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第四章 得度式と鏡僧侶
生意気な露助
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建物の下の空地には管理人(つまりペアレント)の男がサマーベッドを置いて、団扇を煽ぎながら日がな一日寝そべっていた。そのような実に気の置けないものだったのである。その男に挨拶して2階に上がってみると俊田はまだ帰宿していなかった。かわりに5、6名ほどのホステラーたちが屯していて何やら盛り上がっているようすである。
グループの真ん中にいかにも骨太という感じの日本人が椅子にドーンと腰かけていて、それを囲んで同じ日本人が2、3名、さらにファットで愛嬌があるが実に悪い癖を持った露助(こいつばかりはロシア人と云うに当たらない)が立っていて演説を打っているようだ。我々日本人を見ると詰る癖があってどうやら今もそうらしい。曰く「俺には実に綺麗な~人(どこの国やら忘れた。とにかく白人女)の彼女がいた。女優みたいだった。(そして聞かれもしないのに)彼女がお前ら日本人を相手にすることはない」ここでわざとらしく顔をしかめて見せ、腕を一振りして「お前らなんて、ケッ、彼女にとってはお笑いだ」と俺たちをいつものように罵ってくれた。体格のいい男で我々は普段何も云い返せず「ああ、そうかい、そうかい」とばかり無視するしかなかった。ところがこの日は新顔のホステラーながら露助同様にでかい態度を取る日本人がいて、なんでも自衛隊上がり(か、現役だったか…)とかで、同隊の格闘術に精通しているとのことだった。どうやら他の日本人の面々は彼に露助との対決を期待しているようだ。「この男は空手(格闘術とは云わなかった)をやるんだ」とばかりさかんに露助に吹聴している。「なに?空手?ケッ、そんなもの…(その男に)有段なのか?」と上目線で露助が訊く。
グループの真ん中にいかにも骨太という感じの日本人が椅子にドーンと腰かけていて、それを囲んで同じ日本人が2、3名、さらにファットで愛嬌があるが実に悪い癖を持った露助(こいつばかりはロシア人と云うに当たらない)が立っていて演説を打っているようだ。我々日本人を見ると詰る癖があってどうやら今もそうらしい。曰く「俺には実に綺麗な~人(どこの国やら忘れた。とにかく白人女)の彼女がいた。女優みたいだった。(そして聞かれもしないのに)彼女がお前ら日本人を相手にすることはない」ここでわざとらしく顔をしかめて見せ、腕を一振りして「お前らなんて、ケッ、彼女にとってはお笑いだ」と俺たちをいつものように罵ってくれた。体格のいい男で我々は普段何も云い返せず「ああ、そうかい、そうかい」とばかり無視するしかなかった。ところがこの日は新顔のホステラーながら露助同様にでかい態度を取る日本人がいて、なんでも自衛隊上がり(か、現役だったか…)とかで、同隊の格闘術に精通しているとのことだった。どうやら他の日本人の面々は彼に露助との対決を期待しているようだ。「この男は空手(格闘術とは云わなかった)をやるんだ」とばかりさかんに露助に吹聴している。「なに?空手?ケッ、そんなもの…(その男に)有段なのか?」と上目線で露助が訊く。
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