一葉恋慕・明治編
一葉恋慕(大森での邂逅編)」の続きです。こんどは私が明治時代にワープして来ました。一葉さんや母おたきさん、妹邦子さんがどう暮らしてらっしゃるのか…のぞき根性で拝見しに行って来ました…などと、冗談ですが、とにかく一葉女史の本懐に迫りたくて女史の往時を描いてみようと思ったのです。こんどは前回の「私」こと車上生活者は登場しませんのでご安心を。ただ、このシリーズのラストのラストに、思わぬ形で「私」と大森での邂逅を描いては見せますので、その折り、その有りさまをどうかご確認なさってください。では明治の世をお楽しみください。著者多谷昇太より。
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感想
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女性の間で時代を超えて、いつまでも輝きを失わない文学作品と云えば「源氏物語」でしょう。作者は紫式部。生前その紫式部の生まれ変わりではないかとまで云われた作家が樋口一葉です。こちらも式部同様、単に女性のみならず性別と世代を超えて、我々日本人に愛され続ける作家と云えましょう。彼女の作品がと云うよりは一葉自身が好かれているのだと思います。でもそれはいったいなぜだと思いますか?かくお尋ねする私自身が一葉の大ファンでして、実はその理由を模索するためにこの小説執筆を思い立ったのです。模索する上でいちばん手っ取り早い方法は一葉本人に会って、暫しの交誼をお願いするのがベストだと思います。そこで、私は一葉をいっとき平成の御世(この4月で終りますがね)にワープさせて、その上で私と対談してもらうことを思い立ったのです。場所はなぜか大森、東京都大田区の大森です。実はその大森で、就中区内の某公園でこの構想を思い立ったがゆえのことなのですが、その事と次第は小説内で私自身(小説内では‘俺’と云ってますが)に述べさせることとしましょう。さあ、では論より‘小説’、さっそくあなたも樋口一葉に会ってみてください。夜の公園へと…私がエスコートいたしましょう。
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