サマネイ

多谷昇太

文字の大きさ
上 下
60 / 73
第四章 得度式と鏡僧侶

生意気な露助

しおりを挟む
建物の下の空地には管理人(つまりペアレント)の男がサマーベッドを置いて、団扇を煽ぎながら日がな一日寝そべっていた。そのような実に気の置けないものだったのである。その男に挨拶して2階に上がってみると俊田はまだ帰宿していなかった。かわりに5、6名ほどのホステラーたちが屯していて何やら盛り上がっているようすである。
グループの真ん中にいかにも骨太という感じの日本人が椅子にドーンと腰かけていて、それを囲んで同じ日本人が2、3名、さらにファットで愛嬌があるが実に悪い癖を持った露助(こいつばかりはロシア人と云うに当たらない)が立っていて演説を打っているようだ。我々日本人を見ると詰る癖があってどうやら今もそうらしい。曰く「俺には実に綺麗な~人(どこの国やら忘れた。とにかく白人女)の彼女がいた。女優みたいだった。(そして聞かれもしないのに)彼女がお前ら日本人を相手にすることはない」ここでわざとらしく顔をしかめて見せ、腕を一振りして「お前らなんて、ケッ、彼女にとってはお笑いだ」と俺たちをいつものように罵ってくれた。体格のいい男で我々は普段何も云い返せず「ああ、そうかい、そうかい」とばかり無視するしかなかった。ところがこの日は新顔のホステラーながら露助同様にでかい態度を取る日本人がいて、なんでも自衛隊上がり(か、現役だったか…)とかで、同隊の格闘術に精通しているとのことだった。どうやら他の日本人の面々は彼に露助との対決を期待しているようだ。「この男は空手(格闘術とは云わなかった)をやるんだ」とばかりさかんに露助に吹聴している。「なに?空手?ケッ、そんなもの…(その男に)有段なのか?」と上目線で露助が訊く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

青空墓標

みとみと
青春
若者の有り余る熱情の暴走の果て。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

切り裂かれた髪、結ばれた絆

S.H.L
青春
高校の女子野球部のチームメートに嫉妬から髪を短く切られてしまう話

処理中です...