狐、始めました。

怠惰

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権力時代

神王戦

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 私は現在、眷属大会が行われた闘技場に向かっていた。

 大会はこれから神王戦の為だけに創られた世界(計5000)に行って試合が行われるらしい。

 観客は眷属大会と同じで見たい世界を手元のモニターで見るようだ。
 試合はシードやいろいろ組み合わされたトーナメント制で私がする試合は10試合だ。

 勝てばの話だが、私の1回戦目の相手はよくわからない最上位神だ。

 虫神らしい。

 私はその試合をする世界に向かい、虫神と対峙した。

「ふ、なかなかやるようだが、所詮は上位神よ。我の力を食らうと良い。」

 試合が始まってすぐに相手が大量の虫を召喚する。

 その瞬間、私は全身鳥肌がたった。
 
 瞬時にこのままでは自身の精神が持たないと感じた私は世界ごと虫神を焼き払い、涙目でアテナの元へ飛んでいった。

 アテナに抱きつき癒やしを貰う。

「お~よしよし。気持ち悪かったね~。ていうかエラちゃんって権能使わなくても世界破壊出来るんだね~」

 アテナはモニターに映る。溶けていく世界を見て遠い目をした。

 その後、3年で第8試合まで終わり、私は残り2試合だ。相手はゼウス。序列8位の神だ。

「ふぉふぉふぉ、破壊神エラよ。儂には感じられんが恐らく相当強いじゃろう。儂は手加減なんぞせんぞ?」

「ん…天空神ゼウス。本気……勿論。最近……本気……出す事……無い。貴方は……強そう」

「ふぉふぉふぉ! 伊達に長年生きているわけではない。さぁ! 殺り会おうぞ!」

 ゼウスの周りに宇宙をも消滅させる神雷が咲き乱れる。私はまず世界を強化した。

【破壊不可】

 権能の破壊の法則を少し応用すれば出来る芸当。破壊をしていいのは破壊神にのみ許された特権だ。ここでアイデンティティを奪われるわけにはいかない。

 ゼウスの雷は権能、私にダメージを与えることが出来る。

 私は大地の力を使って大量の土砂をゼウスにぶつける。

 ゼウスはなんと大地の力を具現化させた先程の魔法を力技で破った。

 流石に私も驚愕を覚える。あの老体の何処にそんなパワーがあるのか……。

 ゼウスの雷が柱の様に天から落ちてくる。

 これに当たれば私は1秒間だけ大怪我を負う。

 ゼウスに対して1秒間の空きができれば、間違いなく消滅させられるだろう。

 私は手刀をつくり妖力を流して雷を真っ二つに切り裂いた。

「なんと!手刀で儂の権能を切り裂いたじゃと!?」

 私は更に妖力を手に込め、ゼウスに向って拳を突き出す。

 ゼウスと私の距離は数十メートル。普通なら拳は届かないし、出来ても魔法を撃つぐらいだ。

 私が突きつけた拳はその延長線上の空間がひび割れて大地をえぐりとった。

 ゼウスは咄嗟の判断で飛び退いて、ノーダメージ。
 因みにこれは破壊のちからではなく、妖力を込めたパンチに空間が持たずひび割れただけだ。そう、エラはもはや拳1つで惑星を粉に出来る。割るのではなく粉に出来る。

「これは……儂では本気を引き出すのは不可能じゃな……」

「そう……」

 途中で諦めたゼウスに残念に思い、冷静になった私は彼を抵抗もさせずに凍らした。

 予備動作無しで視界に入れただけだ。

 私はこの数万年間、扇子術と魔法を改良や熟練度を上げて極め尽くしていた。この修行に終わりは無い。因みに魔法も扇子術もまだまだ無限の可能性を秘めている。改良の余地まだまだありだ。

 こうして天空神ゼウスとの戦いは膜を閉じた。

 観客席に行くとアテナ達が座っている。

「アテナどうだった?」

「いや~負けちゃったよ。序列は12位、少し上がったね。ウラノスに負けちゃったよ。まぁ~そのウラノスはエレボスに負けて、エレボスはガイアに負けたけどね。決勝戦は原初の大地母神ガイアだよ。序列2位。この世でカオス様の次に生まれた神だよ。因みにもう1柱の原初の神であるタルタロスは運営側だから今回も大会には出場しないよ」

「ん、分かった。頑張る。」

 私はついに決勝戦に向かった。

「さぁ~いよいよ決勝戦! まずは原初の大地母神ガイア! ガイアは皆の知っている通り、私の次に生まれた最強の存在でもある! 対するは、この世で初めて誕生した破壊神! エラ~! 我々最上位神達から見ると最近生まれた可愛い少女。しかしその身に隠された真の実力は未だに謎! ちなみに隠し方がうますぎて我にも分からん! この大会でそのキュートさと、強さのギャップでファン急上昇中の新星だ~! では決勝戦、レディ~ファイト!」

「ふふっ、まさかゼウスを倒すなんて……。私も油断してるとやられちゃうわ。」

 ガイアの神力が高まり世界が彼女の味方をする。
 流石は原初の神、他の神々と格が違う。原初の神々は生きている歳月も経験も他の神々と膨大な差がある。

 序列7位までは全て原初の神だ。世界の力がガイアに集まりガイアはその力を私にぶつけて来た。

 避けきれないほどの広範囲で高威力のその力を私は結界を張ることで凌ぐことに成功する。

 私の家に貼ってある結界よりも丈夫な結界だ。難なく防げた。

 私はガイアを凍らせる。が、ガイアは余裕で溶かして出てきた。

「ふふっ、強いわね。ならこれはどう?」

 ガイアは目を疑うことに惑星を数万個創り、隕石の様に私に向けて放たれる。一つ一つが最上位神であっても、掠っただけで消滅する威力だ。私は本気で素手で殴る。その瞬間、全ての惑星が粉砕された。

 ガイアは創造、エラは破壊。どうやら二人は対極の存在らしい。

「ちょ!? せめて妖力は使おうよ! なんで生身の素手で惑星数万個粉砕してくれちゃってんの!?」

 ガイアのキャラがぶれてきた。それとも元々そういうキャラなのだろうか?

 私は宙に浮かぶガイアに急接近して叩き落とす。

 そこに闇属性の球を作りガイアに向けて放つ。

 ガイアを中心に大爆発が起こるが、ガイアはボロボロに成りながらもまだまだ戦えそうだ。

 因みに私達神には煉獄魔法や海洋魔法などの上位魔法は存在しない。

 理由はレベルに応じて使える魔法、あれは一種の制限であり、制限が無くなった神は魔法を自由に生み出し扱えるからだ。

 私は決着をつけるべく権能の破壊を最大限に活用し、世界を含む空間そのものをごっそりと消滅させる事によってガイアを倒した。

「優勝、破壊神エラ~! なんと初出場で優勝! エラには我と試合する権利が与えられた! 他の称号やら格上げは優勝した途端勝手につくからステータスを確認してくれ。上位神クラスになるとほとんどの者がステータスを確認せん様になるからな。」

 そう言われてステータスの存在を忘れていた私は言われたとおりに数万年振りにステータスを確認した。
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