上 下
53 / 115
学園編

第三十七話

しおりを挟む
「だからね、兄様にどうして今日はニコニコしてるの?って聞いてみたの!そしたらね、『今日はとてもいいことがあったんだ』って!」

「そうでしたの…」

私を拉致出来たことがいいことかな??

「『天使のような可愛い子が王宮に来ているんだ。とても優しくて可愛らしくて』って言ってた!」

王子、この平凡な人間が可愛いとは思えないし、なにより語彙力下がってますよ。

「だからね、僕、兄様の天使様に会いたくて、天使様のお部屋探ししてたの!」

お部屋探しか~、可愛いな…。
でも王宮内でお部屋探しなんてスケール大きすぎないかな?

「それはそれは…。この部屋を探し当てるまでたくさん歩いたのですか…?」

「うん!30分くらい!兄様が歩いてきた方向を辿って、知らない部屋全部ノックしてきたの!でね、天使様のお部屋を見つけたの!」

王子の歩いてきた方向を辿るなんて…賢いな…。将来は有望な王子になることだろう。

「ギル様は賢いのですね」

「そうかな?えへへ」

「ではギル様、この部屋にかかっていた鍵はどのようにして開けたのですか?」

「鍵?鍵はね、んーと、侍従長が持ってたから貸してもらったの!ちゃんとこの部屋の鍵って言ったら出してくれたよ!」

ほうほう、部屋の鍵というのはたくさんの人が持っているわけか…。

「その侍従長という方は現在はどちらにいらっしゃるのでしょうか…?」

「んー、僕鍵もらって嬉しくてなんか言ってたけど、すぐ走り出しちゃったからわからない!」

なるほど、そこの辺に侍従長を置いてきたということで…。

「ところで、天使様!こんなところに居ないで僕の部屋に遊びに来ませんか?僕の部屋の方がたくさん遊ぶものもあるし、絶対楽しいよ!」

おっと…。


拝啓お兄様、ビアンカへ

早速この軟禁状態から解放されそうです。ですが、この方も王族。故に気をつけなければならない相手とは理解しておりますが、この部屋から抜け出せるのならここは手を取るべきですかね?

お返事3秒以内にお願い致します。


なんて無理に決まってるけど。

脳内テレパシーとか2人に通じればいいのに。

ひとまず、ギル様の手を取るべきかな?王子の方が絶対に危険度高いだろうし。

「かしこまりました。それではギル様のお部屋に案内して頂いてもよろしいでしょうか?」

「もちろん!僕に任せて!」

元気よく殿下は手をあげて、部屋の外に走っていた。

その間にピアちゃんを回収する。

「おいでピアちゃん。私の肩に乗って」

「ピッ!」

「いい子にしててね」

「ピピッ」

状況を理解しているようで、ピアちゃんは小声で返事をしてくれる。

「天使様!行くよー!」

部屋の外から殿下の声が聞こえる。

「かしこまりました。今参ります」






《おまけ》
リアの王子2人の呼び方について補足

・王太子殿下(第一王子)レオナルド
→王子またはレオン様

・第二王子ギルバート
→殿下またはギル様


となります。ややこしくて申し訳ございません。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約者の側室に嫌がらせされたので逃げてみました。

アトラス
恋愛
公爵令嬢のリリア・カーテノイドは婚約者である王太子殿下が側室を持ったことを知らされる。側室となったガーネット子爵令嬢は殿下の寵愛を盾にリリアに度重なる嫌がらせをしていた。 いやになったリリアは王城からの逃亡を決意する。 だがその途端に、王太子殿下の態度が豹変して・・・ 「いつわたしが婚約破棄すると言った?」 私に飽きたんじゃなかったんですか!? …………………………… 6月8日、HOTランキング1位にランクインしました。たくさんの方々に読んで頂き、大変嬉しく思っています。お気に入り、しおりありがとうございます。とても励みになっています。今後ともどうぞよろしくお願いします!

ヤンデレお兄様から、逃げられません!

夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。 エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。 それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?  ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹

執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?

陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。 この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。 執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め...... 剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。 本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。 小説家になろう様でも掲載中です。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした

カレイ
恋愛
 「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」  それが両親の口癖でした。  ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。  ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。  ですから私決めました!  王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。  

甘すぎ旦那様の溺愛の理由(※ただし旦那様は、冷酷陛下です!?)

夕立悠理
恋愛
 伯爵令嬢ミレシアは、恐れ多すぎる婚約に震えていた。 父が結んできた婚約の相手は、なんと冷酷と謳われている隣国の皇帝陛下だったのだ。  何かやらかして、殺されてしまう未来しか見えない……。  不安に思いながらも、隣国へ嫁ぐミレシア。  そこで待っていたのは、麗しの冷酷皇帝陛下。  ぞっとするほど美しい顔で、彼はミレシアに言った。 「あなたをずっと待っていました」 「……え?」 「だって、下僕が主を待つのは当然でしょう?」  下僕。誰が、誰の。 「過去も未来も。永久に俺の主はあなただけ」 「!?!?!?!?!?!?」  そういって、本当にミレシアの前では冷酷どころか、甘すぎるふるまいをする皇帝ルクシナード。  果たして、ルクシナードがミレシアを溺愛する理由は――。

処理中です...