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学園編

閑末 グレン視点①

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「ロゼリア様が拐われた…?」

俺は妹が何を言ったのか理解ができなかった。





今日は妹とロゼリア様が2人で出かけている日だった。

妹はロゼリア様とお2人で街へ行けるのが楽しみすぎて、当日まで大はしゃぎ。1週間も前から何を着るかで悩んでいた。

俺を服選びに付き合わせる妹はきっと自慢しているのだ。そして、挑発している。

俺も行きたい…。2人で街に出かけるなんて羨ましすぎる…。



そして、当日妹は集合時間の1時間も前に出かけて行った。ロゼリア様を待たせるなんて絶対にしてはならない。1日前から行ってもいいくらいだ。


そして、その後事件が起きてしまった。


妹がひどく慌てた様子で帰ってきたのだ。目の焦点があっていない。その様子に嫌な予感がした。

「ロゼリア様がッ、ロゼリア様がッッッ」

どうした?ロゼリア様がどうしたのだ?

『ロゼリア様が』しか言わない妹。その続きが気になるというのに。

「ひとまず落ち着きなさいビアンカ」

母様の一言で、ビアンカの目の焦点は定まってきた。

「…、申し訳ございません、取り乱してしまいました。説明致しますのでお父様、執務室へお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わない」

「お父様、お母様、お兄様と私の4人以外は執務室に入らないように」

妹が周りの使用人たちに一声かけてから俺たちは執務室へと移動した。



「それで、ロゼリア様がどうされたというのだ」

「ロゼリア様が王太子殿下に連れ去られました」

は?連れ去られた?王太子殿下に…?王家に連れ去られたとなればこちらも簡単には動けない。

「何故ッ!何故お護りしなかった」

つい血が上って声を荒らげてしまう。その場に俺がいたとしても王太子殿下相手では敵わなかっただろうに。

「王宮へ連れて行かれ、その後も付き添おうとしたものの、睡眠薬のようなものをかがされ、眠らされたまま我が家へと帰されました」

苦々しい顔で妹は言った。

目を閉じて話を聞いていた父様が静かに目を開いた。

「…、我が家は今何者かに囲まれている。恐らく王太子殿下の遣いの者だろう」

父様に言われ、急いで窓の外を見てみると何やら兵士が数人我が家の周りにいた。

「今すぐにでもロゼリア様を助け出したいが…、この人数に囲まれていれば恐らく屋敷を出ることすら難しそうだ」

「ロゼリアちゃん…」

父様は歴代のロールズ伯爵家当主の中でも特に優秀な当主らしい。目を閉じることで、周りの音を聞き分け、周囲に何人の人間がいるかを判断できる。

簡単に言えばとても耳が優れているのだ。

父様は隠密としての能力が高く、当主としての腕前もきちんと備わっているため特に優秀と言われているらしい。


父様の説明はさておき、ロゼリア様を早く助け出さなければならない。そのためにまず策を考えねば…。
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