで進むと、ユンカースの腰が密着する。体をぴたりと重ね合わせ、有那はほっと息を吐いた。……良かった、入った。

「……大丈夫ですか」

「うん。……へへっ。やっとできたぁ。……うれしー……」

 すぐ上にある赤茶の髪をワシャワシャすると、ユンカースが顔を歪めて肩口に顔を伏せる。有那を抱きしめ、耳元でささやいた。

「……温かい……。人の肌って、こんなに温かかったんですね……。僕……知らなかったです。好きな人と肌を重ねることが、こんなに――嬉しいなんて……」

 語尾が震え、すんとすすり上げる音がした。有那はユンカースの顔を掴むと持ち上げる。目元を潤ませたユンカースはすっと目を逸らした。

「嫌な人だな……。泣き顔を見るなんて」

「だって見たいもん。ユンユンのどんな顔も。……ねえ、もっと色々な顔、見せて……?」

「……っ。アリナさん……、……ッ!」

 キスを仕掛けると、ユンカースが応える。そのままゆっくりと動き始め、有那はその背中に手を回した。
 こらえにこらえたユンカースがうめきながら腰を振る。その荒々しい律動を有那は全身で受け止めた。

「……っ、はぁ……っ、なんだ、これ……。……気持ちいい……。すみません……止まれない」

「んっ……。いいよ、好きにして――」

 キスを交わしながら揺さぶられ、有那は薄目でユンカースを見上げた。目を閉じた彼は行為に没頭していて、こらえきれぬように濡れた息を吐く。
 澄ました普段の姿からは想像もつかぬ雄としての顔に、有那は胸がズクンと疼いた。世界中の誰も知らない、自分だけが知っている彼の顔だ。

(気持ち良さそ……。……可愛い……)

「あ……っ、ユンユン……。……あ、そこいい……っ」

 揺さぶられるとだんだん快感がよみがえってくる。前を触られるのとは違って時間がかかるけど、たしかに感じる場所――そこに意識を集中しようとすると、ユンカースが苦しげにうめいた。

「……駄目だ……。――う、くっ……!」

 有那の上のユンカースが、ぶるっと震えた。それとともに、じわっと中から温かいものが伝う。
 有那はぴたりと固まるとそろそろと上を見上げた。

「あれ……。もしかして、イっちゃった……?」

「…!」

 バッと身を起こしたユンカースが、片手で顔を覆った。その顔が首から順に真っ赤に染まり、うなだれる。

「すみ…ません……。あなたの中が、あまりに気持ち良くて――。我慢できませんでした……。情けない」

 身を引いたユンカースがトロリと伝う精を布で処理する。そのしょぼくれたような背中を見て有那はブワッと感極まった。

(……かっ、かっわいい~!! えーっ! めっかわ! 我慢できなくてイっちゃうなんて可愛すぎる……!)

 口を押さえないとニヤニヤがバレてしまう。有那は「んんっ」と咳払いするとユンカースに触れる。

「な、情けなくなんかないよ! 初めてだししょーがないってー。やっぱ挿れる前に我慢しすぎたんだって!」

「なんでちょっと嬉しそうなんですか……」

「え……えへ」

 ふてくされたようなユンカースには何を言っても効かなそうだ。有那はユンカースの背中に手を回すと体重をかけてエイッと引き倒す。

「ちょっ……」

「いいじゃん、早くたって。イチャイチャしようよ」

「……っ。本当にあなたは……」


 抱き合ってニッと笑いかけると、ユンカースがほっとしたように笑み崩れる。その唇に、頬に、首に、胸に軽くキスを落としていくとユンカースは有那の髪を撫でた。

「あの……念のため言いますけど、しないでくださいね?」

「? 何を?」

「その、また口で――。今されたら、僕の方こそ死にそうになりますから」

 胸元から見上げるとユンカースは困ったような顔で見下ろしてくる。有那はくくっと笑うとその温かな胸に頬ずりした。

「賢者タイムでしょ。分かってるってー。これは甘えてるだけ」

「賢者……? ぅあっ……!」

 ぺろっと小さな乳首を舐めるとユンカースは大仰にのけ反った。そのまま舌で転がすと、ユンカースが有那をやんわりと引き剥がす。
 くるりと裏に返されると背後から抱きしめられた。

「乳首、弱いんだぁ。……怒った?」

「別に……。くすぐったかっただけです」

「ほんとにぃ~? 開発したらくなっちゃうかもよー? なーんて、……んっ」

 ニヤニヤとからかう有那の口を封じるように、背後から胸を揉みしだかれた。ついでにうなじに口付けられ、くすぐったさに鼻から吐息が漏れる。
 両胸をさわさわといじられながら舌がツ…と肩甲骨の間を滑り、有那はゾクッと背筋を粟立てた。

「……ちょっと。今度はあたしがくすぐった――、んっ、ふっ……。……ええ?」

「……開発したら、くなるかもしれませんよ」

「いやそんなこと――、んんっ。……ウソでしょ…?」

 背中をユンカースの舌が這いまわり、くすぐったさとは違う感覚を覚えて有那は目を見開いた。背中なんて舐められたのは初めてで、そこに快感が伴うなんて考えもしなかった。
 有那の反応に気を良くしたように、ユンカースの愛撫が執拗になる。

「いや待って。やっぱくすぐったいだけ――、ぁあ……っん。待って待って、前はヤバい!」

 胸に回っていた手が腹をたどり、再び秘所へとたどり着いた。ユンカースは有那を四つ這いに起こすと背中を舐めながら亀裂に指を差し込む。
 中に残っていたユンカースの精と溶けた種がトロッとシーツに伝い、卑猥な光景に有那は身悶えた。

(ちょーっ! エロすぎる……!)

「ひっ。……あっ、腰は……っ。ムリぃ……。……んぅっ、あっ、アッ」

「ここ……弱いんですね」

 ユンカースの舌が腰のタトゥーにたどり着くと、有那ははっきりとした快感に身を震わせた。墨が入りやや敏感になっているそこは、胸と同じぐらいダイレクトに舌の刺激を感じる。
 さらには中をかき乱すようにユンカースの指が動き、完全にまた火がついてしまった。

(あ、これイっちゃうんじゃ……。ううーっ、また指と舌でイかされるなんてー!)

「ユ、ユンユン……。あたし、もう一回、したい……。……だめ?」

「……っ」

 肩越しに振り返ると、愛撫に集中していたユンカースが動きを止める。有那のあざとい「お願い」にユンカースは眉を歪めて答えた。

「駄目なわけないです。……僕の方が、お願いしようと思ってました」


 有那を再び仰向けに返すと、ユンカースは瓶に残っていた何とか草の種をもう一度有那に押し込んだ。室温に馴染んだそれは1回目ほど冷たく感じなかった。
 膝を開かれると、すっかり元気を取り戻した雄が目に入る。

「……わかーい」

「あなただって若いじゃないですか。……っ、ん……。……すごい、ぐちゃぐちゃだ……」

 2度目は抵抗なくズブズブと雄を飲み込み、ユンカースが身を起こした。有那を見下ろしながら、ゆっくりと大きく腰を動かす。
 密着していた先ほどと違い、茂みのないそこに雄が出入りするのがはっきりと見え有那は湿った息を漏らした。

「エッロ……。ユンユンが入ってるのあたしからも見える……」

「……あなたって、男を煽るのが異様に上手いですよね……。ああ、ほらまたユンユンになってる」

「んっ……! ……ユンカース。……あっ、ああっ。すごい……きもちい……」

 愛撫で達しかけていたところに挿入され、突かれるとすぐに疼きが湧いてきた。顔を歪めてよがる有那をユンカースが見下ろす。

「……好きです。……可愛い。……ッ、好きです……っ!」

「んっ……! ――あっ!?」

 ぐいと背中を起こされて、有那はユンカースの腰の上に座り込んだ。……対面座位だ。
 そのまま突き上げられそうになり、ユンカースの肩を押して有那は彼を押し倒す。

「えっ」

「ダーメ。もうちょっと感じたいから。……ねえ、色んな体位ためそ? お互いの好きなとこ、見つけていこうよ」

 ユンカースの上にまたがり、有那は嫣然と笑いかけた。そんな彼女に見とれるようにユンカースがしばし言葉を失う。
 やがて有那の腰を掴むと、ユンカースは小さく笑った。

「……僕、これ好きかもしれません。……あなたの体がよく見えるから」

「おっ。ユンユンは上に乗られるのもいけるクチかぁ~。……あたしも、ユンユンの気持ち良さそーな可愛い顔が見られるから嫌いじゃないかも」

「……ッ。……意地が悪い人だな……」

「ふふっ。……ん……、はっ……」

 ユンカースの腹に手をつくと、有那はゆっくりと動き始めた。そしてすぐに違和感に気が付く。

(……えっ。なんかめっちゃ動きやすい!)

 騎乗位なんて疲れるだけだと思っていたのに、今日は記憶と違った。腰を動かすのも、内腿で踏ん張るのも格段に楽なのだ。そう、いつもしている動きのような――

(あー! 乗ってるわ、馬ー! そういや毎日騎乗してた!)

「……あはっ」

 その理由に思い至り、有那は笑ってしまった。眼下のユンカースが怪訝な顔をする。
 以前は細いだけだった腹にもうっすらと筋肉がつき、感度まで良くなった気がする。その自慢の下半身で有那は中のユンカースを締め上げた。

「うっ……。ちょっと、緩めてください……っ」

「んっ。……だって、きもちいんだもん。……あっ、はっ……。あっ、イイ……。ああっ、ン……ッ!」

 自分の上で淫らに腰を振る有那を、ユンカースは熱に浮かされたように見つめた。
 細い腰、揺れる乳房、そして目を閉じて快楽に没頭する顔。締め付けはきつく、搾り取られそうだ。

 だが、なんだか悔しい。このままでは彼女のペースで終わってしまう。
 ユンカースは腰に力を込めて起き上がると、有那を抱きすくめた。そして噛みつくように口付ける。

「んっ!」

「一人で突っ走らないでくださいよ……! ……少しは僕にも動かせてください」

「ん……。……ふふ、うん。……んっ、あっ、アッ……!」

 互いに座り込んで、抱き合いながら揺さぶられて。キスを交わしながら有那はユンカースの律動に従った。
 もうどちらも限界が近い。抗うことなく揺すぶられ、ぞくぞくと背中を快感が駆け抜ける。

「あっ、ユンカース……! 好き……、好き…っ! あっ、気持ちいい。お願い、そのまま……! ん――、ああっ!!」

「……っ、アリナさん……っ!」


 固く抱き合い、ユンカースが震えた。身を強張らせた有那もユンカースにしがみ付く。嵐のような快感にさらされ、縋り付くものがないと気を飛ばしてしまいそうだった。
 そしてユンカースの雄が精を吐きつくすと、二人は互いを支えにして脱力した。汗ばんだ体が密着する。

「はっ……。……はぁっ、ふーっ……。……やばぁ、嬉しくて張り切りすぎちゃった……」

「……っ、は……。僕もですよ……。まさか2回出すことになるなんて……」

「あ……今さらだけど、肩大丈夫……?」

「本当に今さらですね。問題ないです。……というか完全に忘れてました……」

 ぐったりとしたユンカースを抱きとめ、有那は顔を上げた。同じく顔を起こしたユンカースと視線が合うと、二人はどちらともなく噴き出した。

「あはっ……! ユンユン、我慢しすぎー! もっとサクッと終わるかと思ったのに!」

「あなただって……! 煽らないでくださいよ! 僕、2回目も先に果てるんじゃないかって気が気じゃなくて――!」

「いーじゃんイっても。可愛いモンじゃん」

「僕にだって男の矜持があるんですよ……! ――んむっ」

 至近距離で言い合い、有那はそのうるさい唇をキスで塞いだ。目を見開いたユンカースが押し黙る。
 ……勝った。にやっと笑うと彼は根負けしたように手で顔を覆った。

「あなたって人は……」

 ユンカースが静かになり、有那はようやく体を持ち上げた。すると結合していたところからタラ…と精が逆流し、慌ててそこを押さえる。

(うわっ……。生でするのって、こんな感じなんだ――)

 思えば中で出されるのは初めてだった。先ほどは後始末が早すぎてよく分からなかったし、意識がなかった6年前のアレはもちろんノーカンだ。
 きょろきょろと周囲を見回すと、ユンカースが布で手とそこを拭いてくれた。

「……ありがと」

「当然です。……僕のですから」


 処理を終えるとユンカースは力尽きたようにベッドに仰向けになった。有那もくったりと寄り添うと、柔らかく抱き寄せられる。髪に、頬にキスを落とされ瞳を閉じる。
 汗の引いた素肌が触れ、有那はえも言われぬ幸福感に浸った。甘えるようにすり寄りながら、ユンカースに尋ねる。

「どうだった? 初体験」

「そうですね……反省点は多々ありますが、ひどく満たされた気分です。あとは、あなたと相対するにはもっと研鑽が必要だと思いました」

「真面目かっ。てか研鑽てなに。今でも十分じゃん」

「いえ、全然足りません。実感が伴ったので、次は自分事としてもっと実践的なところを学び直そうと思います」

「……あ、そ……」

 持ち前の向学心に変な火がついてしまったユンカースに有那は呆れた視線を向ける。……まあしょうがない。そういうクソ真面目で努力家なところも好きになったのだ。
 服を着ようと体を起こすと、ユンカースが寝そべったまま手を握る。

「でも、一番は――幸せでした。僕は恋も愛も分かりませんでしたが、今ならこれが『幸福』ということが分かります。……僕に幸せを教えてくれて、ありがとうございます」

「……っ」

 優しい、愛しげな視線でそんなことを言われたものだから、有那はもう一度ユンカースの胸に飛び込むとその体を抱きしめた。

「分かるぅ~。あたしも幸せっ! 超ハッピー!」

「……ふ」

「でも、まだまだこんなモンじゃないから! あたし、もっともーっとユンユンを幸せにするから! 覚悟しててね」

 満面の笑みで宣言すると、ユンカースは有那を強くかき抱いた。


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