人生和歌集 －風ー（１）

色々しき風

余所衣（よそい）をはがす

小径あり緑のふすまそとそあけ来すひと見ればわが夏見まし
※子供時分郷里の集いが浜離宮で夏に開かれ連れて行かれた。そのおり園内を散策する和服の麗人を見た記憶が、園の美しさとともに原風景のように心に残っている。

とこしへに十五の春の君をおもふわが世ひと世のおはりまでもと
※中学校時代の我校のマドンナを歌う。日本一ではなかったかと今でも真剣に思っている。

歌姫の才子佳人のわれにあれなさこそ喜び日々にまさりめ
※つまりお互いに相聞歌を詠める喜びですね。

鳰鳥（におどり）のふたり並びてゐてしがな写真をとらむ千代もかたらむ
※鳰鳥の；枕詞「二人並びゐ」にかかる。

色かほる梅は湯島とさだめしを行きもせぬのはお蔦つれかね
※色かほる：「色映ゆる」ではない。美しい梅の花となにより境内に充ちるその芳香をこう表現した。

　　　　　　　　　　　　　【湯島天神の梅】

オレンジの皮むくごとくをみなみの余所衣はがすははつひになからず

　　　　　　　　【余所衣を剥がさなければ実をいただけません…】