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第二章 デュランス河のほとりで
なに?!川へ投げ入れる?!
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そこから運転手が出て来われわれに声を掛けた。「もし、そこにどなたかおられるんですか?こんな夜中に何をしてらっしゃるの。いや、その、おっせかいかも知れないけど…」などと云う声を聞けばこれは先ほど宵のこと、何と20年ぶりに再会した山倉の声に違いない。助かったがしかしなぜ彼がいまここに?と不思議に思わぬでもない。しかし今はとにかく渡りに舟で私は「山倉さん!山倉さんでしょ?俺だよ。田中、田中。さっき車に乗せてもらった田中ですよ」と大きな声で返答をする。「え?田中?…ああ、田中さんか。こんな時間に川堤で何してるの?」と彼も私を確認したようだ。説明するより来てもらった方が早い。「ああ、とにかくさ、悪いけどちょっとこっちに来てよ。ちょっとのっぴきならない事になってるんだ」という私の呼びかけに山倉は「何?のっぴきならない?…はいはい、わかりましたよ。山倉タクシーはどこへでも」と云いざまドアをロックしてから一気に鉄柵を跳び越えて我々のもとへと駆け上がって来た。年に似合わず未だバネがあり体力のある男だ。ビアクと呼ばれた女性は腹を抑えながらも立ち上がっていたが我々3人と幼女の醸す緊迫した雰囲気に山倉は一瞬で感応したようだ。唾をひとつ呑み込んでから「いったい何があったの?田中さん」と尋ねたあと「あ、この子は…」とばかり宵の内にすれ違った異様な雰囲気の親子連れを思い出した様子。山倉の鋭い視線に怯えて幼女が俺の胸に顔をうずめる。その子の頭を撫でながら「そうだよ、山倉さん。夕方にすれ違ったあの親子連れの子だよ。どうもこの子をあの男が川に投げ入れようとしていたらしい」「なに?!川へ投げ入れる?!」
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