人生和歌集 －風ー（２）

第三章 ストーカー

台風７号、御蔵島（みくらじま）移住（４）

気が付いたら既に就職を約しておいた御蔵島の先様に変心翻意の旨のメールを送っていたのでした。寮始め受け入れ万端を整えていた先様の若社長は「寮には米もあるし鍋釜も寝具もみんなある。何も心配要らないからとにかく来るように。早朝でも俺が港まで迎えに行ってやる」と呆れながらも電話をくれたのでしたが、私はもう〝翻意の翻意〟をしませんでした。出来なかった。いい年をこいてハムレットのような迷いぶりは見っともなかったし、だから、よくよく熟慮した上でのお断り…などと云い繕う始末だったのです（だったら始めっから就職申し込みなどするなよ！見っともねえな！）。結局最後は「ちっ」と舌打ちするような感じで若社長は電話を切ったのでした。畢竟これで終わり。ジ・エンドになってしまった。その折の感慨は？…いや、と云うかその途端に感じ取った印象は？…と云うと『ああ（また）やってしまった。心が弱いがゆえに自ら犯す愚行の情けなさ！』ということでした。この絶望的なストーカー囲みの地獄から唯一抜け出せる、奇跡のようなチャンスをむざむざと自ら反故にしてしまった。もし人に守護霊などというものがあるならば、今回のことは私の〝地獄〟を見るに見かねた守護霊が方々手を尽くして画策してくれたものではなかったのか？…とその時になって思い至たったものです。「ちっ」という若社長の舌打ちはまさしく守護霊のそれだったのでしょう…。無念！😢

ＰＳ（１）：冒頭の台風７号の直撃をもし御蔵島で受けたなら…などと往時危惧したものでしたよ。それもまさしく思案投首のひとつでした。ところが７号はその後見事に鎌首を西に向けて逸れて行ったのでした。尽々バカですねえ、私は。🤣
ＰＳ（２）：最後に〝えげつな〟にちょっと戻りますがね、電話が切れてすべてが終わり私が落胆していると〝してやったり〟とばかりストーカーどもが元気を取り戻し、プータプータプータの大合唱と真下４０１号からはガンガラガンの機械音が盛大に立ち上がりました。 😣 ！！！
とにかく…年甲斐もなく島に移住し寮住いなどを画策しなければならないほどの、私の悲惨さということです。高齢ですから幾許もなく私は（人に迷惑を掛けずに）死ななければならない。衰え行く身体を覚えながらも何とか働き、死に代を稼がなければならないのです。そのシチュエーションは手塚治虫原作「火の鳥・宇宙編」のサブ主人公、牧村隊員のごとし！…であります。