エッセイのプロムナード

アジア小説との出会い

文学は先兵、吶喊（とっかん）！

　さてかく縷々と記して来たごとくアジアの人たちの等身大の姿を私は小説から知ることができた。それはニュースや観光旅行などからは伝わってこない、時空をさえ超えた、彼らとの生きた出会いであった。ミャンマーの小説界の重鎮であるマウン・ターヤの日本語版への序文で「まず関心を持ち、次に知ろうとし、そして関わってみて、理解することができる」とあり、その言を地で行く思いがしたものである。人間の原点に立った、先兵としての、生きた小説には「力」がある。偏見や無理解の壁をぶち壊すことができる。ナショナリズム、民族の壁さえも。そのごとくに私における対人関係の壁をも突きくずして行きたいものだ。六十三年におよぶ悪習のしがらみはしつこく、強大ではあるが、キンフニンユの「甘い微笑」にいつか邂逅すべく、ただに努めて行こう。蕭紅の小豆ぼうやに、「ごめんね」と詫びて、ともに蓮花池で遊びたいものと思うからである…。

（※アジア各国の短編集を邦訳された方々に感謝します。この方々の才能と努力がなかったらば、いかなる出会いもあり得なかった…）
（※繰り返し「みなせ文芸２」とは私が所属するネット文芸誌２誌のことです［「みなせ」と「あおむしさん」の２誌があって両方ともに所属しています。「みなせ文芸２」とネットに打ち込んでいただければ出て来ます。アルファポリスに投稿を始めてからは書き下ろしはこちらアルファポリスに寄せますので、私の最新の原稿・作品はこちらでお読みください。また２誌にないものもありますので、よろしくどうぞ）

　　　　　【小豆が遊びたがった蓮池…天国で虫たちと戯れているでしょう】