5 / 9
カシオペア50年、人類絶滅
しおりを挟む
マサト「ミキ、感じないか?ここは、この谷間は、おそらく‘場’だ。現実の風景ではない」
ミキ「場って……どういうこと?」
マサト「きみとぼくの場さ、二人だけの。ぼくたちは……そうだ、だんだんと記憶が戻って来た。ミキ、ぼくたちはカシオペア50年頃に地上に住んでいたんだ。核戦争が起こって……人類は死滅した」
ミキ「ああ、そうだ!(悲鳴に近い泣き声)マサト、私たち二人だけが生き残って、そして……」
マサト「そして、ぼくたちは決断した。このまま死んで別れ別れになる前に結婚しよう、いっしょになろうって。そしてその結婚とは……」
ミキ「そうよ、マサト。私たちは猿田博士にお願いしたのだったわ。わたしたちの他にもう一人、地上に生き残って、地球上のいろいろな生物を残そうとしていた方……」
マサト「ぼくたちの意識をコンピュータに取り込んでもらって、その中で二人は融合しようと、いっしょになろうと……そう決めたんだったね。だけど博士は先に亡くなってしまった」
ミキ「だから私たちロビタに頼んで……」
ロビタ『ピー!いまなんと?……なんと云われた?!このロビタに頼まれたとは、いかなることか。そもカシオペア50年とはいつのことなりしや。わがメモリーにそのような年号は存在せず、世界のいかなる国にもあらざるべし。奇怪なるかなこの二人、まこと奇怪……い、いや、悉皆、理解不能なり。ピー』
ミキ「ロビタ……あのかわいらしかったロボット。いま何しているのかしらね。ねえ、マサト、まだロビタは残っていると思う?地球上にたったひとりで」
マサト「わからない。人間は死に絶えただろうし……ぼくたちが入ったコンピュータを守ってくれているかどうか。だいいち……」
ミキ「だいいち、なによ」
マサト「はたしてぼくたちはコンピュータの中でいっしょになれたのだろうか。あの瞬間、二人の意識を取り込んでもらった瞬間は、確かに君を確認した。いまこうしているようにこの手で君を抱きしめ、願いがかなえられたことを喜んだんだ」
ミキ「ああ、そうだったわ!あの時はうれしかったわねえ、マサト。これでいつまでもいっしょにいられるんだって……」
マサト「ああ、そうだったね、ミキ。だけどミキ……そのあとの記憶がまったくないんだ、ぼくには。ミキ、きみにはあるかい?」
ミキ「場って……どういうこと?」
マサト「きみとぼくの場さ、二人だけの。ぼくたちは……そうだ、だんだんと記憶が戻って来た。ミキ、ぼくたちはカシオペア50年頃に地上に住んでいたんだ。核戦争が起こって……人類は死滅した」
ミキ「ああ、そうだ!(悲鳴に近い泣き声)マサト、私たち二人だけが生き残って、そして……」
マサト「そして、ぼくたちは決断した。このまま死んで別れ別れになる前に結婚しよう、いっしょになろうって。そしてその結婚とは……」
ミキ「そうよ、マサト。私たちは猿田博士にお願いしたのだったわ。わたしたちの他にもう一人、地上に生き残って、地球上のいろいろな生物を残そうとしていた方……」
マサト「ぼくたちの意識をコンピュータに取り込んでもらって、その中で二人は融合しようと、いっしょになろうと……そう決めたんだったね。だけど博士は先に亡くなってしまった」
ミキ「だから私たちロビタに頼んで……」
ロビタ『ピー!いまなんと?……なんと云われた?!このロビタに頼まれたとは、いかなることか。そもカシオペア50年とはいつのことなりしや。わがメモリーにそのような年号は存在せず、世界のいかなる国にもあらざるべし。奇怪なるかなこの二人、まこと奇怪……い、いや、悉皆、理解不能なり。ピー』
ミキ「ロビタ……あのかわいらしかったロボット。いま何しているのかしらね。ねえ、マサト、まだロビタは残っていると思う?地球上にたったひとりで」
マサト「わからない。人間は死に絶えただろうし……ぼくたちが入ったコンピュータを守ってくれているかどうか。だいいち……」
ミキ「だいいち、なによ」
マサト「はたしてぼくたちはコンピュータの中でいっしょになれたのだろうか。あの瞬間、二人の意識を取り込んでもらった瞬間は、確かに君を確認した。いまこうしているようにこの手で君を抱きしめ、願いがかなえられたことを喜んだんだ」
ミキ「ああ、そうだったわ!あの時はうれしかったわねえ、マサト。これでいつまでもいっしょにいられるんだって……」
マサト「ああ、そうだったね、ミキ。だけどミキ……そのあとの記憶がまったくないんだ、ぼくには。ミキ、きみにはあるかい?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
渋谷少女A続編・山倉タクシー
多谷昇太
ライト文芸
これは既発表の「渋谷少女Aーイントロダクション」の続編です。霊界の東京から現実の東京に舞台を移しての新たな展開…田中茂平は69才になっていますが現世に復帰したA子とB子は果してあのまま…つまり高校生のままなのでしょうか?以降ざっと筋を述べたいのですがしかし叶いません。なぜか。前作でもそうですが実は私自身が楽しみながら創作をしているので都度の閃きに任せるしかないのです。唯今回も見た夢から物語は始まりました。シャンソン歌手の故・中原美佐緒嬢の歌「河は呼んでいる」、♬〜デュランス河の 流れのように 小鹿のような その足で 駈けろよ 駈けろ かわいいオルタンスよ 小鳥のように いつも自由に〜♬ この歌に感応したような夢を見たのです。そしてこの歌詞内の「オルタンス」を「A子」として構想はみるみる内に広がって行きました…。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
Husband's secret (夫の秘密)
設樂理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
夫のカノジョ / 垣谷 美雨 さま(著) を読んで
Another Storyを考えてみました。
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
【R18】かわいいペットの躾け方。
春宮ともみ
恋愛
ドS ✕ ドM・主従関係カップルの夜事情。
彼氏兼ご主人様の命令を破った彼女がお仕置きに玩具で弄ばれ、ご褒美を貰うまでのお話。
***
※タグを必ずご確認ください
※作者が読みたいだけの性癖を詰め込んだ書きなぐり短編です
※表紙はpixabay様よりお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる