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乱世下威区編 下
エピローグ:復讐のブルー・ペグランタン
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澄男たちがいる擬巖領から、遥か西方。ヒューマノリア大陸からも離れた僻地にて、大鋏―――``双子剣``は巨大な水球に封じ込められていた。
``双子剣``がいる場所は、無限に広がる大海原。大海ユグドラの真上である。
``双子剣``を包み込む巨大な水球は、カエル総隊長が発動した技``淵魔奥義・釜蓋封牢``によってもたらされたものであり、この世界にあるほとんどのものならば、囚われたら最後、抜け出すのは不可能になるほどの強力な封印術である。
そう、ほとんどものならば、だ。何事にも、例外というものは厄介事を巻き起こす。
``双子剣``は、ただの武器ではない。超能力をその身に宿す、究極の兵装。いくら万物を封じ込められる強力な封印術であろうとも、超能力の前には塵に同じである。
水球が、弾けた。ただでさえ大質量だった水球が弾けたことで、雲一つないにもかかわらず、周囲にゲリラ豪雨が降り注ぐ。豪雨の量は凄まじく、湧き出る波浪を赫怒の化身へと変貌させ、大海ユグドラが荒れ狂う。
しかし``双子剣``は意に介しない。知らぬ存ぜぬと主張するように、その身を流星へと姿を変えた。
怒り荒れる大海ユグドラの頭上を駆ける、一筋の流星。その速度たるや凄まじく、数秒足らずでヒューマノリア大陸へと返り咲き、上威区の頭上すらも軽々と越えていく。
``双子剣``が目指す先は、武市の北部。中威区北部都市。その都市の中心に聳え立つ高層ビルの一部屋に突撃する。
窓ガラスを突き破り、壁に突き刺さったところでようやくその動きを止めた。
「なん……だ?」
部屋の主が、警戒しながらもゆっくりと``双子剣``との距離を縮める。
高層ビルの一室に突撃したのだから、部屋の主がいるのは必然である。しかし彼女の部屋に突撃したのは、果たして偶然か、必然か。
「……はさみ?」
黒いポンチョに身を包む、巨大な黒百足を敷布団代わりにする使役者の少女―――ブルー・ペグランタン。``閃光``のホーランと双璧を成す、北支部監督官の一人である。
恐る恐る``双子剣``に近づく。海を形容させる蒼い瞳が、壁に突き刺さった鋏を映した。
「……なんか、みたことあるよーな……なつかしー、かんじ……」
ブルーは吸い込まれるように、肘より先がない腕を伸ばす。
目が離せない。それが彼女の中で支配する唯一無二の感情だった。しかし、その起源が何なのかまでは、分からない。記憶の片隅、己の海馬にある深淵にあるだろうそれを無我夢中で手繰り寄せる。
肘の先と剣の柄が、触れ合った。
「うっ……!」
目が痛くなるほどの、閃光。網膜が焼きつく感覚を覚え、思わず瞼を閉じる。
目の痛みが治るまで、数秒かかるほどの光量。記憶の奥底を手繰り寄せる見えざる腕で、反射的に顔を覆う。
体感にして二分ぐらいだろうか。痛みが治り始め、ようやく目を開けた。
「え……!?」
眼前に広がる景色は、目の前に現れた大鋏よりもずっと、見覚えのある情景だった。
見渡す限り、無限に広がる大荒野。大地は痩せこけた砂利が広がり、周囲には自然に還りかけた廃屋が際限なく地面から生えている。
忘れるはずがないし、忘れられるものでもない。自分が生まれる遥か昔に栄えていたであろう文明国、その名残だけが残る荒地。農耕すらできた試しがないほどに痩せたその土地で、毎日日陰で蹲っては、世界に、その全てに絶望していた頃を思い出す。
下威区重スラム地域。ナユタとツムジ、彼らとともに僅かな間だけ暮らしていた、忌々しいだけの故郷。
任務請負人になって、レクとともに北支部監督官となり、稼いだ日銭をとある孤児院に寄付する毎日になってからというもの、思い出すことすらも忘れていたが、その景色が目に入った瞬間から、あの頃の自分が目を覚ます。
「……かわんねーな、ほんと」
幻なのは分かっている。本当の下威区なら、思わず鼻を摘みたくなる濃い死臭と鼻腔にしつこくこびりつく血の匂いが、どこにいても、外にいても建物の中にいても、ずっとついてきていたものだ。
ここではそれらの匂いが全くしない。おそらく鋏に触れた者が持つ特定の記憶を参照し、その情景を緻密に再現する事象干渉の類だと、ブルーは瞬時に判断していた。
とはいえ、気分の良いものではない。むしろ不快だ。悪戯の限度を優に超えている。一瞬とはいえ、むーちゃんの餌にしてやろうかと魔が差しかけたほどだ。
それぐらい下威区で生まれ育った者にとって、下威区とは何人にも触れられたくない呪われた土地なのだ。
「……なめたまねしやがって」
事象干渉による攻撃なのは分かっている。むーちゃんの姿がないが、むーちゃんとの繋がりが途絶えた気配もない。いざとなればむーちゃんを呼び出して術者を食い殺してもらうことになるが、それは最終手段だ。
特定の記憶を参照して、その情景を緻密に再現する。文章として書くだけならばなんら難しくないことであるが、それを実際に成そうと思うと求められる技量は請負人のレベルを優に超える。
自分ならできるか、と問われると、できないと答えるしかないほどに、高度な技術だ。むーちゃんならできるかもしれないが、役割上やらせたことがないので分からない。
「まあいい。なんにせよ、みつけてブチのめす」
ブルーが至った結論は単純だった。やられたらやり返す、ただそれだけ。黙ってやられてやるほどお人好しでもなければ無抵抗な馬鹿でもない。
いくら緻密と言っても、結局は霊力で形作った幻だ。霊力の流れを辿り、術者を特定すればいいだけのこと。その情報をむーちゃんに伝え、拘束してもらえば終いだ。
「さて、れーりょくのすじは……ん?」
砂埃の先に、人影。視力は悪くない方だと思うが、いかんせん砂埃が立っていてよく見えない。風まで再現してやがるとは中々完成度の高い幻術だと感心したくなるが、砂埃が薄まると、その人影の輪郭を瞳が正しく捉えた。
「な……ナユタ!?」
それは、その人影は、自分がよく知る人物だった。片時も忘れたことなどないし、彼の存在を自覚するだけで、呪われた土地の面影など一瞬で霞むほどに、その存在たるや己の中で強大な光となって焼き付いている。
ナユタ。亡きツムジの遺志を継ぎ、生きる価値があるのかどうかも分からないゴミカス野郎でも半殺しで放逐する甘い奴で、全てを守ろうとして、全てを失っちまった唯一の家族。
あの頃の自分は荒んでいた。下威区の現状に絶望し、ナユタやツムジが守っていた孤児たちもみんなみんな死んで、何もかも希望を見出せなかった。
だからこそ、決別した。
下威区を脱出する。自分が知らない世界へ足を踏み入れて、下威区には存在しない希望って奴を見出す。故郷にはもう、絶望しかない。そこでのうのうと腐って閉じこもって生き続けるには、あんまりにも辛すぎた。
その後しばらくして色々あってレクと出会うことになるが、生き残って下威区を抜け出せたことは、ただ運が良かっただけなのだと知るのは、かなり後になってからだった。
ナユタに中威区へ行くと告げたとき、アイツが口汚く素っ気なく、糾弾してきた意味を知ったのも―――。
「な、ん……うそだ、そんなはず、は……!」
ナユタとは、もう会えない。那由多は、あの呪われた土地で生涯を全うするつもりだった。アイツの力なら武ノ壁を越えられただろうが、きっとアイツならその選択を選ばない。選ぶはずがない。
「……殺す」
敵意がある、じゃ済まされない。済ます気もない。あまりにタチが悪すぎる。
レクは今日夜勤。仮にむーちゃんに始末してもらったとして、むーちゃんに跡形もなく食べてもらえば証拠は残らない。問題は同じ請負人だった場合だ。
請負人を殺してしまうと同士討ちとなり、クビにされる。それだけは避けねばならない。食い扶持を失うだけではなく、孤児院に寄付することもできなくなる。それだけは、絶対に。
となると、やるべきは三つ。術者の特定と分析。そして殺害するか否かの判断。
特定と分析は探知系魔法で、もし殺害しても問題ない場合はむーちゃんの餌にする。自分が今陥っている状況を、ライフリンクを通じて伝え、探知系魔法をむーちゃんに代理演算してもらえば発動できる。
よし、道筋は立てられた。後は実行するだけ―――。
「ッ!?」
気がつくと、那由多のようなソイツが目と鼻の先まで距離を詰めてきていた。その事実に、さっきまで立てた道筋が暗黒の闇に塗り潰される。
「え……」
接敵された、反撃。そう考えた矢先、何の脈絡もなく頭を撫でられた。優しく、まるで年端もいかないガキを嗜めるように、優しく。
振り解こうとするが、その身体は動かなかった。
込み上げてくる懐かしさ。事象干渉による攻撃だと理屈では分かっていても、感情の濁流が全てを塗り潰していく。
身体は、正直だ。馬鹿みたいに、馬鹿で何も知らないガキみたいに、素直だ。頭を撫でられたのは、いつ以来だろうか。
顔を覗こうとゆっくりと見上げる。しかし、照りつける太陽光が逆光になっているせいか、人相すら窺い知れない。自分の背が低いことを、初めて悔やんだ。
「……ナユ」
タ、と言おうとしたそのとき、何かを首に下げられる。それはアイツが肌身離さず左腕に巻いていた、硝子(がらす)のネックレス。
「……生きろ」
真横から、強風。舞い散った砂利が顔に降りかかり、思わず目を閉じてしまう。
だが何故だろう。今ここで奴を見失ってしまったら、もう二度と会えない気がした。
根拠はない、確信もない。理路整然とした筋道を立てて説明するだけの理論が思いつかないが、敢えて言葉にするのなら、予感というべきか。
「な、ナユタ!」
風が強い。砂利が顔に当たって鬱陶しい。見失って堪るかと腕を伸ばす。しかしその直後、とうの昔に肘より先を故郷においてきたことを思い出した。
手があったなら、肘より先がまだ残っていたのなら、掴めたのだろうか。両腕と今生の別れを誓ったのは己への戒めのためだ。むーちゃんの治療も断ったし、これから誰に何を言われようと再生させるつもりもない。
後悔なんてしたことなかった。だが今日になって初めて、肘より先がないことに無性なもどかしさが、鎖となって己を強く縛りあげた。
気がつくと、風景は元の部屋に戻っていた。背後にはむーちゃんもいて、前には壁にブッ刺さったデカい鋏《はさみ》。忘れるにはあまりに日が浅すぎる、見慣れた寮室。さっきまで顔面を覆っていた砂利の嵐が嘘のようだ。
「むーちゃん……」
金切り音が僅かに鳴る。心の奥底で、否定の感情が湧いて出た。
むーちゃんでも分からない、鋏が見せた幻。精神に作用する事象干渉だとばかり思っていたが、むーちゃん自身は何も見ていないという。
ならアレはなんだったのか。攻撃ではないとするなら、アレは。
「え……!?」
首元に不思議な感触があったので下を見てみると、幻影の中のアイツが首にかけてくれた、硝子のネックレスが、そこにあった。
驚くな、という方が、無理がある。なにせ装飾品には頓着しない身、ネックレスなんて身につけようなどと、物心ついてから一度たりともありはしない。
そもそも鋏に触れる前までは付けていなかった。身につけたとすれば、ナユタらしき人影に首から下げられた、あのときだ。
触って確かめたいが、肘より先がない。むーちゃんに解析してもらおうとした、そのときだった。
「うッ」
ネックレスが、甲高い音を立てて炸裂する。まるで鈍器で叩き割られたかのように粉々に、跡形もなく。見る無惨に床に散る破片は、もはや手で拾えないほどに微細な顆粒と化していた。
ネックレスが壊れた。本来なら、露ほどにも気にしない。そもそも身につけないのだから、気にするか否か以前の問題だ。
しかし何故だろう。今回に限っては、壊れた理由が妙に気になった。
知らない間に衝撃を加えてしまっていた。元々亀裂が入っていた。霊力の過剰供給。物質の疲労。遅延性の攻撃系魔法。寿命。
―――寿命。
「…………うそ、だ。そんなはず、ない」
急いで破片をかき集めようと身を屈める。しかし成れの果てはすでに顆粒、かき集めようにも、かき集めるための指もない。
「ちがう。アイツは、アイツは……!」
自分が知る限り、最も死から縁遠い奴。死が似合わない奴。死を嫌悪し、終わりを畏怖し、生への渇望とともに生涯を全うすると誓った変人。
「そん、な…………アイツ…………が…………?」
信じられない。信じたくない。この世界の誰よりも生きることを尊んでいたアイツが。
仮に。仮にだとしたら、そうだとしたら―――。
「アアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!」
喪失。信じ難い、損失。
ツムジは死んだ。ツムジたちが囲っていた、自分以外のガキどもも皆死んだ。隣で黙々と泥水啜っていた奴も、隣に住んでいた枯れ木みたいなジジイも、みんなみんな。
アイツだけが生き残った。生きることに貪欲なアイツは、どれだけの死地へ向かっても、ケロッとした顔で生きて帰ってきていやがったのに。
「……そんな……そんなぁ……」
受け入れたくはない。認めたくもない。できれば例年稀に見るタチの悪い悪夢であってほしかった。
でも、これは現実。紛れもなく偽りも何もない、現実。
「どうしてだよ……なんでなんだよ……ナユタァ……」
何故なのかは分からない。生きることを何者よりも渇望し、死ぬことを誰よりも忌避していたアイツが、何故死神に拉致されたのか。
今更死神の前で間抜けに転ぶはずもない。何かが、何かがあったんだ。
「むーちゃん!」
その叫びに呼応し、むーちゃんが尻尾で鋏《はさみ》を壁から引っこ抜く。
鋏には汚れ一つもない。よく見るとツムジが持っていた``旋風``とナユタが持っていた``那由多``が合わさってできていることに今更ながら気づいたが、それ以上に気になるものが、鼻腔を撫で回した。
血の匂い。故郷にいた頃から嫌でも嗅いでいるせいか、嗅ぎ慣れすぎて誰がいつどこで流したものなのか、当てられるぐらいにまでなっていた。
自慢にもならないゴミのような特技だとずっと思っていたが、今回ばかりはその特技が、今すぐにでも知りたい相手を教えてくれた。
「そー……か……」
そんな気は、薄々していた。
物知らずにしては、あまりに酷い無知。まるで自分が世界の中心とでも言わんばかりの横暴さ。殺めることへの躊躇のなさ。
だからこそ隠せぬ、暴閥の香り。
「あー……」
真実というものは、いつだって残酷だ。知りたくない、気づかずにいられたら幸せだったことまでも、その全てを詳らかにして人々を不幸にする。
アイツがもし自分が思っている人物なら、その隣に常にいる彼女は。
「……クソッタレ」
クソだ。糞便の沼地よりも、蛆と蠅が集った腐乱死体よりも、犯され尽くされ生気も何も失った婦女よりも、ずっとずっとクソだ。
腐ってやがる。この世界は、どこまでも。
「ナユタ……ツムジ……」
耐えられるわけがない。忘れて今まで通りなんて、虫が良すぎて反吐が出る。
ツムジが知れば、きっと殴ってでも止めにくるだろう。アイツは砂糖塗れの氷菓ぐらい甘い奴だった。どんなゴミカス野郎でも、説教だけして放逐するほどに。
ナユタならきっと小突いて止めに来て、代わりに半殺しにしてくれただろう。アイツはツムジの遺志を継いでいる。囲っているガキが憎しみに溺れ、人を殺めるという禁忌に手を染めることを許さない。
でも、もういない。殴ってでも止めてくれる奴も、頭小突いてくれる奴も、ただの一人もいやしない。
だからこそ、家族の誰一人が成し得なかったことをやり遂げる。たとえ今自分が持っている、その全てを失うことになろうとも―――。
雨が降り始めた。梅雨も明けた真夏の豪雨。何故だか珍しく、塩の匂いが鼻腔を撫でる。
雨は嫌いじゃない。晴れの日よりも涼しいし、肌を撫でる湿気が妙に心地良く、眠りの質を一際あげてくれる。自分の中にこびりつく汚泥を、綺麗に洗い流してくれる唯一無二の恩恵なのだと、今まではずっと思っていた。
でも今日は違う。
塩っ気が傷口を舐め回し、痛みと不快感で心がざわつく。窓の隙間から流れてくる湿気も何もかも、外の世界に降り注ぐ豪雨の全てが、全て汚し犯し尽くす、粘り気のあるドス黒い汚泥に思えた。
``双子剣``がいる場所は、無限に広がる大海原。大海ユグドラの真上である。
``双子剣``を包み込む巨大な水球は、カエル総隊長が発動した技``淵魔奥義・釜蓋封牢``によってもたらされたものであり、この世界にあるほとんどのものならば、囚われたら最後、抜け出すのは不可能になるほどの強力な封印術である。
そう、ほとんどものならば、だ。何事にも、例外というものは厄介事を巻き起こす。
``双子剣``は、ただの武器ではない。超能力をその身に宿す、究極の兵装。いくら万物を封じ込められる強力な封印術であろうとも、超能力の前には塵に同じである。
水球が、弾けた。ただでさえ大質量だった水球が弾けたことで、雲一つないにもかかわらず、周囲にゲリラ豪雨が降り注ぐ。豪雨の量は凄まじく、湧き出る波浪を赫怒の化身へと変貌させ、大海ユグドラが荒れ狂う。
しかし``双子剣``は意に介しない。知らぬ存ぜぬと主張するように、その身を流星へと姿を変えた。
怒り荒れる大海ユグドラの頭上を駆ける、一筋の流星。その速度たるや凄まじく、数秒足らずでヒューマノリア大陸へと返り咲き、上威区の頭上すらも軽々と越えていく。
``双子剣``が目指す先は、武市の北部。中威区北部都市。その都市の中心に聳え立つ高層ビルの一部屋に突撃する。
窓ガラスを突き破り、壁に突き刺さったところでようやくその動きを止めた。
「なん……だ?」
部屋の主が、警戒しながらもゆっくりと``双子剣``との距離を縮める。
高層ビルの一室に突撃したのだから、部屋の主がいるのは必然である。しかし彼女の部屋に突撃したのは、果たして偶然か、必然か。
「……はさみ?」
黒いポンチョに身を包む、巨大な黒百足を敷布団代わりにする使役者の少女―――ブルー・ペグランタン。``閃光``のホーランと双璧を成す、北支部監督官の一人である。
恐る恐る``双子剣``に近づく。海を形容させる蒼い瞳が、壁に突き刺さった鋏を映した。
「……なんか、みたことあるよーな……なつかしー、かんじ……」
ブルーは吸い込まれるように、肘より先がない腕を伸ばす。
目が離せない。それが彼女の中で支配する唯一無二の感情だった。しかし、その起源が何なのかまでは、分からない。記憶の片隅、己の海馬にある深淵にあるだろうそれを無我夢中で手繰り寄せる。
肘の先と剣の柄が、触れ合った。
「うっ……!」
目が痛くなるほどの、閃光。網膜が焼きつく感覚を覚え、思わず瞼を閉じる。
目の痛みが治るまで、数秒かかるほどの光量。記憶の奥底を手繰り寄せる見えざる腕で、反射的に顔を覆う。
体感にして二分ぐらいだろうか。痛みが治り始め、ようやく目を開けた。
「え……!?」
眼前に広がる景色は、目の前に現れた大鋏よりもずっと、見覚えのある情景だった。
見渡す限り、無限に広がる大荒野。大地は痩せこけた砂利が広がり、周囲には自然に還りかけた廃屋が際限なく地面から生えている。
忘れるはずがないし、忘れられるものでもない。自分が生まれる遥か昔に栄えていたであろう文明国、その名残だけが残る荒地。農耕すらできた試しがないほどに痩せたその土地で、毎日日陰で蹲っては、世界に、その全てに絶望していた頃を思い出す。
下威区重スラム地域。ナユタとツムジ、彼らとともに僅かな間だけ暮らしていた、忌々しいだけの故郷。
任務請負人になって、レクとともに北支部監督官となり、稼いだ日銭をとある孤児院に寄付する毎日になってからというもの、思い出すことすらも忘れていたが、その景色が目に入った瞬間から、あの頃の自分が目を覚ます。
「……かわんねーな、ほんと」
幻なのは分かっている。本当の下威区なら、思わず鼻を摘みたくなる濃い死臭と鼻腔にしつこくこびりつく血の匂いが、どこにいても、外にいても建物の中にいても、ずっとついてきていたものだ。
ここではそれらの匂いが全くしない。おそらく鋏に触れた者が持つ特定の記憶を参照し、その情景を緻密に再現する事象干渉の類だと、ブルーは瞬時に判断していた。
とはいえ、気分の良いものではない。むしろ不快だ。悪戯の限度を優に超えている。一瞬とはいえ、むーちゃんの餌にしてやろうかと魔が差しかけたほどだ。
それぐらい下威区で生まれ育った者にとって、下威区とは何人にも触れられたくない呪われた土地なのだ。
「……なめたまねしやがって」
事象干渉による攻撃なのは分かっている。むーちゃんの姿がないが、むーちゃんとの繋がりが途絶えた気配もない。いざとなればむーちゃんを呼び出して術者を食い殺してもらうことになるが、それは最終手段だ。
特定の記憶を参照して、その情景を緻密に再現する。文章として書くだけならばなんら難しくないことであるが、それを実際に成そうと思うと求められる技量は請負人のレベルを優に超える。
自分ならできるか、と問われると、できないと答えるしかないほどに、高度な技術だ。むーちゃんならできるかもしれないが、役割上やらせたことがないので分からない。
「まあいい。なんにせよ、みつけてブチのめす」
ブルーが至った結論は単純だった。やられたらやり返す、ただそれだけ。黙ってやられてやるほどお人好しでもなければ無抵抗な馬鹿でもない。
いくら緻密と言っても、結局は霊力で形作った幻だ。霊力の流れを辿り、術者を特定すればいいだけのこと。その情報をむーちゃんに伝え、拘束してもらえば終いだ。
「さて、れーりょくのすじは……ん?」
砂埃の先に、人影。視力は悪くない方だと思うが、いかんせん砂埃が立っていてよく見えない。風まで再現してやがるとは中々完成度の高い幻術だと感心したくなるが、砂埃が薄まると、その人影の輪郭を瞳が正しく捉えた。
「な……ナユタ!?」
それは、その人影は、自分がよく知る人物だった。片時も忘れたことなどないし、彼の存在を自覚するだけで、呪われた土地の面影など一瞬で霞むほどに、その存在たるや己の中で強大な光となって焼き付いている。
ナユタ。亡きツムジの遺志を継ぎ、生きる価値があるのかどうかも分からないゴミカス野郎でも半殺しで放逐する甘い奴で、全てを守ろうとして、全てを失っちまった唯一の家族。
あの頃の自分は荒んでいた。下威区の現状に絶望し、ナユタやツムジが守っていた孤児たちもみんなみんな死んで、何もかも希望を見出せなかった。
だからこそ、決別した。
下威区を脱出する。自分が知らない世界へ足を踏み入れて、下威区には存在しない希望って奴を見出す。故郷にはもう、絶望しかない。そこでのうのうと腐って閉じこもって生き続けるには、あんまりにも辛すぎた。
その後しばらくして色々あってレクと出会うことになるが、生き残って下威区を抜け出せたことは、ただ運が良かっただけなのだと知るのは、かなり後になってからだった。
ナユタに中威区へ行くと告げたとき、アイツが口汚く素っ気なく、糾弾してきた意味を知ったのも―――。
「な、ん……うそだ、そんなはず、は……!」
ナユタとは、もう会えない。那由多は、あの呪われた土地で生涯を全うするつもりだった。アイツの力なら武ノ壁を越えられただろうが、きっとアイツならその選択を選ばない。選ぶはずがない。
「……殺す」
敵意がある、じゃ済まされない。済ます気もない。あまりにタチが悪すぎる。
レクは今日夜勤。仮にむーちゃんに始末してもらったとして、むーちゃんに跡形もなく食べてもらえば証拠は残らない。問題は同じ請負人だった場合だ。
請負人を殺してしまうと同士討ちとなり、クビにされる。それだけは避けねばならない。食い扶持を失うだけではなく、孤児院に寄付することもできなくなる。それだけは、絶対に。
となると、やるべきは三つ。術者の特定と分析。そして殺害するか否かの判断。
特定と分析は探知系魔法で、もし殺害しても問題ない場合はむーちゃんの餌にする。自分が今陥っている状況を、ライフリンクを通じて伝え、探知系魔法をむーちゃんに代理演算してもらえば発動できる。
よし、道筋は立てられた。後は実行するだけ―――。
「ッ!?」
気がつくと、那由多のようなソイツが目と鼻の先まで距離を詰めてきていた。その事実に、さっきまで立てた道筋が暗黒の闇に塗り潰される。
「え……」
接敵された、反撃。そう考えた矢先、何の脈絡もなく頭を撫でられた。優しく、まるで年端もいかないガキを嗜めるように、優しく。
振り解こうとするが、その身体は動かなかった。
込み上げてくる懐かしさ。事象干渉による攻撃だと理屈では分かっていても、感情の濁流が全てを塗り潰していく。
身体は、正直だ。馬鹿みたいに、馬鹿で何も知らないガキみたいに、素直だ。頭を撫でられたのは、いつ以来だろうか。
顔を覗こうとゆっくりと見上げる。しかし、照りつける太陽光が逆光になっているせいか、人相すら窺い知れない。自分の背が低いことを、初めて悔やんだ。
「……ナユ」
タ、と言おうとしたそのとき、何かを首に下げられる。それはアイツが肌身離さず左腕に巻いていた、硝子(がらす)のネックレス。
「……生きろ」
真横から、強風。舞い散った砂利が顔に降りかかり、思わず目を閉じてしまう。
だが何故だろう。今ここで奴を見失ってしまったら、もう二度と会えない気がした。
根拠はない、確信もない。理路整然とした筋道を立てて説明するだけの理論が思いつかないが、敢えて言葉にするのなら、予感というべきか。
「な、ナユタ!」
風が強い。砂利が顔に当たって鬱陶しい。見失って堪るかと腕を伸ばす。しかしその直後、とうの昔に肘より先を故郷においてきたことを思い出した。
手があったなら、肘より先がまだ残っていたのなら、掴めたのだろうか。両腕と今生の別れを誓ったのは己への戒めのためだ。むーちゃんの治療も断ったし、これから誰に何を言われようと再生させるつもりもない。
後悔なんてしたことなかった。だが今日になって初めて、肘より先がないことに無性なもどかしさが、鎖となって己を強く縛りあげた。
気がつくと、風景は元の部屋に戻っていた。背後にはむーちゃんもいて、前には壁にブッ刺さったデカい鋏《はさみ》。忘れるにはあまりに日が浅すぎる、見慣れた寮室。さっきまで顔面を覆っていた砂利の嵐が嘘のようだ。
「むーちゃん……」
金切り音が僅かに鳴る。心の奥底で、否定の感情が湧いて出た。
むーちゃんでも分からない、鋏が見せた幻。精神に作用する事象干渉だとばかり思っていたが、むーちゃん自身は何も見ていないという。
ならアレはなんだったのか。攻撃ではないとするなら、アレは。
「え……!?」
首元に不思議な感触があったので下を見てみると、幻影の中のアイツが首にかけてくれた、硝子のネックレスが、そこにあった。
驚くな、という方が、無理がある。なにせ装飾品には頓着しない身、ネックレスなんて身につけようなどと、物心ついてから一度たりともありはしない。
そもそも鋏に触れる前までは付けていなかった。身につけたとすれば、ナユタらしき人影に首から下げられた、あのときだ。
触って確かめたいが、肘より先がない。むーちゃんに解析してもらおうとした、そのときだった。
「うッ」
ネックレスが、甲高い音を立てて炸裂する。まるで鈍器で叩き割られたかのように粉々に、跡形もなく。見る無惨に床に散る破片は、もはや手で拾えないほどに微細な顆粒と化していた。
ネックレスが壊れた。本来なら、露ほどにも気にしない。そもそも身につけないのだから、気にするか否か以前の問題だ。
しかし何故だろう。今回に限っては、壊れた理由が妙に気になった。
知らない間に衝撃を加えてしまっていた。元々亀裂が入っていた。霊力の過剰供給。物質の疲労。遅延性の攻撃系魔法。寿命。
―――寿命。
「…………うそ、だ。そんなはず、ない」
急いで破片をかき集めようと身を屈める。しかし成れの果てはすでに顆粒、かき集めようにも、かき集めるための指もない。
「ちがう。アイツは、アイツは……!」
自分が知る限り、最も死から縁遠い奴。死が似合わない奴。死を嫌悪し、終わりを畏怖し、生への渇望とともに生涯を全うすると誓った変人。
「そん、な…………アイツ…………が…………?」
信じられない。信じたくない。この世界の誰よりも生きることを尊んでいたアイツが。
仮に。仮にだとしたら、そうだとしたら―――。
「アアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!」
喪失。信じ難い、損失。
ツムジは死んだ。ツムジたちが囲っていた、自分以外のガキどもも皆死んだ。隣で黙々と泥水啜っていた奴も、隣に住んでいた枯れ木みたいなジジイも、みんなみんな。
アイツだけが生き残った。生きることに貪欲なアイツは、どれだけの死地へ向かっても、ケロッとした顔で生きて帰ってきていやがったのに。
「……そんな……そんなぁ……」
受け入れたくはない。認めたくもない。できれば例年稀に見るタチの悪い悪夢であってほしかった。
でも、これは現実。紛れもなく偽りも何もない、現実。
「どうしてだよ……なんでなんだよ……ナユタァ……」
何故なのかは分からない。生きることを何者よりも渇望し、死ぬことを誰よりも忌避していたアイツが、何故死神に拉致されたのか。
今更死神の前で間抜けに転ぶはずもない。何かが、何かがあったんだ。
「むーちゃん!」
その叫びに呼応し、むーちゃんが尻尾で鋏《はさみ》を壁から引っこ抜く。
鋏には汚れ一つもない。よく見るとツムジが持っていた``旋風``とナユタが持っていた``那由多``が合わさってできていることに今更ながら気づいたが、それ以上に気になるものが、鼻腔を撫で回した。
血の匂い。故郷にいた頃から嫌でも嗅いでいるせいか、嗅ぎ慣れすぎて誰がいつどこで流したものなのか、当てられるぐらいにまでなっていた。
自慢にもならないゴミのような特技だとずっと思っていたが、今回ばかりはその特技が、今すぐにでも知りたい相手を教えてくれた。
「そー……か……」
そんな気は、薄々していた。
物知らずにしては、あまりに酷い無知。まるで自分が世界の中心とでも言わんばかりの横暴さ。殺めることへの躊躇のなさ。
だからこそ隠せぬ、暴閥の香り。
「あー……」
真実というものは、いつだって残酷だ。知りたくない、気づかずにいられたら幸せだったことまでも、その全てを詳らかにして人々を不幸にする。
アイツがもし自分が思っている人物なら、その隣に常にいる彼女は。
「……クソッタレ」
クソだ。糞便の沼地よりも、蛆と蠅が集った腐乱死体よりも、犯され尽くされ生気も何も失った婦女よりも、ずっとずっとクソだ。
腐ってやがる。この世界は、どこまでも。
「ナユタ……ツムジ……」
耐えられるわけがない。忘れて今まで通りなんて、虫が良すぎて反吐が出る。
ツムジが知れば、きっと殴ってでも止めにくるだろう。アイツは砂糖塗れの氷菓ぐらい甘い奴だった。どんなゴミカス野郎でも、説教だけして放逐するほどに。
ナユタならきっと小突いて止めに来て、代わりに半殺しにしてくれただろう。アイツはツムジの遺志を継いでいる。囲っているガキが憎しみに溺れ、人を殺めるという禁忌に手を染めることを許さない。
でも、もういない。殴ってでも止めてくれる奴も、頭小突いてくれる奴も、ただの一人もいやしない。
だからこそ、家族の誰一人が成し得なかったことをやり遂げる。たとえ今自分が持っている、その全てを失うことになろうとも―――。
雨が降り始めた。梅雨も明けた真夏の豪雨。何故だか珍しく、塩の匂いが鼻腔を撫でる。
雨は嫌いじゃない。晴れの日よりも涼しいし、肌を撫でる湿気が妙に心地良く、眠りの質を一際あげてくれる。自分の中にこびりつく汚泥を、綺麗に洗い流してくれる唯一無二の恩恵なのだと、今まではずっと思っていた。
でも今日は違う。
塩っ気が傷口を舐め回し、痛みと不快感で心がざわつく。窓の隙間から流れてくる湿気も何もかも、外の世界に降り注ぐ豪雨の全てが、全て汚し犯し尽くす、粘り気のあるドス黒い汚泥に思えた。
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