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第一章 大森公園
深夜の公園では何かが起こる
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数メーター先のベンチに誰か居る。弱視であるにも拘らず眼鏡を掛けることが嫌いな私には都会の中とは言え、夜陰に沈む、木々の生茂った公園内にあってはそれが誰なのかよく判らない。此処をねぐらとしている路上生活者だろうか。境遇的にさしてそれと変わりなく、世間の差別の目から逃れて、暫し安息の時を過そうと思っていた私にはその存在が迷惑だった。相見互いと思われようが、世に疎んじられ、気の荒んだ者同等にあっては却って互いに敬遠し合う場合が多いのだ。少なくとも今の私はそうだ。相手の情けない姿に我が身を見てしまうのである。下手に絡まれない内にさっさとベンチの前を通り過ぎて、更に公園の奥に行こうとした私はしかし足を止めた。ベンチに腰掛けて,、俯いたまま地面を見詰めているその人物の異様な姿と、何某か尋常ではない一種悲愴な雰囲気に気を飲まれたからである。まず、明らかに路上生活者ではない。男ではなく女である。それも大層うら若い。また至って質素なのだが今時あり得ない日本髪の頭と、くすんだ格子縞の着物に小豆色の羽織姿が何とも奇妙だ。膝の上に風呂敷包みを置いているのもどこかおかしい。今時風呂敷など使うものだろうか?よからぬ了見からでなく、しかししきりに頭の中で詮索し続ける私の視線にとうとう気付いたのか、女が頭を上げて私を見た。それまでまったく心此処にあらずとばかりなにごとかに打ち悩んでいた女の表情は一転して驚愕をあらわしていた。いきなり出現した‘男’の私に胆を冷やしたのだろう。
【深夜の公園では何かが起こる】
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