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学園編

第八十三話

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それにしても、先ほどから誰一人として人を見かけないのだけれど、侍女さんや警備隊はいないの?こちらとしては逃走が楽だからありがたいけど。王族の居住地の警備が手薄過ぎて不安になってくる。

「その…アイリス様、私の部屋に来るまでに警備の方々はいらっしゃらなかったのですか?」

横を走るピンクちゃんに走りながら聞いてみた。

「はぁっ、いなかったッわよ!多分足止めされてるからッ」

息が既に上がっている。さほど走っていないはずなのに。さては、体力がないな。私と一緒にトレーニングでも…。

いや、突っ込むところそこじゃなかったわ。

「どなたに足止めされているのですか?」

「レオン様に決まってるでしょ?」

なぜ王子の名前が…。って、そういえば、さっきから何回か出てきてたわ。

「王太子殿下がなぜ…」

「あんたを弟から助け出すって言ってたわよ。あと、あんたの実家が激おこで、今にも王宮に攻め込んできそうだったのよ。私は可愛くて優秀だから?レオン様直々に呼んでもらってぇ、ここに来たのよ!」

先程までの息切れはなんだったのか?とても饒舌に喋っている。ほぼノンブレスで。

やはり、お父様、お母様、お兄様の我慢の限界は来ていたのか…。そりゃそうよね、始めに助けに来たグレンがビアンカと同じような状態でロールズ伯爵家に強制送還されて…、私は帰れるはずだったのに、未だ王宮内に捕われている。

いくら伯爵家と言えど、王家と貴族の争いは避けたいわよね。そのために、王子が仲裁に入り、恐らくピンクちゃんなら油断させられだろうと送り込んだ…という考えが一番高いかな?

とは言っても、ピンクちゃんかなり目立つ気がする…。髪の毛ピンクだし、かなり…その…目立つし…、うん…。
王子の人選は独特ってことかな。

「そうでしたの。それで、私達はどこへ向かっているのでしょうか?」

「ここは長年使われていなかった塔の中なの!なんでこんなところをギル様が知っているのかわけわかんないけど、ひとまずこの塔の外に出る、それでアシュレイ様かグレン様と合流して王宮内に戻るのよ!そこの角を左に曲がったらあとは螺旋階段で下るだけよ!
レオン様がギル様を今呼び出してるからそのうちに早く!」

情報が多すぎて理解が遅れたけれど、つまり塔の外に出るまで走れってことね。おーけーおーけー。

「わかりましたわ」

私達は角を左に曲がり、ただひたすら階段を下りて下りて下りまくった。

長い、この階段長すぎる。かれこれ5分は下りてる。この階段をいつも上り下りしているであろう殿下は5歳児が持つ体力ではないだろう。ピンクちゃんもよく上ってきたな。

「まったく、これで明日筋肉痛になったらどうしてくれんのよッ!レオン様につきっきりで感情してもらうんだから!」

お隣は楽しそうで何より。
私は早くこの階段を下りきって外に出たいという一心で下っているというのに。

「あ、ここまで来たらあともう少しよ」

下から光が見えて来た。
あともう少しで外?!久々に外を歩ける!

私はより一層歩を早く進めた。

そして、階段の終わりが見え、私的に長かった監禁生活が終わりを迎える。そう思っていた。




________キリトリ________
現状のまとめ

ロゼリア・アイリス
→塔から脱出中

レオンハルト
→ギルバートとお話中。ついでに塔の警備兵を部下に取り押さえるよう伝達済み。ロゼリアの元にアイリスを派遣。色々頑張ってる。

ギルバート
→レオンハルトに呼び出しくらい中。

アシュレイorグレン
→塔の外にて待機中。

アシュレイorグレン
→屋敷にて指示を飛ばし中。

ビアンカ
→詳細不明。屋敷か塔の外にいる予定…。
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