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防衛西支部編
プロローグ:異世界転移先が激戦区だった少年のモーニングルーティン。
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皆さんはどういう朝を過ごしているだろうか。
カーテンから溢れた日の光。けたたましく鳴り響く目覚まし時計。眠気という名の気怠さを背負い、逃れたくもない布団の魔力から身を引いて、朝食を食べにリビングへと向かう。人によっては朝食を食べずに歯を磨いて顔を洗い、寝巻きを脱ぎ捨て制服もしくはスーツを着、外の世界へいざ出陣する奴もいるだろう。
そう、何のことはない新しい一日の始まり。俺もかつては、そんな一日の始まりに疑念を感じたことは一度たりともなかった。この理不尽極まりない、ファンタジー感もクソもない詐欺紛いな``異世界``に来るまでは―――。
「おはよう、ジーク!」
寝ぼけ眼をこすりながら、掛け布団を引っぺがす。
布団を剥がしたその先に、人の股間で蹲る長い黒髪に金髪のメッシュが特徴的な少女が一人。少女が何をしようとしているのかを察した瞬間、醒めようとしていた眠気がどっと押し寄せてきた。
「……またかお前」
「いーじゃん、眠気覚ましのお・そ・う・じ」
「要らねーんだが」
俺が今何をされているか。色々と面倒なものに引っかかる気がするので詳しくは話せないが、俺の大事な息子が白日の下に晒されていた。
ズボン、そしてパンツという二つの防波堤を破壊され、空気中に晒された俺の息子。カーテンからの溢れ日に当てられ、赤身の部分が綺麗に輝いていた。これがアニメとかでよく見る、謎の白い光の正体だったのかと改めて思い知らされる。
「……とりあえず、ズボン履いてもいいか」
「やーだー! まだ舐めるんだもーん!」
「よせよせ、それ以上は映せなくなっちゃうから。色んな意味で大変なことになっちゃうから」
息子にかぶりつこうとする少女を力ずくでどかし、下着とズボンを履き直す。ベッドから床へ弾き出された少女は床の上で転がりながら駄々を捏ねていたが、相手にするだけ面倒なので無視した。
カーテンをかっ開く。雲一つな青空、今日は晴天かと気分を上げるが、耳に入ってくる怒号や爆音で、その気分は霞となって消えていった。
此処、任務請負機関西支部は中威区西部都心に存在し、中威区史上最悪の治安を誇る闇都市。昼夜問わず紛争や虐殺の火花が飛び散り、安全などという言葉から程遠い世界である。
習慣とは恐ろしいもので、朝から爆音が鳴り響くなどもはや日常と言っても差し支えなく、慣れてしまえば爆音と怒号鳴り止まないクソみたいな所でも二度寝をかませるくらいには、メンタルが鍛えられる場所である。
実際、窓を開いて景色を眺める折、菩薩のような顔を浮かべられるくらいには、心の余裕ができているほどだ。手元に珈琲でもあれば、カップ片手に一口含むくらいのことはできただろう。
「ぶー。まあいーや。早くご飯行こー?」
さっきまで床で転げ回って拗ねていた少女が、口を尖らせながら徐に立ち上がり、部屋を出て行こうとドアへと向かう。素早く奴の背中を取り、肩を鷲掴んだ。
「その前に装備しろ装備。色々丸出しだから」
正直、言いたくなかった。できるなら最後の最後まで無視したかった。でもできるわけもない。やっぱり人間たるもの、隠すべきものは隠していないと落ち着かない。
かくいう俺も布団から出る前はズボンとパンツが何故だか強制的に剥がされていたが、コイツの場合は違う。自ら下半身を晒し、股間についているそれを周囲に見せつけているのである。黒髪と金髪のメッシュが特徴的な少女は、無い胸を得意げに張り、股間についているそれを誇張するように揺らして鼻の下を伸ばしていた。
やれやれ、と呟き肩を竦める。
「ボクのイチモツは西支部公式だからね! むしろ朝から拝めると良いことがあるって噂になってるくらいだよ! ボクはこのまま、チ◯ポの巫女になるんだ!」
「やめろ、本職の方に失礼だ。そんな肩書きの巫女、不名誉すぎるだろうが。それにお前、男だろ……」
額に手を当てながら、嫌がる少女に無理矢理パンツを履かせる。
目の前のコイツをずっと少女と言っていたが、それはあくまで外見の話である。無駄な肉付きが全くない、しかしながら太腿あたりに丁度いい贅肉がのった長い脚と、到底男と思えないほどに細いウエスト、美少女と呼ぶには不可欠な、細い腕にしなやかな指。
これだけの特徴を挙げれば女だと思うかもしれないが、彼女、いや彼の腹は割れていた。異性には似つかわしくない腹筋が、これでもかと己の存在を主張しウエストの細さから醸し出される女らしさを掻き消している。
そして彼女を彼と呼ぶに足りる決め手となるのは、彼の股間についているソレだ。
カーテンの隙間からあふれる朝日に照らされ、赤味帯びた部分が美しく輝く肉の棒が、股関から堂々とぶら下がっている。その存在こそが、彼を肉体的に男であると力強く主張していた。
「やだー!! トランクスやだー!! 女物がいいー!!」
「ねーよ、あったとして入りきらねーだろお前のソレは」
「入るよ? 横に折り曲げれば」
「明らか不自然だろ……」
「えー、それがいいんじゃんかー! 結構評判良いんだけどなー……」
「だからこそダメなんだよ、寄ってくる奴ら一々振り切んの大変なんだぞ」
「んー、そうだけどぉ……ジークのトランクスきゅーくつなんだもん……」
口を尖らせそっぽを向く男の子ならぬ男の娘。それを聞いて、俺の中の男の部分とずきりと痛んだ。
男の癖にトランクスを履きたがらないコイツ―――ブリュンヒルトは見た目こそ齢十四、五程度の少女だが、股間についているソレの存在感たるや、並の成人男性を遥かに凌ぐ業物だ。通常時で既にそこらの男の本気モードのサイズと同じかそれ以上なのだから、今年で十八になる俺の立場がない。この支部内には、自分のコイツとの圧倒的サイズ差に興奮する輩が一部いるのだが、俺には全く理解できない境地だ。
俺の生まれ持っている感覚が、何の変哲もない普通の感覚だと信じたい。
「やれやれ……」
苦闘すること数十分、ようやく男らしい服を着てくれたので、これで朝飯にありつける。
どうして起きがけにコイツの世話なんざしなきゃならないのかという気怠さがのしかかるが、毎朝俺の部屋に侵入してくるのだから、起きてから今までの流れを俺がやらないといけないのは必然だろう。全く、本当にやれやれである。
「あら、ジーク。やっと起きたのね。遅いのね!」
部屋から出てきたのも束の間、間髪入れず横槍をこめかみにぶっ刺してくる輩が一人。
気怠げに槍を投げてきた相手へ視線を移すと、ぷかぷかと空中を浮遊する、青白色に塗られたふんわり髪の幼女が腰に手を当て、こちらを睨んでくる。パジャマと似たり寄ったりの服装に、天使の羽をデフォルメ化したかのようなものを背中に生やしたその幼女は、頬を膨らませ、不満げな顔を近づけてきた。
「全くいつまで寝てるのね? だらしない奴なのね!」
「そうは言うがなベル……コイツがまた俺の寝床に潜り込んできたんだぜ? それも裸で」
「仕方ないじゃーん、ボク寝相が悪いんだしぃ?」
「だとしたら寝相が悪いってレベルじゃねーよな、うん」
「はしたない奴らなのね、ヒト族は同性同士でも行為に及ぶのね?」
「ちょっと待てベル、俺をそこらの変態請負人と一緒にすんな。俺は至って正常だ。普通という肩書きを胸に抱く、心清い少年だぞ」
「もう遅いよ、ジークの初めてはボクが全部食べちゃったから」
「悪いが俺の同意がないのでノーカンだ。俺は童貞だと断固として宣言する!」
「その年でドーテーとかダサいよ」
「どっちにしても破廉恥なのね!」
本当、やれやれだ。朝から空中浮遊幼女と年頃の少女にしか見えない男の娘を相手にしなきゃならないのは、何かの拷問だろうか。ラブコメだと両手に花な立ち位置なのに、いざ当事者になると疲労感が半端ない。ラブコメは傍観者だからこそ楽しめるコンテンツなのだと再認識させられる。
「そうだ、お前が馬鹿なこと言ってるから忘れてたのね」
「さりげなく忘れてたの俺のせいにすんな」
「今日で帰ってくるのね。マザー・ギガレックス、ロビーじゃ騒ぎになってるのね。早く支度したほうがいいのね」
本格的に額へ手を当て、天を仰ぐ。俺のせいにすんなと言っていたが、前言撤回。俺も忘れていた。
確か復帰が今日だったか。ただでさえ今の状況でも面倒なのに、輪にかけて面倒な奴が帰ってくる。支部内で友達と言える仲間が少ない現状で、交流のある奴が姿を現してくれるのは嬉しいのだが、どうして俺の周りには問題児しか集まらないのだろうか。類は友を呼ぶっていうことわざがあるが、俺はいたって普通の少年って自負がある。
``この世界``でも、``元いた世界``でも。
「やれやれ……んじゃ、さっさと朝飯食って顔洗って支度して、あのうるせぇ奴を迎えに行くとするか」
さんせー、と言って左腕に抱きついてくる男の娘―――ブリュンヒルト、そして本当トロい奴らなのね、と頰をリスのように膨らませて拗ねる幼女―――ヴェルナー・ハイゼンベルクを右側に携え、今日も今日とて任務前の腹拵えを行うべく食堂へと向かう。
その後、任務請負証から特待受注任務の通知が本部から来るのだが、それは三人で飯を食らいアホな雑談に花を咲かせていた、数十分後の事である。
やれやれ、何かどデカい、それもクッソ面倒なことが起きそうな予感しかしないのだが、何事なく一日が過ぎ去ってほしいという俺のささやかな願いは、当分叶いそうになさそうだ。
カーテンから溢れた日の光。けたたましく鳴り響く目覚まし時計。眠気という名の気怠さを背負い、逃れたくもない布団の魔力から身を引いて、朝食を食べにリビングへと向かう。人によっては朝食を食べずに歯を磨いて顔を洗い、寝巻きを脱ぎ捨て制服もしくはスーツを着、外の世界へいざ出陣する奴もいるだろう。
そう、何のことはない新しい一日の始まり。俺もかつては、そんな一日の始まりに疑念を感じたことは一度たりともなかった。この理不尽極まりない、ファンタジー感もクソもない詐欺紛いな``異世界``に来るまでは―――。
「おはよう、ジーク!」
寝ぼけ眼をこすりながら、掛け布団を引っぺがす。
布団を剥がしたその先に、人の股間で蹲る長い黒髪に金髪のメッシュが特徴的な少女が一人。少女が何をしようとしているのかを察した瞬間、醒めようとしていた眠気がどっと押し寄せてきた。
「……またかお前」
「いーじゃん、眠気覚ましのお・そ・う・じ」
「要らねーんだが」
俺が今何をされているか。色々と面倒なものに引っかかる気がするので詳しくは話せないが、俺の大事な息子が白日の下に晒されていた。
ズボン、そしてパンツという二つの防波堤を破壊され、空気中に晒された俺の息子。カーテンからの溢れ日に当てられ、赤身の部分が綺麗に輝いていた。これがアニメとかでよく見る、謎の白い光の正体だったのかと改めて思い知らされる。
「……とりあえず、ズボン履いてもいいか」
「やーだー! まだ舐めるんだもーん!」
「よせよせ、それ以上は映せなくなっちゃうから。色んな意味で大変なことになっちゃうから」
息子にかぶりつこうとする少女を力ずくでどかし、下着とズボンを履き直す。ベッドから床へ弾き出された少女は床の上で転がりながら駄々を捏ねていたが、相手にするだけ面倒なので無視した。
カーテンをかっ開く。雲一つな青空、今日は晴天かと気分を上げるが、耳に入ってくる怒号や爆音で、その気分は霞となって消えていった。
此処、任務請負機関西支部は中威区西部都心に存在し、中威区史上最悪の治安を誇る闇都市。昼夜問わず紛争や虐殺の火花が飛び散り、安全などという言葉から程遠い世界である。
習慣とは恐ろしいもので、朝から爆音が鳴り響くなどもはや日常と言っても差し支えなく、慣れてしまえば爆音と怒号鳴り止まないクソみたいな所でも二度寝をかませるくらいには、メンタルが鍛えられる場所である。
実際、窓を開いて景色を眺める折、菩薩のような顔を浮かべられるくらいには、心の余裕ができているほどだ。手元に珈琲でもあれば、カップ片手に一口含むくらいのことはできただろう。
「ぶー。まあいーや。早くご飯行こー?」
さっきまで床で転げ回って拗ねていた少女が、口を尖らせながら徐に立ち上がり、部屋を出て行こうとドアへと向かう。素早く奴の背中を取り、肩を鷲掴んだ。
「その前に装備しろ装備。色々丸出しだから」
正直、言いたくなかった。できるなら最後の最後まで無視したかった。でもできるわけもない。やっぱり人間たるもの、隠すべきものは隠していないと落ち着かない。
かくいう俺も布団から出る前はズボンとパンツが何故だか強制的に剥がされていたが、コイツの場合は違う。自ら下半身を晒し、股間についているそれを周囲に見せつけているのである。黒髪と金髪のメッシュが特徴的な少女は、無い胸を得意げに張り、股間についているそれを誇張するように揺らして鼻の下を伸ばしていた。
やれやれ、と呟き肩を竦める。
「ボクのイチモツは西支部公式だからね! むしろ朝から拝めると良いことがあるって噂になってるくらいだよ! ボクはこのまま、チ◯ポの巫女になるんだ!」
「やめろ、本職の方に失礼だ。そんな肩書きの巫女、不名誉すぎるだろうが。それにお前、男だろ……」
額に手を当てながら、嫌がる少女に無理矢理パンツを履かせる。
目の前のコイツをずっと少女と言っていたが、それはあくまで外見の話である。無駄な肉付きが全くない、しかしながら太腿あたりに丁度いい贅肉がのった長い脚と、到底男と思えないほどに細いウエスト、美少女と呼ぶには不可欠な、細い腕にしなやかな指。
これだけの特徴を挙げれば女だと思うかもしれないが、彼女、いや彼の腹は割れていた。異性には似つかわしくない腹筋が、これでもかと己の存在を主張しウエストの細さから醸し出される女らしさを掻き消している。
そして彼女を彼と呼ぶに足りる決め手となるのは、彼の股間についているソレだ。
カーテンの隙間からあふれる朝日に照らされ、赤味帯びた部分が美しく輝く肉の棒が、股関から堂々とぶら下がっている。その存在こそが、彼を肉体的に男であると力強く主張していた。
「やだー!! トランクスやだー!! 女物がいいー!!」
「ねーよ、あったとして入りきらねーだろお前のソレは」
「入るよ? 横に折り曲げれば」
「明らか不自然だろ……」
「えー、それがいいんじゃんかー! 結構評判良いんだけどなー……」
「だからこそダメなんだよ、寄ってくる奴ら一々振り切んの大変なんだぞ」
「んー、そうだけどぉ……ジークのトランクスきゅーくつなんだもん……」
口を尖らせそっぽを向く男の子ならぬ男の娘。それを聞いて、俺の中の男の部分とずきりと痛んだ。
男の癖にトランクスを履きたがらないコイツ―――ブリュンヒルトは見た目こそ齢十四、五程度の少女だが、股間についているソレの存在感たるや、並の成人男性を遥かに凌ぐ業物だ。通常時で既にそこらの男の本気モードのサイズと同じかそれ以上なのだから、今年で十八になる俺の立場がない。この支部内には、自分のコイツとの圧倒的サイズ差に興奮する輩が一部いるのだが、俺には全く理解できない境地だ。
俺の生まれ持っている感覚が、何の変哲もない普通の感覚だと信じたい。
「やれやれ……」
苦闘すること数十分、ようやく男らしい服を着てくれたので、これで朝飯にありつける。
どうして起きがけにコイツの世話なんざしなきゃならないのかという気怠さがのしかかるが、毎朝俺の部屋に侵入してくるのだから、起きてから今までの流れを俺がやらないといけないのは必然だろう。全く、本当にやれやれである。
「あら、ジーク。やっと起きたのね。遅いのね!」
部屋から出てきたのも束の間、間髪入れず横槍をこめかみにぶっ刺してくる輩が一人。
気怠げに槍を投げてきた相手へ視線を移すと、ぷかぷかと空中を浮遊する、青白色に塗られたふんわり髪の幼女が腰に手を当て、こちらを睨んでくる。パジャマと似たり寄ったりの服装に、天使の羽をデフォルメ化したかのようなものを背中に生やしたその幼女は、頬を膨らませ、不満げな顔を近づけてきた。
「全くいつまで寝てるのね? だらしない奴なのね!」
「そうは言うがなベル……コイツがまた俺の寝床に潜り込んできたんだぜ? それも裸で」
「仕方ないじゃーん、ボク寝相が悪いんだしぃ?」
「だとしたら寝相が悪いってレベルじゃねーよな、うん」
「はしたない奴らなのね、ヒト族は同性同士でも行為に及ぶのね?」
「ちょっと待てベル、俺をそこらの変態請負人と一緒にすんな。俺は至って正常だ。普通という肩書きを胸に抱く、心清い少年だぞ」
「もう遅いよ、ジークの初めてはボクが全部食べちゃったから」
「悪いが俺の同意がないのでノーカンだ。俺は童貞だと断固として宣言する!」
「その年でドーテーとかダサいよ」
「どっちにしても破廉恥なのね!」
本当、やれやれだ。朝から空中浮遊幼女と年頃の少女にしか見えない男の娘を相手にしなきゃならないのは、何かの拷問だろうか。ラブコメだと両手に花な立ち位置なのに、いざ当事者になると疲労感が半端ない。ラブコメは傍観者だからこそ楽しめるコンテンツなのだと再認識させられる。
「そうだ、お前が馬鹿なこと言ってるから忘れてたのね」
「さりげなく忘れてたの俺のせいにすんな」
「今日で帰ってくるのね。マザー・ギガレックス、ロビーじゃ騒ぎになってるのね。早く支度したほうがいいのね」
本格的に額へ手を当て、天を仰ぐ。俺のせいにすんなと言っていたが、前言撤回。俺も忘れていた。
確か復帰が今日だったか。ただでさえ今の状況でも面倒なのに、輪にかけて面倒な奴が帰ってくる。支部内で友達と言える仲間が少ない現状で、交流のある奴が姿を現してくれるのは嬉しいのだが、どうして俺の周りには問題児しか集まらないのだろうか。類は友を呼ぶっていうことわざがあるが、俺はいたって普通の少年って自負がある。
``この世界``でも、``元いた世界``でも。
「やれやれ……んじゃ、さっさと朝飯食って顔洗って支度して、あのうるせぇ奴を迎えに行くとするか」
さんせー、と言って左腕に抱きついてくる男の娘―――ブリュンヒルト、そして本当トロい奴らなのね、と頰をリスのように膨らませて拗ねる幼女―――ヴェルナー・ハイゼンベルクを右側に携え、今日も今日とて任務前の腹拵えを行うべく食堂へと向かう。
その後、任務請負証から特待受注任務の通知が本部から来るのだが、それは三人で飯を食らいアホな雑談に花を咲かせていた、数十分後の事である。
やれやれ、何かどデカい、それもクッソ面倒なことが起きそうな予感しかしないのだが、何事なく一日が過ぎ去ってほしいという俺のささやかな願いは、当分叶いそうになさそうだ。
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