ゼフィルス、結婚は嫌よ

多谷昇太

文字の大きさ
上 下
9 / 33
チェリッシュ

超能力者、美枝子?

しおりを挟む
 話をもどすがその武道館からの帰り道、九段下駅までの道すがら美枝子から「ねえ、惑香。あの男は間違いなく、あなたが目当てよ。わたしの目に狂いはない。どこの誰だか、なぜ名前すら云わないのか、それは知れないけどね。握った手の感触から伝わって来た感じでは、ジャスト、ミステリーね」とする文字通りミステリー話を聞かされていたのだ。「ミステリー?なにそれ」と惑香が聞くのに「わたしはダンサーだからさ、ほかのダンサーの輝き度に敏感なのよ。つまり全身であらわすオーラね。それでそれはダンサーのみならず普通の、一般の人にまで習い性になっちゃって、その人のありようって云うか、ウソのないところを感じようと思えば感じられるのよ。うふふ、それって信じる?」「うーん、わからない。ほんとだったらすごい」「だろうね。でもさ、そのわたしでもあの男が読めなかった。なんて云うか、深い、そして長いのよ」「深い?長い?」「うん。あんなの初めてだった。わたし、もし悪い了見の男だったらあなたを守ってやろうと思ってさ、ふふふ、気合を入れて握手してみたんだけど…弾き飛ばされちゃった。静かだったけど半端じゃない、彼の中の何かに」「何か?…何かって、何よ」「さっきのあんたじゃないけど、うーん、わからないって云うほかないわね。普通の人間と次元が違うって云うか、さっき云ったはるかなる時間の経過と蓄積が感じられたって云うか…それってわかる?また、うーん?」惑香は笑って「うん、わかんなーい」と云うほかなかった。美枝子はおどけてガクッとずっこけてみせたが、しかし最後にもうひとこと‘わかんない’ことをつけ加えた。「それと惑香…」「なによ?」「あの男は…とにかくピュアだよ。あなたに対して」という意味深なひとことを…。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】Amnesia(アムネシア)~カフェ「時遊館」に現れた美しい青年は記憶を失っていた~

紫紺
ミステリー
郊外の人気カフェ、『時游館』のマスター航留は、ある日美しい青年と出会う。彼は自分が誰かも全て忘れてしまう記憶喪失を患っていた。 行きがかり上、面倒を見ることになったのが……。 ※「Amnesia」は医学用語で、一般的には「記憶喪失」のことを指します。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

ダンス・バトル

オガワ ミツル
現代文学
或る街の中にある社交ダンスの教室には、様々な人が集まってくる。初心者や見学者。そして熟練者の男と女達は、更なる技を高める為に、汗を流している人たちの溜まり場でもある。この中では自分が最高と自負し驕る人、またレベルが高いのに誠実に振る舞う人、噂が好きな人たち。そんな彼等でそこはいつも活気があった。その教室には様々なドラマが始まっていた。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

処理中です...