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学園編

第二十二話

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さて、お兄様お説教タイムがもうすぐやってくる。

いやだなー、絶対長いよー。

行きたくないー、仮病使いたいー。

などとうだうだ心の中で言いながらお兄様の部屋に向かう私。


コンコンコンッ

「お兄様、ロゼリアですわ。入ってもよろしいでしょうか?」

「いいよ、入っておいで」

「失礼致しますわ」

そそそそそっと音を立てずに素早く移動する私。将来忍者いけるんじゃない?嘘です。

「そこにかけてて」

お兄様の部屋には2人がけ用のソファーが2つ、そして縦長のテーブルが1つ来客用にある。

私がソファーに座ると、お兄様直々にお茶を入れてくれる。

「夕食後だからお茶だけにしようね」

「わかってますわ」

クッ、お茶と一緒に出てくるお茶菓子を楽しみにしてたのに。

「さて、本題に入ろうか。リア、ロールズ伯爵家でお泊まりしてどうだった?」

ヒィ、顔!顔が怖いです!

「とても楽しかったですわ。ビアンカと一緒のお部屋で眠りましたの」

「ふーん?グレンって男はもちろんその場にいなかったよね?」

「もちろん、おりませんでしたわ」

いたらビアンカが叩き出してるだろう。

「そっか、それはよかった」

「ええ」

「…」

「…?」

沈黙が続く。

「お兄様、用件がこれで終わりましたら私お部屋に戻ってもよろしいでしょうか?」

「…」

お兄様の返答がなかなか帰ってこない。

寝落ちした?

私は立ち上がってドアへ向かう。

昨日夜遅くまでビアンカと話してたから眠いんだよ。今日の学園での授業で居眠りしなかったのは奇跡としか言いようがない!

「…って」

「え?」

何か呟いたが聞こえない。

決して私が耳が遠いわけではない。どちらかと言えば良い方。

つまりお兄様の声が小さすぎる。

「待てッ!」

腕をパシッと掴まれる。

少し力が強いせいで顔を歪めてしまう?

「ねぇ、リア。リアはさ…お泊まりしても何も寂しくなかった?」

「いや…別に…」

楽しかったし…

「そっか…。私はさとても寂しかったよ?いつも一緒に帰る馬車にリアがいないし、夕食にもリアはいない。ロールズ伯爵家には婚約者のいない男もいるしさ。心配で夜も眠れなかった。もし、リアがあいつに何かされたら…あいつのことどうしてやろうかってずーっと考えてた。たった1日のお泊まりでも私の心は荒れてしまって…ねぇ、リア。私からのお願い。どこにも行かないで。私のそばにいてくれ。ねぇ、リア…」

私の腕を掴みながらズルズルと座り込んでしまうお兄様。

お兄様、ごめん、恐らくめちゃくちゃ重要なことばかり言ってるだろうけど、早口でほとんど聞き取れなかった。

えっと、お兄様シスコン拗らせてるってことでいいのかな?

あ、まってお兄様が泣きかけてる。

美青年泣かせるとか罪悪感半端ない。

「お兄様…私は出来る限りお兄様の元にいますわ…」

「出来る限り…?出来る限りなんて…ずーっとじゃないの?ねぇ、リア…ずーっとって言って、ねぇ、ねぇ!」

「痛いッ、お兄様痛いですわ!」

掴まれた腕にさらに力がこもる。

「ねぇ、リア…?ずーっと一緒だよね…?」

お兄様の瞳に光はなかった。






《大きめな修正》
学園に入学の年齢ですが、12歳ー15歳と記載しましたが、15歳ー18歳に変更致します。

故に、登場人物たちの年齢も変更致します。
また学年についても
○1年→15歳ー16歳 
・ロゼリア
・ビアンカ
・グレン
・アイリス(ピンクちゃん)

○2年→16歳ー17歳

3年→17歳ー18歳
・レオナルド(王太子殿下)
・アシュレイ

とさせて頂きます。つまり、レオナルドとアシュレイは最上級生です。

また少し登場した第二王子ギルバート・オルティスも3歳→5歳に変更しました。

なお所々編集した回がございますので、編集した部分は下記にある回となります。
・学園編第一話
・学園編第二話

大幅な年齢変更申し訳ございません。もう少しで完結となりますのでもうしばらくお付き合い頂けますと嬉しいです。これからも何卒よろしくお願い致します。
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