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海を渡る風
薬売り
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薬売りやらぬかと問ふ男らゐて羽振りのよさを示しをるがね
※ユースから遠からぬ所にウィンピーという英国系のセルフサービス・レストランがありました。いつもパンとサラミソーセージと(生の)西洋ニンジンの食事(でもバランスとれてるでしょ?このメニュー)ばかりだった私は、ある日勇を鼓してこのレストランに入った。勇を鼓すという大仰な表現の分けはもちろんお金をas possible as節約する必要があったからです(少なくもバイトに就くまでは)。でも一度くらいという〝誘惑に負けて〟入ってしまいました。メニューはハンバーグとパン。日本でお馴染みのハンバーグライスと同じですがただ皿の中にはフライドポテトではなくポテトチップスが入っていたのはご愛敬でした。それでもあんかけがかかったハンバーグと温かい野菜は久しぶりに頂くご馳走で、舌鼓を打っていると見知らぬ日本人の二人連れが入店して来て、歓談を装って同席した。小綺麗な身なりはバックパッカーには見えない。差し障りのない歓談のあとおもむろに「おたくはバイト探し?それともケット?」と訊いてくる。ケットというのはケット売り、針金士の別称で、針金造りの指輪やらネックレスやらを街角に敷いたケットの上に並べて売る人間のことです。ブツはストックホルムにそれを造る親玉がいてその彼氏が広く売り子を使って欧州中で商売していたのです。前者と答えた私に二人は「それじゃあさ、おたく、薬売りやらない?月✕✕✕✕フラン(当時の私には驚くべき高額)は保障するよ」と勧誘するのです。その合間に「たまにこういう粗末な食事もいいよね」と自分たちがセルフして持って来た料理を指しながら嘯いてみせます。ところが聞く私の方は『え?薬?』と聞くや否や始めっから応じる気がありません。何につけこういう人に迷惑をかけるような“ワル〟行為は往時も今も真っ平御免の私であったからです。二人はすぐに去りましたがとにかく、この体験は私のランボー巡礼旅における忘れられない一コマとはなりました。
【こうやってハシシを紙で巻いてそれを両手を使って空気ごと吸うのです】
※ユースから遠からぬ所にウィンピーという英国系のセルフサービス・レストランがありました。いつもパンとサラミソーセージと(生の)西洋ニンジンの食事(でもバランスとれてるでしょ?このメニュー)ばかりだった私は、ある日勇を鼓してこのレストランに入った。勇を鼓すという大仰な表現の分けはもちろんお金をas possible as節約する必要があったからです(少なくもバイトに就くまでは)。でも一度くらいという〝誘惑に負けて〟入ってしまいました。メニューはハンバーグとパン。日本でお馴染みのハンバーグライスと同じですがただ皿の中にはフライドポテトではなくポテトチップスが入っていたのはご愛敬でした。それでもあんかけがかかったハンバーグと温かい野菜は久しぶりに頂くご馳走で、舌鼓を打っていると見知らぬ日本人の二人連れが入店して来て、歓談を装って同席した。小綺麗な身なりはバックパッカーには見えない。差し障りのない歓談のあとおもむろに「おたくはバイト探し?それともケット?」と訊いてくる。ケットというのはケット売り、針金士の別称で、針金造りの指輪やらネックレスやらを街角に敷いたケットの上に並べて売る人間のことです。ブツはストックホルムにそれを造る親玉がいてその彼氏が広く売り子を使って欧州中で商売していたのです。前者と答えた私に二人は「それじゃあさ、おたく、薬売りやらない?月✕✕✕✕フラン(当時の私には驚くべき高額)は保障するよ」と勧誘するのです。その合間に「たまにこういう粗末な食事もいいよね」と自分たちがセルフして持って来た料理を指しながら嘯いてみせます。ところが聞く私の方は『え?薬?』と聞くや否や始めっから応じる気がありません。何につけこういう人に迷惑をかけるような“ワル〟行為は往時も今も真っ平御免の私であったからです。二人はすぐに去りましたがとにかく、この体験は私のランボー巡礼旅における忘れられない一コマとはなりました。
【こうやってハシシを紙で巻いてそれを両手を使って空気ごと吸うのです】
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