無頼少年記 ~最強の戦闘民族の末裔、父親に植えつけられた神話のドラゴンをなんとかしたいので、冒険者ギルドに就職する~

ANGELUS

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防衛西支部編

復活、テスカトリポール

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「はざまーす……」

「やっと起きましたね澄男すみおさま。大大大遅刻ですよ」

「だなぁ……久しぶりに昼まで寝ちまったわぁ……」

 どっこいしょーいちとオッサンくせぇことを言いながらテーブルに座り込む。テーブルに置いてあったカートンを手に取り、そこから一本抜き取ると、指先から火を点けた。

 現在時刻、昼の十二時前。

 いつもなら既に任務請負機関北支部へ向かい、何個か任務をぶん回して、昼飯をつつきながら昼休みと称してダラダラと過ごすのが日課なのだが、今日は違う。昨日まで総勢十三万の暴閥ぼうばつ・ギャングスター連合軍を撃退するという、東西南北のうち東を舞台として東、南、北の三支部合同任務に身をやつしていた。

 予定外に見舞われながらも任務はつつがなく終了し、戦後処理も終えて帰宅したのだが、慣れない土地や場所で一泊二日も過ごしたのが思いの外精神的ストレスになっていたのだろう。任務そっちのけでグースカと昼まで寝てしまっていた。

 現在進行形で朝昼兼用飯を配膳する青色の髪を靡かせるメイド―――水守御玲すもりみれいの話じゃ、いつもの時間に起こしたらしいのだが、死んでいるんじゃないかと疑うレベルで深い眠りについており、無理矢理起こして家を半壊させられても困るということで放っておいてくれていたらしい。

 自然起床まで待ってくれたのを嬉しく思ったのも束の間、遅刻して金髪野郎に怒られるの俺じゃねという事実に思い至り、御玲みれいへ視線を向ける。

 黙々と配膳する御玲みれいだったが、俺の視線を感じ取るや否や、そっぽを向かれてしまった。煙草の煙が虚しく居間を漂う中、額に手を当て、天を仰いだ。

「はよー……兄さん。もう昼だけど」

 一階です、というアナウンスとともに部屋の隅に設置されていたエレベータの扉が開かれる。そこから出てきたのは、これまたさっきまで惰眠を貪っていたであろう眼鏡の似合う愚弟―――流川久三男るせんくみおだ。

「あれ、澄連すみれんは」

「アイツらはまだ二階でごちゃごちゃやってて降りてこないが……それよりもお前……」

 暢気にいつも通りのテンションで話題を投げかけてきた久三男くみおだったが、俺の注意はコイツの背後に集中していた。

 久三男くみおが眠たそうな顔でエレベータに乗って地下からリビングであるこの部屋までやってきて、欠伸をブチかましながら俺に話題を振ってくる。そこまではいつも通りだ。なんら不思議じゃない、流川るせん本家邸新館におけるモーニングルーティンである。

 しかし今日はそのモーニングルーティンに反する存在が、久三男くみおの護衛のように立っていたのだ。

「ソイツ……あのときの女アンドロイド……」

 そう、久三男くみおの背に立っていたソイツは俺や御玲みれい、金髪野郎に百足野郎、そしてあくのだいまおうとパオングすら出張ってようやく倒せた元強敵、件の女アンドロイドその人だった。

 あの緊急任務から早一ヶ月。もうそんなに時間が経ったのかと感慨に耽る一方で、女アンドロイドの姿に思わず見惚れてしまっていた自分に気づく。

 俺たちが戦っていたときは劣化が激しく、かなりボロボロの状態だった。さらに俺たちの猛攻を受けて、最後辺りは外側の皮膚のほとんどが剥げ落ち、クッソ堅い金属製の外骨格が剥き出しの状態にまでなったが、今はそんな醜い面影は一切ない。側から見ればアンドロイドとすら見えないほど、彼女は``人間``にしか見えなかった。

 薄黄緑色の髪を一本の三つ編みにして束ね、それを右肩から垂れ下げている姿は自分より年上の超絶美人なお姉さんそのもの。戦っているときは頓着してなかったが、白味を帯びた薄緑色のぴっちりとしたバトルスーツみたいなのを着ていたんだなと横目で見やりながら、視線を久三男くみおに戻す。

「まあ大丈夫だと思うし、正直聞くだけ野暮だと思うが念のため……女アンドロイドはもう俺たちの味方? でいいんだよな?」

 気になっていたこと。それは女アンドロイドが味方なのかどうか、だ。

 正直久三男くみおの手によって修復されたのだから、今になって治した相手を裏切るような真似をするとは思えない。もしそうなら治った瞬間に久三男くみおをぶっ殺しているはずだし、そうなっていないあたりカオティック・ヴァズのときと同じく、友好的な存在になっていると考えても問題はないだろう。だが、とりあえず念のためである。 

「味方じゃなかったら、僕はここにいないでしょ」

 やはり天才、俺と同じ考えに至ったようだ。

「おっっはよございまー!! ってえ!? なんかすっげえ美人のチャンネーいるんだけど!?」

「ヤバイよ!! ボクのち◯こが浮き足立ってる!! 今にも飛び出そうだ!!」

「バナナウンコみてぇなツラした奴がいるじゃねぇか。朝から良い眺めだぜ」

 どたどたと忙しなく二階から降りてきた喧しい三人組。通称``澄連すみれんトリオ``と俺が勝手に呼んでいるソイツらが、遅れてリビングの出入り口でたむろする。

 思い思いの言葉を言っていて聞くだけじゃ何言っているのか意味不明だが、とりあえず分かることはみんな久三男くみおが背に侍らせている女アンドロイドに驚いているといったところだろう。

「おや、また私たちが最後のようですね」

「パァオング。何故いつも我らが一番遅いのだろうな」

「そ、それは朝から廊下で世間話……という名の議論をしてらっしゃるからでは……」

 野太い機械音とともに、エレベータの鐘が鳴る。

 地下よりぞろぞろと出てきたのは真っ黒な執事服を着こなし、モノクルを右目に装着した、朝日の光を飲み込むほどの暗澹な雰囲気を身に纏う怪しげな紳士と頭に金冠を載せた象のぬいぐるみ、そして相変わらず頭にパンツ、股間にパンツを装着した空色の髪の少年。

 一人と一匹は平常運転だが、いつもはパンツパンツとうるさい少年の方は、一人と一匹に気圧されているのか、額の汗がパンツに若干染みている。ただでさえ気色悪いのに、汗が滲んだパンツを朝食前に見せられるのは正直不快だ。

「おはよう、あくのだいまおうにパオング」

「あれ、俺……いるんだけど……」

「お前はその頭に被ったパンツを脱げ。話はそれからだ」

 挨拶をされ、思い思いの言葉で挨拶を返してくる怪しげな紳士―――あくのだいまおうと象のぬいぐるみ―――パオング。パンツを脱ぐよりも、挨拶されなくて拗ねる方を選んだのはミキティウスだ。

 ミキティウスが口を尖らせながら席につくと同時、再びエレベータの鐘が鳴る。もう地下に私室を持っている奴はいないはずで、誰だろうと思っていると見覚えこそあれ、最近全然姿を見ていなかった奴がエレベータから姿を現した。

「オ久シブリデゴザイマス、皆様方。コノカオティック・ヴァズ、リビジョンスリートシテ復活ヲ果タシマシタ」

「おお、ヴァズ。マジで久しいな。息災だったか?」

 目を丸くしながらも、久しぶりの友達に会ったかのようなテンションで問いかける。

 カオティック・ヴァズも女アンドロイド同様、元々は久三男くみおが俺をぶっ殺すために差し向けた敵だったのだが、俺と久三男くみおが和解したことでコイツも味方として復活を果たした。以後は仲間という認識で扱っている。

 そんなヴァズだが、コイツに関しては実を言うと二回戦死している。一度目は敵だった時代、俺が粉微塵に破壊。二度目は女アンドロイド戦において女アンドロイドとの戦いに敗北し、色々あって自沈していた。

 女アンドロイド戦以降姿を見ていなかったのだが、久三男くみおからはあらかじめ復活していることだけは聞いていた。だから久三男くみおのラボターミナルあたりで何かしていたんだろうが、おそらくその何かってのは女アンドロイドの修理協力だろう。女アンドロイドも見事復活を果たした今、ヴァズもまた通常復帰というわけだ。

「ハ、久三男くみお様カラ新タナ機体ヲ下賜かしシテイタダキシバラク経チマシタガ、動作ニ支障ゴザイマセン」

 ヴァズはそのどデカい図体を折り曲げ、四十五度の最高敬礼で応えた。難しい言葉を所々使っていてわかりにくいが、要するに元気ってことで間違いなさそうだ。

「まあなんだ、お前も座れや。今日は久しぶりに豪勢な昼飯だしな」

 背後から冷ややかな視線を感じるが、とりあえず無視する。どうせ急いだところで遅刻確定だし、だったら久しぶりにゆっくりと自宅で飯を食った方が精神衛生的に良い。やっぱり北支部で昼飯を食うのと家で食うのとでは、断然家の方がリラックスできるのである。

「申シ訳アリマセン、澄男すみお様……」

 久しぶりに大勢で食事できる―――その現実を嬉しく思う傍ら、ヴァズの顔半分を覆う巨大なバイザーがほんの少し暗くなった。

「私ハ自動人形ユエ、皆様ノヨウナ食事ヲ摂ルコトハデキカネマス」

「あ。ああ、そうか……お前ロボットだから食えないのか」

 表情の変化の真意に気づき、申し訳なさげに頭を掻く。

 胸筋あたりが不自然にデカいこと、顔半分がデカいバイザーで覆われていること、そして声が少し機械的なところを除けば、外観は人間と大して変わらない。

 見た目が人間に近いから思わず飯食うかと言ってしまったが、ロボットなのだから人間が食べる飯は食べられないのが道理だ。ロボットっぽいところがあんまりないし、仲間って認識だったから配慮に欠けていたのはいただけない。

「す、すまんな……えっと……お前って日頃何食べてんだ?」

 人間の飯は食べられない。それはロボットだから仕方のないことだとして、問題はヴァズが何を食べているかだ。ロボットだからオイルか何かをがぶ飲みしているイメージしかないのだが、実際のところどうなのだろうか。

 人の言葉を話し、対等に意思疎通ができる機械の扱いなんて分からないし、仲間だと認識している以上、知らないでは今後不都合が起こってしまう。

 自分のことに興味を持って嬉しかったのか、さっきまでの翳りのある表示から一変。ヴァズの頭部に装着されたどデカいバイザーが虹色に光った。

「私ハ擬似霊力炉心ヲ搭載シテオリマスノデ、外部カラノエネルギー供給ヲ必要トシテオリマセン」

「つまり腹減らないのか。便利な体というべきなのか、美味しいもの食えなくて勿体ないというべきなのか……」

 俺に配慮なんて到底無理かもしれない。自分が馬鹿正直に本音を言ってしまったことに急いで口元を手で塞ぐが、もう遅いとヴァズをチラ見する。

 だがやはりヴァズの表情に翳りは見当たらず、胸筋に負けず劣らず存在感を主張するバイザーが青く光った。

「戦時ハ補給ヲ必要トセズ戦エマス。ゴ一緒ニ食事デキナイノハ無礼ノ極ミカモシレマセンガ、何卒ゴ容赦ヲ……」

 そう言って頭を深く垂れ、跪いてきた。予想外の行動に「お、おう……」としか返せなかった俺だったが、すぐに「頭を上げろ、そしてもう席に着け」と優しく肩に手を置いた。

 流石の俺でも物理的な意味で一緒の飯を食えないからという理由で無礼だとは毛程も思っていない。御玲みれいの飯が不味くて食えたもんじゃねぇとかそんなクソみたいな理由ならともかく、ロボットなんだから仕方のないことだし、跪いて自分の強みをわざわざアピールしなくても、それは皆がわかっていることだ。実際、女アンドロイド戦のときは弥平みつひら並の活躍をしてくれたし、無能だと思ったことは一度もない。

 そこまで畏まる必要はないのだが、外面上は主人と部下って立ち位置、久三男くみおに造られた存在という自覚がある以上、俺のことを目上の存在として敬うのは無理もない対応なのかもしれない。

 俺としてはロボットだろうが生身だろうが仲間という認識なので、一緒に会話できて、一緒に戦ってくれるだけでも嬉しい限りなのだが。

「さて、弥平みつひらさま以外は集まりましたね。早速朝食……といってももう昼ですが、さっさと食べてしまいましょう」

 話がひと段落ついたところで、御玲みれいが皆の背を押してくる。時計を見ると既に十二時も半分を過ぎようとしていた。時間経つの早えと思い、急いで飯に食らいつくが、そこで引っかかりを感じて御玲みれいに視線を投げた。

「そういや弥平みつひらに密命を出してたが、返事きた?」

「調査しておく、とのことです」

 唇に付いたソースを、テーブルに置いていたナプキンで静かに拭き取る。

 昨日から一昨日にかけて行われた東支部での三支部合同任務。任務自体はつつがなく終わったのだが、何か違和感を拭い去れなかった俺は、断腸の思いで弥平みつひらを動かすことに決めたのだ。

 俺の仲間の中ではトップクラスの有能で、分家派の当主でもある流川弥平るせんみつひらは、俺らが任務請負機関に就職してからというもの、巫市かんなぎしとの国交樹立に必要な情報を得るため、巫市かんなぎしの長期密偵任務に勤しんでおり、ほとんど家に帰ってくることはない。

 週一の頻度で分家から弥平みつひら印の報告書が霊子通信経由で届くくらいで、ここ数週間は声すら聞いていない状態だ。

 本来は巫市かんなぎしという俺からすれば未知の国に出張ってもらっている手前、仕事を増やすのは居た堪れないというのが本音なのだが、今回の任務で抱いた違和感を放置しておくのは、なんとなくマズイ気がしたというか、なんだか盛大な裏を感じるというか、とにかくキナ臭かったので、忍びなさを感じつつも弥平みつひらに臨時密偵任務を頼んでおいたのである。

「しかし、凪上なぎうえ家の当主の下に全能度五百クラスの暗殺班……ですか。まあ、気持ちも分からなくはないですね」

「だろ? 格下が格上を従えるなんざ、普通あり得ねぇ」

「ありえるとしたら更に格上の何者かが、凪上なぎうえ家の当主に上位戦力を下賜かししていた……ですね」

 箸をおき、俺はおもむろに煙草を蒸かす。

 暴閥ぼうばつの間には、共通普遍の原理が一つだけ存在する。それは弱肉強食である。

 強い奴がより上位に、弱い奴がより下位に座す。その``格差``こそが、その家の、その当主の格になる―――というものだ。

 凪上なぎうえ家は中威区なかのいくでは確かに有力な暴閥ぼうばつだったが、それはあくまで中威区なかのいくでの話。武市もののふし全体からすれば中堅どころであり、いわば中位暴閥ぼうばつと呼ばれる存在である。

 一方で、俺と猫耳パーカーが交戦したアサシンタイプの連中は、全能度で推測するなら個人の格は上位に位置する。アイツらが暴閥ぼうばつの血族の一人なのか、ギャングスターの組員の一人なのかは分からないが、少なくとも凪上なぎうえ家の小物当主より強いのは確かだ。

 そうなると弱い奴が強い奴を従えているという矛盾した状態ができあがるわけだが、その矛盾を取り払える例外が一つだけ存在する。そのアサシンタイプすらも力で従える更に強い奴が裏にいて、その小物当主の下に就いてなすべきをなせ、と命じている場合である。

 その場合は最上位の奴が芋づる式に全てを従えていることになるので、力関係に矛盾はない。小物当主も手痛いしっぺがえしを食らうのが怖くて、アサシンタイプの連中には何も命じられなかっただろうし、むしろ両手を擦り合わせて媚びを売り、最高級のおもてなしをしてよいしょしていたことだろう。

 となると問題になってくるのは、小物当主とアサシンタイプの上にいる最上位の奴は一体何者なのか、ということだ。

 まずアサシンタイプの全能度は五百。その肉体能力は、武市もののふしでも上位に食い込める。

 物理が得意なら拳一つで高層ビルを粉々には破壊でき、魔法が使えるなら自然災害を操って複数の都市を壊滅に追い込める脅威。それほどの強者よりも上に立てるということは、その最上位の奴の強さは舐めてかかれるようなものじゃない可能性が浮上してくる。

 流石に俺らとタメ張れるとは思えないが、得体のしれない奴に不意打ちで先手を打たれるより、こっちが先読みして先手を打っておけば、多少総力の目算を外したとしても、こっちが情報戦で有利に事を進められる。

 ロクに対策をしておらず、相手の強さを見誤ってクソ間抜けにも先手打たれて何もできず敗北―――なんてことは意地でも避けなければならないのだ。本家派当主としてのプライドってのもあるが、仲間は死んでも守り切るという絶対ルールが、全力で圧力をかけてくるのである。

「ま、そこは弥平みつひらからの返事を気長に待つとするか……」

 急いだところで、結果はすぐに出てこない。予防線は張っておいたのだから、種が実るのを待つのが俺たちの仕事だろう。

 とはいえ本部昇進試験の受験資格をさっさと得る必要があるから、待つだけが仕事じゃないだろうが。

「あの、テスの分の食事……用意してもらえるかな」

 会話が切れるのを待っていたのか、久三男くみおが恐る恐るといった風に俺たちの顔色を窺ってくる。

 御玲みれいは目を丸くするが、当の久三男くみおは何食わぬ顔だ。さっきまでヴァズはロボットだから飯が食えないって話をしていたのに、その話をまるで聞いてなかったかのように女アンドロイドに俺たちと同じ飯を用意するよう命じる。誰もが何故、と疑問符をぶん投げる発言だろう。

 澄連すみれんは相変わらず女アンドロイドを興味深げに観察しつつも暢気に食欲を満たしているが、俺と御玲みれいは時が止まったかのように箸を止め、久三男くみおに釘付けになっていた。

「……あの、失礼ですが……そこのアンドロイドは、食べられるんですか?」

 いつまでも凍っていては話が進まない。埒があかないと悟った御玲みれいがド直球で疑問符を投げつける。

 俺は周りを見渡すが、澄連すみれんトリオとミキティウスは昼食を貪りつつも興味深く久三男くみおを見つめ、あくのだいまおう、パオング、ヴァズは既にその問いに対する答えを知っているのか、平然とした顔で昼食をとっている。視線を久三男くみおへと戻した。

「私もヴァズ様同様、体内でエネルギー生産が可能ですので本来ならば栄養素の経口摂取は不要なのですが、食事自体は可能な設計となっております」

 御玲みれいのド直球な問いに答えたのは久三男くみおではなく、その横に静かに正座した女アンドロイドだった。

 流暢でありつつも、どこか機械的な声音が耳に残るヴァズとは異なる、人間の女性と遜色ない声質。むしろ並の女よりも女らしい綺麗な声をしている。アンドロイドだという事実を知らなければ、本当に生身の淑女にしか見えない。

 アンドロイドって人間に近い機械ってイメージしかなかったが、極限まで作りこむと人間と大差なくなってしまうのか。いやアンドロイドなのだろうが、あまりに精巧すぎて、アンドロイドであることを忘れてしまいそうになる。

 御玲みれいは困惑しながらも台所へ戻り、急いで女アンドロイドの分も盛りつけてくる。その間、一驚を喫していた俺は湧き上がる驚嘆を叩き伏せ、咳払いで無理矢理押し流した。

「そんで久三男くみお。その女アンドロイドの名前は?」

 俺が聞くことなんざ、毎度のことながら全く難しいことじゃない。内容はさして単純なことだ。

 俺たちは今目の前で正座し、己の食事が配膳されるのを待っている女のことをずっと``女アンドロイド``と呼んできた。逆に言えばそれ以外に呼びようがなかったからだが、ヴァズと同じく俺たちの仲間となるならば、女アンドロイドなんて呼び方はあまりに無愛想だ。

 仲間として扱う以上、やはりちゃんとした名前で呼ばなくてはならないだろう。

「この子の名前はテス。テスカトリポールRevision5のテスだよ」

 サラダをもしゃもしゃ食いながら、得意げに紹介する久三男くみお。それにつられて、テスと呼ばれた女アンドロイドは軽く一礼する。

「私には元々テスカトリポールRevision5という機体名しかなかったのですが、管理者アドミニスターに``テス``という個体名をたまわりました。どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします」

 あらためて深々と一礼するのと同時、御玲みれいが昼食を彼女に配膳する。俺が「お、おう。よろしくな」というと続いて御玲みれいが、そして澄連すみれんトリオが、最後にあくのだいまおうが彼女を仲間として迎え入れる言葉を添えた。

「んやーしかし……マジで人間にしか見えねぇな……」

 久三男くみおの横で箸を取り、食事する仕草はものすごく上品だ。そこらの人間よりも品格を感じさせる。顔や身体が整っているだけに尚更美しさが引き立っていて、さっきも言った気がするが、その所作は品に愛された淑女だ。

「ふと思ったのですが、テスカトリポールリビジョンファイブということは、あなたはテスカトリポールというアンドロイドシリーズの第五世代……ということですか?」

 味噌汁を啜りながら、珍しく御玲みれいが興味深げにテスを覗き込む。同世代くらいの同性がいるせいか、御玲みれいの頬がほんの僅かに赤くなっている。

 見た目的にはテスは二十歳前後、御玲みれいは十四歳とかなり離れているが、よくよく考えてみればテスが仲間になるまで、御玲みれいは俺らの紅一点。御玲みれい以外は全員男もしくは男みたいな奴らしかおらず、今更ながらかなりむさ苦しい思いをさせてしまっていた。アンドロイドとはいえ、ようやく同性の仲間ができたのだから、その素性なりなんなりが気になるのも無理はない。かくいう俺も、テスの出生は気になっていた。

「仰る通り、私はテスカトリポールシリーズの第五世代機……登用された最初で最後の機体です」

 味噌汁の味が美味しかったのか、頰を紅潮させて御玲みれいと味噌汁を交互に見ていたのも束の間。投げかけられた質問に答えるや否や、箸を置き、その表情を深く翳らせた。

「お前以外にその……第五世代機? とやらはいなかったのか?」

「……実験機として私の後継機がいた記録はございますが……第五世代は私のみです」

「へぇ……つーかよ、そもそもの話なんだが……テスカトリポールシリーズってなんなんだ?」

 もう隠す必要も、スルーする必要もないだろう。一番知りたいことをぶん投げた。

 テスカトリポールシリーズ。この世界に生まれて二十年も経っていない若輩者だが、はっきり言ってそんなアンドロイドが生産されたなんて話は聞いたことがない。

 そりゃあ任務請負機関の支部連中で簡単に撃破されるような低能なロボットなら無知な俺が知らなくてもなんら不思議じゃないが、ヴァズとミキティウスを下し、俺らすら圧倒してのけ、終いにはあくのだいまおうとパオングすら腰を上げさせた強力なアンドロイドとなると、流石に小耳くらいには入っているはずだ。少なくとも弥平みつひらが知らないはずがない。

 ヴァズとは違って久三男くみおが密かに一から造ったわけでもなく、彼女はどこからともなく突然現れた。言ってしまえば澄連すみれん同様、テスもまた正体不明なのだ。

 あくのだいまおうのように確実に裏があるがそれに疑問を抱かせないほどの威圧感と信頼感があるならともかく、テスは今回が仲間としての最初の邂逅。後々のトラブルを避けるためにも、知れることはなるべく早く知っておきたい。

「すみません……私にも詳しいことは分かりません」

 それは予想斜め上の答えだった。テスの顔に彩られた翳りが一層深くなる。

 俺はじっと彼女を見つめる。あくまでぱっと見の所見にすぎないが、答えるのを渋っているというより、本当に知らないって感じの態度だ。嘘を吐いているとしたらとんだ役者根性だが、もしそうなら久三男くみおをも欺いていることになる。デメリットはあれど、メリットがあると思えない。

「えっと……ここからは僕が説明したほうが良いかな……」

 空気感に薄暗さが滲み出てきたのを察してか、テスを庇うように助け舟を投げ込む。俺の熱視線が移ったせいか、久三男くみおはほんの僅かに身震いした。

「その……結論を言うとね、彼女は記憶喪失なんだ」

 俺の中の疑問符がさらに深まる。思わず眉間に皺が寄った。

「……箸の使い方は知ってるし、自分が何者かも一応は答えられてるし……記憶喪失なら何もわかんねぇんじゃねぇの?」

 俺の抱く疑問ってのは毎回単純で、それでいてアホでも感じるストレートな内容だと常々思う。

 記憶喪失、それが分からんほど俺は無知じゃあない。要は何もかも分からなくなる状態ってことだ。自分がどんな人物で、自分がどこ生まれで、自分の親が誰なのか、それだけじゃなく箸の使い方から生活に必要な知識まで、すっかりさっぱり忘れてないと本当の意味で記憶喪失とは言いづらい。

 テスは箸を使って食事をする知識を持ち、自分がテスカトリポールシリーズの第五世代機であることを知っていて、更には後継機までいたことも知っていた。なぜそれだけ知っていて、テスカトリポールシリーズの実態は知らないのか。記憶喪失という一言で片付けるには、あまりに不自然すぎる言い分だ。

「ま、待ってよ兄さん。まだ続きがあるんだ」

 俺がキレたものと勘違いして、あたふたと説明する内容を練り直す。

 別にキレてはいないのだが、ただ矛盾というか明らかな粗があってモヤモヤするので納得していないってだけである。まあそれで納得いく説明が返ってくるならそれでいいのだが。

「その、テスは意味記憶はあるんだけど、エピソード記憶は抜け落ちてる状態なんだ」

「……ん? どゆこと?」

「ああ、なるほど」

 唐突に専門用語をぶち込まれさらにわけわからなくなる俺をよそに、御玲みれいは一人勝手に納得する。もしかしてわかってないの俺だけと思い、澄連すみれんやあくのだいまおうたちを見渡すが、彼らは首を縦に振るのみ。額に汗がじんわりと滲んだ。

「パァオング。意味記憶とは生きていく上で必要な知識に関する記憶。エピソード記憶とは個人の思い出に関する記憶のことである」

 久三男くみおが持っていたバトンを横から掻っ攫い、得意げに長い鼻をうねらせる。パオングがバトンを鼻に巻いて走り出したのを皮切りに、久三男くみおがテスにおかれている現況を事細かに話し始めた。

 テスがまだ敵だったとき―――つまり俺たちと戦っていたあのとき。久三男くみおはテスの頭の中をハッキングして、その深層意識空間に入り込んだ。

 その結果、本来エピソード記憶なる情報が保存されているその領域はもぬけの殻で、その情報は別の記憶領域に保存されていることが分かった。俺らと金髪野郎たちの連携攻撃で機能停止した後、その機体は久三男くみおへと引き渡されたわけだが、久三男くみおは力作である霊子コンピュータを駆使し、あらためて彼女の身体の隅々まで調べあげたが、結局エピソード記憶に関する情報は強烈なまでに堅いプロテクトによって守られており、なんと今の久三男くみおの技術力をもってして、その情報を引き出すのは不可能だったらしいのだ。

 御玲みれいも俺も目を丸くして絶句した。あの久三男くみおが、彼女の記憶に関して両手を上げて降参を示したとき、機械や発明分野においてコイツに不可能はないと本気で思っていただけあって愕然とした。

 彼女の記憶領域にある情報は、さっきパオングが言った意味記憶全般と、箸の使い方やらドアの開け方やら、体で覚えるノウハウに関する記憶―――手続き記憶のみであり、新しく覚えたり、経験を積むことには特に問題はないらしい。

 過去の思い出だけ思い出せない記憶喪失なんぞえらく都合の良い記憶喪失だなとモヤモヤこそ残るが、久三男くみおやパオングが言っている以上、嘘じゃないだろう。となると、だ。

「また正体不明の奴が仲間になった感じか」

 ぼそりと呟きながら、卵かけご飯を口の中に幾分かの空気とともにかきこむ。その言葉に久三男くみおあたりからほんのり薄暗い空気が漂い始めたのを感じ取り、口の悪い自分を𠮟りつける。

 正体不明の輩を仲間にする。それ自体は今更だ。澄連すみれんという第一の存在がいる今、素性が分からないからと敬遠する気はない。俺たちを裏切るとかなら話は別だが、久三男くみおを優しく見つめるテスからは、その気配は微塵も感じられない。

 俺としては仲間にすることに異論はないが、やはりここは当主として念を押す意味でも問いかけておく必要があるだろう。

「テスよ」

 箸と手に持っていた茶碗を机に置き、久三男くみおの右隣に座るテスを真っ直ぐ見つめる。俺の声音が力強かったせいか、リビングの空気が若干張り詰めたものになる。皆の視線がテスへと集中した。

久三男くみおを、頼めるか」

 その言葉に、久三男くみおが目を丸くして凝視してくる。

 久三男くみおも仲間を欲しがっていた。やろうと思えばどこへだっていける俺らとは違い、流川るせんの領土から出られないコイツに新たな出会いは絶望的だったが、何の因果か、彼女と久三男くみおは巡り逢った。

 この巡り合わせは単なる幸運なのか、新たな苦難の予兆なのか、それは分からない。でも今はっきり言えることは、久三男くみおもまた仲間を得たということだ。

 今までコイツを見てやれるのは実の兄である俺しかいなかった。まあその俺も、今までを振り返って兄らしいことをしていたかどうかは怪しいが、久三男くみおを心から信じ、そして久三男くみおを守るだけの力を持つ彼女ならば、安心して任せられる。

 正体不明のアンドロイド。思い出を封印しているあたり、何かを抱えているのは確実だ。たとえそれが苦難だったとして、いずれ災厄として俺らに降りかかるとしても、そこに信頼があれば、きっと乗り越えられる。そのときのために是非、久三男くみおと信頼関係を築いてもらいたい。

 柄にもなく色々と考えてしまったが、単純な話、万年ぼっちだった愚弟に友達ができることが、なによりも嬉しいことなのだ。

「はい。私はいつ如何なるときでも、管理者アドミニスターとともに」

 彼女の瞳の色は薄い。黄緑よりもさらに薄く感じるが、その瞳の奥には``主を決して裏切らない``という強い意志が感じられた。思わず兄の俺が気圧されてしまいそうになるほどだ。

 その意思の根源はアンドロイドゆえにあらかじめプログラミングされた感情なのか、それとも彼女の中に宿る``人``としての意志なのか。どちらにせよ、俺の胸中に宿るのは安堵―――その一言がふさわしい。

「さて……腹拵えも終えたし、道場で素振りでもしてくっか」

「はい? 何言ってんです? 北支部に行きますよ」

 心強い新しい仲間も増え、弟の念願も叶い、そして良い具合に腹も膨れた。もうなんだかんだで時計の短い針が一を指し示す頃合、もうクソ面倒なだけの消化作業でしかない任務は休んで、今日は道場で修行して、また明日改めて顔を出そう―――そう思った矢先、クッソみたいに冷たい水を頭からぶっかけられたかのような気分に苛まれる。

 立ち上がろうとした俺に後ろ指を刺したのは、背に氷の如く冷たい視線を浴びせてくる御玲みれいだった。

「ほら、早く支度する」

 一気に気怠さがのしかかり、それに反比例してモチベが体の内側から抜け落ちていくのを如実に感じとる。

 どうせ行ってもやることはいつもと変わらない。本部昇進のための実績を積むため、任務請負証に記載されている任務を淡々と消化していくただそれだけの作業だ。

 この作業を初めて早一ヶ月、飽きを通り越して面倒という感情が心中をどっかりと横たわるようになり、正直支部に運ぶ足取りが日に日に重くなってきている。早く受験資格が欲しいところだ。自分で言うのもおかしな話かもしれないが、俺らって合同任務とか緊急任務とか、他の奴らより割とデカい任務をこなす中心人物となっていると思う。

 それらの実績は加味されているのだろうか。他支部を巻き込む規模の任務をこなしていて、それが通常の任務と変わらない実績だと流石に割に合わない。もしそうなら本部に抗議するべき案件だ。

 なんにせよ、なんか面白いことでも起きないかな―――そんな子供みたいなことを考えつつ、モチベが抜け切った重い足を引きずって、顔を洗うために洗面所へと向かうのだった。
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