2 / 13
3人のアポ(1)の続き
カナさん!止めるんだ!
しおりを挟む
しかしそれへ、こちらも額に青筋を立てたカナが立ち上がって、云い返すよりも何よりも、遮二無二(しゃにむに)男に向かって行こうとするのを大伴さんが懸命に止める。「カナ!いいから!おとなしくして!…」さらに「ミカ、村田君、カナを抑えていて」と要請する。ミカは「カナ…」と呼びかけてからカナにすがるが俺は何もしないで…いや、出来ないでいる。俺が抑えようものならカナの怒りは倍加するだろうからだった。カナをミカに託してから大伴さんは男に向き直り深々と首(こうべ)を垂れて、謝って見せた。
「どうも申しわけありません。(カナとミカを指してから)この子たちはまだ分別の効かない娘盛りでして、なんでも笑ってしまうのです。あの…それこそ葉っぱが木から落ちても笑ってしまうような塩梅で…へへへ」と照れ笑いをし男の剣幕を抑えようとする。男はこの時始めて大伴さんの美貌に気づいたような表情(かお)をし、同時に自分を上回るような、ちょっと異常とも思えるほどのカナの剣幕にたじたじともしたようだ。またこちらも改めて思い出したかのように男である俺の存在を警戒する表情をもして見せた。それやこれやでさきほどの俺同様毒気を抜かれたがごとくに「…ま、あんたがそう云うんなら、お、俺だって別にいいんだ。その…あ、あの子たちに少しは礼儀を弁えるよう云っといてくれよ」と云い残して立ち去ろうとする。しかしカナが「うるせえ!」と吼え「てめえ…」と啖呵を切るか、あるいは打ちかかろうとさえしてしまう。俺は思わず立ち上がってカナの左手を抑え「カナさん!止めるんだ!」とこれを制した。大伴さんにこれ以上負担が、迷惑がかかることに堪えられなかったのだ。
【一発張ってやろうか?!(-_-メ)…カナの剣幕。Farmgirlmiriamさんの作品 from pixabay】
「どうも申しわけありません。(カナとミカを指してから)この子たちはまだ分別の効かない娘盛りでして、なんでも笑ってしまうのです。あの…それこそ葉っぱが木から落ちても笑ってしまうような塩梅で…へへへ」と照れ笑いをし男の剣幕を抑えようとする。男はこの時始めて大伴さんの美貌に気づいたような表情(かお)をし、同時に自分を上回るような、ちょっと異常とも思えるほどのカナの剣幕にたじたじともしたようだ。またこちらも改めて思い出したかのように男である俺の存在を警戒する表情をもして見せた。それやこれやでさきほどの俺同様毒気を抜かれたがごとくに「…ま、あんたがそう云うんなら、お、俺だって別にいいんだ。その…あ、あの子たちに少しは礼儀を弁えるよう云っといてくれよ」と云い残して立ち去ろうとする。しかしカナが「うるせえ!」と吼え「てめえ…」と啖呵を切るか、あるいは打ちかかろうとさえしてしまう。俺は思わず立ち上がってカナの左手を抑え「カナさん!止めるんだ!」とこれを制した。大伴さんにこれ以上負担が、迷惑がかかることに堪えられなかったのだ。
【一発張ってやろうか?!(-_-メ)…カナの剣幕。Farmgirlmiriamさんの作品 from pixabay】
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ランボー、汝、神よ
多谷昇太
青春
私が19才の頃から25才辺りのことを記した、約2年に及んだ海外放浪生活をメインとする自伝的、いや自省的な小説です。作中詩編をいくつも編入しています。というのも私は詩人をも自称していますので…。1970年代頃のヨーロッパに於ける日本人ボヘミアンたちの生態をも実態に即して紹介していますのでお楽しみに。ところで、いま私はすでにン才ですが、はたしてこの青春放浪記を書くに当たって往時の境涯だけを記したものか、それとも合間合間に今および中・実年時の折々の、往時を振り返っての感慨をも挿入すべきか、ちょっと迷っています。なぜかと云うに放浪時以後、あとになればなるほど当時の〝若気の至り〟に思いを致すことが多く、はたしてこの反省を入れずにこの書を世に問うのもいかがなものかと思えるからです。斯様な分けでこれ以後の執筆過程で場違いな、いや「時」違いな箇所が入るかも知れず、ひょっとしてそれが読者の皆様の興味を削ぐかも知れませんが、その際はどうか悪しからずご勘弁のほどを予め申し上げておきます。
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる