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第四章 得度式と鏡僧侶
鏡師と初対面
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これから会う鑑師が日本の永平寺から派遣された僧侶だということも。いったいどんな人物なのか気にかかる。おそらく一般人の研修に過ぎない俺であれば、山本師同様にくだけた調子で接してくれるのではないか、などと期待するがはたして…。
確かに大理石寺よりはかなり大きな宿坊(コンクリート造りだっと記憶しているが…)へと俺たちは入って行き、面会室のような、僧侶の宿坊とは違う、広い部屋へと通された。そこで鑑師を待つのだが(いつでも?)不安そうな俺に「全然心配しなくていい。私が直接君のプロフィールなり人柄なりを伝えるから。どこでも萎縮するのが君の悪い癖のようだ。もっと鷹揚に、これから自分の家に入るくらいの図太さでいなきゃダメだよ」と喝を入れてくれる。そうすると確かにそうだとばかり俺は容易に感化されるようで、いささかでも山本師然としてくるのだったが、しかしそれはいまだほとんど自己確立ができていない、一種幼稚さの為せるわざなのではないか。さらに云えばいつでもどこでも八方美人的に人を迎え入れよう、嫌われないようにしようとする生来の弱さの表れであるかも知れないのだった。いったいなぜこうも弱く、万事に於いてヒナの摺り込み性なのか…?ノックがあって鑑師と見られる僧侶が入って来た。「やあどうも、鑑です」と名乗りながら前のソファに腰掛けた彼はにこやかな顔をしていて、好人物のように見れる。山本師と同じ年令位の、なかなかの男前だ。俺の形をしげしげと見つめているがそのにこやかな表情からは内心なにを思っているのかまったく読み取れなかった。
確かに大理石寺よりはかなり大きな宿坊(コンクリート造りだっと記憶しているが…)へと俺たちは入って行き、面会室のような、僧侶の宿坊とは違う、広い部屋へと通された。そこで鑑師を待つのだが(いつでも?)不安そうな俺に「全然心配しなくていい。私が直接君のプロフィールなり人柄なりを伝えるから。どこでも萎縮するのが君の悪い癖のようだ。もっと鷹揚に、これから自分の家に入るくらいの図太さでいなきゃダメだよ」と喝を入れてくれる。そうすると確かにそうだとばかり俺は容易に感化されるようで、いささかでも山本師然としてくるのだったが、しかしそれはいまだほとんど自己確立ができていない、一種幼稚さの為せるわざなのではないか。さらに云えばいつでもどこでも八方美人的に人を迎え入れよう、嫌われないようにしようとする生来の弱さの表れであるかも知れないのだった。いったいなぜこうも弱く、万事に於いてヒナの摺り込み性なのか…?ノックがあって鑑師と見られる僧侶が入って来た。「やあどうも、鑑です」と名乗りながら前のソファに腰掛けた彼はにこやかな顔をしていて、好人物のように見れる。山本師と同じ年令位の、なかなかの男前だ。俺の形をしげしげと見つめているがそのにこやかな表情からは内心なにを思っているのかまったく読み取れなかった。
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