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学園編
第五十八話
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「天使様の鳥さんはなんて名前なの?」
「ピアと申します」
「ピッ!」
ピアちゃんは私が名前を言うと元気よく返事をした。偉いよ、ピアちゃん。殿下にもきちんとご挨拶できたね。
よしよしと撫でているとピアちゃんは気持ち良さそうに目を細めた。
「ピアって言うんだね!よろしくピア」
殿下は指をピアちゃんの前に差し出す。するとピアちゃんはちょこんと殿下の指に乗っかった。
可愛すぎる殿下が青い鳥と戯れている。ここはお伽話の世界だろうか…。
殿下とピアちゃんが挨拶をしているとテオくんもやってきた。
テオくんがピアちゃんに向かってお辞儀をするとピアちゃんは『ピッ!』と元気良く鳴いた。
すると二羽は遊び始めたようで部屋の中をくるくると飛び始めた。鬼ごっこでもやっているのだろうか…。
「テオとピアは仲良くなれたみたいだね!よかった!僕も鳥だったら二羽と一緒に飛んで遊べるんだけどなぁ…」
殿下は楽しそうに、でも残念そうに二羽を見ていた。
私も小さい頃は空を飛ぶのが夢だった気がする。でも、高校の時に初めて乗った飛行機が苦手だったため、もし羽があったとしても空が怖くて飛べないなと確信した気がする。
殿下に羽が生えたら…、the天使ですね?
え、本物の天使すぎる。いや、天使より天使かもしれない。私天使見たことないけど。
「ギル様にも羽が生えたらそれこそ天使のようでしょうね」
「あ!天使様少し馬鹿にしてるでしょ?僕が欲しいのはテオみたいなカッコいい羽だからね!天使様だったら綺麗な真っ白羽かな…?」
「ふふっ、ギル様が黒い大きな羽ですか。とても強そうですわね」
「うん!僕強くて立派な大人になりたいから!」
今から大人になる自分の理想像をしっかり描けているなんて…、やはり殿下は将来有望だ。
なんて感心してると、二羽は遊び終わったようでピアちゃんは私の肩に、テオくんは殿下の肩に乗っかった。
「テオ、遊び終わった?」
殿下がテオくんに聞くと、テオくんは首を振っていた。
と思ったのも束の間。急にテオくんが何かを察したようでくるくると殿下の頭上を飛び始めた。
「あ…、誰か人が来るみたい…」
え?!音など一切聞こえないが?
「少しだけクローゼットの中に隠れてもいい…?」
「ええ、構いませんわ」
「ありがとう、テオ、こっちだ」
この部屋にも一応クローゼットがあったようで、殿下はテオくんと一緒に中に入って行った。
扉をほんの少し開けて、外を伺ってみるが特に人が来る気配はない。足音もしないし…。殿下にも人などいなかったと伝えようとクローゼットに向かった瞬間だった。
上から何かが降ってきた。
え…?
いや、あの、ドンッッッ!!!って感じで落ちてきたんじゃなくて、スッて感じで降りてきた。いわば忍者みたいな?
「ロゼリア様、お迎えにあがりました。俺と一緒にグランディエ伯爵家に帰りましょう?」
________キリトリ_________
宵丸です。
新しく『貴方と私に2度目なんてない』を書き始めました。こちらは現代風であり、浮気がテーマの物語です。口の悪い女性が主人公の予定です…。よろしければご覧下さいませ。
「ピアと申します」
「ピッ!」
ピアちゃんは私が名前を言うと元気よく返事をした。偉いよ、ピアちゃん。殿下にもきちんとご挨拶できたね。
よしよしと撫でているとピアちゃんは気持ち良さそうに目を細めた。
「ピアって言うんだね!よろしくピア」
殿下は指をピアちゃんの前に差し出す。するとピアちゃんはちょこんと殿下の指に乗っかった。
可愛すぎる殿下が青い鳥と戯れている。ここはお伽話の世界だろうか…。
殿下とピアちゃんが挨拶をしているとテオくんもやってきた。
テオくんがピアちゃんに向かってお辞儀をするとピアちゃんは『ピッ!』と元気良く鳴いた。
すると二羽は遊び始めたようで部屋の中をくるくると飛び始めた。鬼ごっこでもやっているのだろうか…。
「テオとピアは仲良くなれたみたいだね!よかった!僕も鳥だったら二羽と一緒に飛んで遊べるんだけどなぁ…」
殿下は楽しそうに、でも残念そうに二羽を見ていた。
私も小さい頃は空を飛ぶのが夢だった気がする。でも、高校の時に初めて乗った飛行機が苦手だったため、もし羽があったとしても空が怖くて飛べないなと確信した気がする。
殿下に羽が生えたら…、the天使ですね?
え、本物の天使すぎる。いや、天使より天使かもしれない。私天使見たことないけど。
「ギル様にも羽が生えたらそれこそ天使のようでしょうね」
「あ!天使様少し馬鹿にしてるでしょ?僕が欲しいのはテオみたいなカッコいい羽だからね!天使様だったら綺麗な真っ白羽かな…?」
「ふふっ、ギル様が黒い大きな羽ですか。とても強そうですわね」
「うん!僕強くて立派な大人になりたいから!」
今から大人になる自分の理想像をしっかり描けているなんて…、やはり殿下は将来有望だ。
なんて感心してると、二羽は遊び終わったようでピアちゃんは私の肩に、テオくんは殿下の肩に乗っかった。
「テオ、遊び終わった?」
殿下がテオくんに聞くと、テオくんは首を振っていた。
と思ったのも束の間。急にテオくんが何かを察したようでくるくると殿下の頭上を飛び始めた。
「あ…、誰か人が来るみたい…」
え?!音など一切聞こえないが?
「少しだけクローゼットの中に隠れてもいい…?」
「ええ、構いませんわ」
「ありがとう、テオ、こっちだ」
この部屋にも一応クローゼットがあったようで、殿下はテオくんと一緒に中に入って行った。
扉をほんの少し開けて、外を伺ってみるが特に人が来る気配はない。足音もしないし…。殿下にも人などいなかったと伝えようとクローゼットに向かった瞬間だった。
上から何かが降ってきた。
え…?
いや、あの、ドンッッッ!!!って感じで落ちてきたんじゃなくて、スッて感じで降りてきた。いわば忍者みたいな?
「ロゼリア様、お迎えにあがりました。俺と一緒にグランディエ伯爵家に帰りましょう?」
________キリトリ_________
宵丸です。
新しく『貴方と私に2度目なんてない』を書き始めました。こちらは現代風であり、浮気がテーマの物語です。口の悪い女性が主人公の予定です…。よろしければご覧下さいませ。
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