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学園編

第六十四話

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「…」

…。

「ハッ!」

びっくりした。お兄様が魔王化して王子を切り捨てていた。

あれ?ここは…?

周りを見回せば先程いた部屋と違う部屋だった。前の部屋はとてもシンプルな部屋模様だったが、この部屋は…なんというかその…ファンシー?な感じがした。

いや、本当に。どうやら、私はまた寝てしまっていたようで、ベッドに寝かされていたのだけれども…。

そのベッドが天井付きというのだろうか…。横にカーテンもついているし。なんだこのベッドは。

私は前世では布団で寝ていたため、ベッドだと少し違和感がある。

そのため、グランディエ伯爵家ではベッドの上から落ちたフリをして、ベッドの下でよく寝ている。新人侍女さんたちはご令嬢が床で寝ていることに驚いてよく起こしに来たときに悲鳴をあげている。

いやぁ、毎朝申し訳ない。どうもベッドは私に合わないようで…。

そして、最初に戻すけれどもここはどこでしょう?

殿下がクローゼットに閉じ込められてグレンが助け出したのは覚えているのだけれど、そこからの記憶がない。

「グレン、グレンー」

…。

あの場にいたグレンの名を呼んでみるが特に何も起きず…。

…。

グレンはどこに行った?!

あれ?!護衛としてついてきてくれるはずでは?!

「グレン!」

…。

いや、やはり何も起きない。

これ以上は犬を呼んでるみたいになるからやめよう。

ひとまずベッドから出て、あたりを見てみる。

部屋の中には先程私が寝ていたベッドのほか、長テーブルにソファーが2つ、大きめの本棚が2つあとは部屋の中のそこら中に大量の動物のぬいぐるみがあった。

何故こんなに大量にぬいぐるみがあるのだろうか?1つ1つのサイズが大きく、私が抱き抱えても前から見たらなんとか自分の頭が出るくらいに大きい。

何故こんなに大きいぬいぐるみがいくつも?

そう考えていると扉がノックされた。

コンコンコンッ

これは…、誰だ?!

王子…?

いや、でも私をこの部屋に連れてきた人だろう。ないとは思うが万が一どこかの盗賊だとしたら、起きているのはまずいだろう。

そう思って素早くベッドに潜り込み狸寝入りをする。

待て待て自分。盗賊に囚われたとしてもこんなに豪華な部屋に寝かされるか…?いやいや、もっと雑だろう。どこかの床にほっぽりだされてるはず。

悩んでいると扉が開かれた。

この部屋に入ってきたと思われる人の靴音が近づいてくる。

ヒィィィィ。私は寝てます。私は寝てます。大事なことなのでもう一度言いましょう。私は寝てますッ!

「あれ…、まだ寝てるのか…。ふふ、お寝坊さんだなぁ」

そう言いながら声の主は私の髪を撫でている。

その声に私は驚いた。

だってその声は…。

「ふふ、早く起きて、使

殿下だったのだから。





殿下が犯人?!
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