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抗争東支部編
地下迷宮籠城戦 ~対セレスエリア~
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「お……お前は一体……?」
「絶賛隠居中の請負人ですよ。それより、アフターヌーンティーでもいかがです? どうせ暇ですし」
白いテーブルと椅子とセットで情景と一体化している、見た目だけは華麗な紳士―――セレス・アルス・クオンは、粗大ゴミの山の如く積まれた人々を眺めながら、ダージリンティーを口に含んだ。
紅茶を飲んで和むにはあまりに景観が悲惨だが、彼が気にする様子はない。襲いかかってきたであろう最後の一人を尻目に、アップルパイを呑気に食べている始末である。男が困惑するのも無理からぬ話であった。
「な、何してる!? 何故殺さない!?」
「はい?」
「これは戦争だぞ!! なのにお前……なんでそんな呑気なんだ!?」
片手にダージリンティーが入ったカップを持ち、どこから持ってきたのか、アップルパイやらパンケーキが載った皿に、汚れ一つない白いテーブルと椅子。まるで雲ひとつない昼下がり、貴族が自分の私室から庭を眺めながら、領地経営に勤しんでいるかのような、セレスの周りだけ異様な平和的風景が展開されている。
周囲は平穏とは程遠い、気絶した人の山が積まれている地獄絵面だというのに、セレスの表情はどこまでも希薄であった。
「やることも一通り終えましたし、新手が来るまで暇でも潰そうかと」
「いや、おま、いや、えぇ……?」
最後に残された一人は、もはや意味が分からず、首を傾げるばかりだ。
小規模とはいえ、曲がりなりにも支配権を賭けた戦争だというのに、セレスからは全くと言っていいほど緊張感が伝わらない。戦いを舐めているのかと言われても、反論できないぐらいだ。
「別に貴方を殺しても構わないのですが、仙獄觀音から無駄な殺生を禁じられておりましてね。戦意もありませんし、このまま放置しておいてもいいかなぁと」
「お、俺ならまだ……!」
「おやりになるのですか? 残念です……せっかく貴方の分もお注ぎしましたのに」
冗談などではなく本当に残念そうな表情で、もう一つのカップを片付ける。そして明らかに、身体から滲み出る霊力の密度が増した。
「い、いややっぱりやめとこう!! い、いいいい命あっての物種って言うだろ!?」
セレスが発したほんの僅かな霊圧に怖気付き、速攻で戦意が挫かれた男。腰が抜け、待って待ってと言わんばかりに手を振る。
「別に殺しはしませんよ。敵意をもって向かってくるというなら、貴方もそこに積まれた山の一部になっていただくまでのことです」
しかし男の警戒は解けなかった。むしろその顔色は恐怖によって塗りつぶされる。
セレスの表情から垣間見える不気味なほどの無関心が、より恐怖心を強く駆り立ててくるのだ。
男は直感で理解した。目の前の紳士にとって自分の命など、そこらの砂塵に等しいほど無価値なものであるのだと。ギャングに入っているだけあって、己の死線を直感できるだけ、まだこの男はただの捨て駒の中でも賢明な方であった。
「ったくよ、派手にやったよな。オレらの出る幕なかったじゃん」
「ほんとだよ、ボクのち◯こが真価を発揮できなくて萎んじゃったじゃないか!」
「あー暇だ。とりあえずウンコでもすっか。おいそこのお前、紙持ってねぇか紙。ケツ拭く紙がねぇんだよ」
二足歩行の蛙、裸エプロンを着た壮年、天使の翼を羽ばたかせる子熊。それぞれ外見はぬいぐるみにしか見えないのだが、男は目の前の現実に絶句する。それもまた当然だろう。人の言葉を話すぬいぐるみなど、人の常識の埒外なのだから。
男はもう考えるのをやめた。今起きている現実すら噛みしめるのも放棄し、自分の保身のことだけに執心する。何をするか、否、何もしない。無条件降伏を彼らに示すことが保身への近道だと悟ったのだ。
「暇ならば、別のエリアに行けばよろしいのでは」
「しゃーねぇだろ。オレらは使い魔扱いで、戦力として扱われてねぇんだからよ」
両手を頭に組み、暇そうに地面に座り込むカエル。思い思いの態度でエリアに居座る彼らに、セレスは呆れ気味に嘆息する。
カエルたちは、ぬいぐるみのような風貌から護海竜愛たちからは戦力外と認識されていた。正しく言い直すなら、現状存在自体が無視されている。
使い魔はあくまで請負人を補助するための生物にすぎないというのが、武市における通説である以上、彼女たちの対応はなんら間違っていないのだが、彼らの正体を知るセレスにとって、このエリアに放っておくにはもったいない戦力なのだ。
彼女たちに進言してみようかと一瞬考えたが、おそらく理解されない。仙獄觀音ですらカエルたちの実力を測れていなかったため、説得は不可能と判断した結果だ。元より、面倒で説得する気があまりなかったというのが本音なのだが。
「全く……私は絶賛休職中だというのに、何が嬉しくて上司の顔を拝まなくてはならないのですか……」
「そういうことは上司のいねぇ所で言うもんだぜ」
「それだとただの陰口になっちゃうじゃないですか。私は面と向かって言う派なんですよ、苦情というのはね」
「格上の俺らに対して一切臆さないその態度。時が経てど相変わらずだな、お前は」
超絶真剣な声音で話すも頭からパンツを被っている姿が全てを台無しにしているミキティウスの言葉に、セレスは鼻で笑って返す。
セレスにとって、彼ら―――澄連との出会いは初対面ではなく再会であった。時は昨日の会議終了直後に遡る。
イラの地下迷宮案が採用され、早速地下迷宮作成に取りかかることになり、会議は一旦終了となった。
レク・ホーランとブルー・ペグランタン、御玲などの、不死身でない組はイラとエルシアに連れられて地下迷宮の天井の耐久度の相談に、彼ら以外の不死身組はフリージアに連れられて東支部のフロアの一部を貸してもらえることとなった。
澄男はフリージアに案内されて執務室を後にしたが、彼らとともに執務室から己を殺すように抜け出したセレス・アルス・クオンの歩む先に、一匹の蛙が立ちはだかる。
「よう。久しぶりじゃあねぇか、元気にしてたか」
筋肉のない二本の足で仁王立つ二頭身の蛙のぬいぐるみ―――カエル総隊長は、湿った足音を小さく響かせながら、セレスにゆっくりと近づいた。
「ええ、息災でしたよ。それより、なんなんですかそのお姿は? 無期限休暇中の身、私に関わらなければ別段知りたくもないのですが」
「ちと事情ができちまってな。ツラァ貸せねぇか?」
「お断りしたいところですが、上官の命令には逆らえませんからね……よろしいでしょう。ただし、可能なら一対一を希望しますよ」
「それは無理な相談だ。澄男に知られるのは面倒なんでな」
「なら黙っておくようにお伝えください」
「将官だろうと関係ねぇその物言い……相変わらずタール便みてぇだなセレス」
「貴方のその排泄物で例える感情表現、まだ直っていなかったのですね。分かりにくいんですよね、それ」
廊下の角から姿を現した、一対の真っ白な翼をはやして空中を浮遊する子熊のぬいぐるみ―――ナージ。腕を組み、偉そうにセレスを見上げる。続いて小学生低学年くらいの男の子―――ミキティウスと裸エプロンを着たオッサン―――シャルも出てきて、彼らも見た目二十代の紳士を見上げた。
ぬいぐるみ三匹が貴族風の男を見上げるというシュールな絵面が無音で敢行される中で、シャルの股間からはみ出ている猥褻物から目を逸らすように吹き抜けとなっている窓へ向き直り、そこから見える太陽を虚しく見つめた。
「私の部屋はこのビルの最上階。おもてなしはしませんよ」
太陽に全責任を押し付けたかったのか。虚しくため息をつき、空に浮かぶ太陽を恨めしく一瞥すると、先導してエレベータに乗る。
エレベータ内ではお互い無言を貫いていたが、エレベータを降り、廊下を歩き、部屋に着くや否や、カエルは私室の主の断りを待つことなく、中央に置いてある高級そうなソファに勢い良く座り込んだ。
「相変わらずキザな趣味してるよな、お前の部屋」
「貴方の部屋が汚すぎるんですよ。奥様が嘆いていらっしゃいましたよ」
「しゃーねぇだろ、このナリだ。どうしても湿るんだよ」
「もうそのソファも使えませんね。結構お高くつきましたのに」
セレスもカエルの向かい側に座ると、自分の分とカエル、そしてミキティウス、シャル、ナージの分のアフターヌーンティーをこしらえる。
その手際は鮮やかで、一切の無駄がない。一つ一つの所作に優雅さが溢れていたが、それに反応する者は誰一人としていなかった。
「それで、改めて聞きます。なんですか、そのお姿は」
セレスは優雅に足を組み、ティーカップを片手にアフターヌーンティーを一口含む。
外見が二十代くらいの紳士が、紅茶を嗜みながらぬいぐるみに話しかける絵面は中々シュールだが、目の前に置かれたアフターヌーンティーを一気飲みしたカエルは、足をテーブルに乗り出して片肘を膝に置く。湿り気のある汚い足音が耳障りにもセレスの私室に響いた。
「あくのだいまおうの旦那と親分からの命でな。人間界に長期滞在することになっちまったわけよ」
「なるほど。そのお姿はそのための。確かにぬいぐるみならば、貴方方を脅威と感じる者はいないでしょうね。力もほとんど制限されているようですし」
「やりにくいったらありゃあしねぇが、仕方ねぇ。俺たちが本来の姿のままだと、今の人間どもなんざ一瞬で死に絶えちまうからな」
ミキティウスたちもアフターヌーンティーを口に含みながら、静かに首を縦に振る。
「我らが主……``蛮勇の魔王``の命で、そのお姿でこの人間界に滞在していることは理解しました。ならば、あくのだいまおう……というのは?」
セレスの何気ない発言に、カエルやミキティウスたちの雰囲気が変わった。
ほくそ笑んでいるような、無知を憐れむような、そんな渇いた微笑み。重く粘ついた雰囲気を感じとり、セレスは一瞬だけ眉を顰めるが、すぐに目を丸くしてティーカップを少し震わせる。
「まさか……?」
執務室を支配する重い空気に溶け込んでいくのと同時、カエルは鼻で笑い、おかわりしてもらったティーカップを机に置いた。
「``終焉の魔王``……と言えば、誰かはもう分かるだろ?」
セレスは暫し凍りつくが、何かに思い立ったようにアフターヌーンティーのおかわりを素早く作り上げる。しかしその手際はさっきまでの優雅さはそこになく、ただ己を落ち着かせるためだけに作っているかのように荒々しい。
「……最悪、休暇どころではなくなる……やもしれませんか」
かもな、とソファにもたれかかるカエル。湿った音が虚しく鳴り響くが、誰もそれを気にしたりはしない。お通夜のような空気が部屋の中に横たわった。
「それと……だ。お前にとって、これは最悪の知らせかもしらん」
「ほう。魔王様方が、この人間界に関わろうとしている以上のことが」
「別にそれに関しちゃ悪い知らせじゃねぇさ。俺たちは平和的に人間たちと関わりたいだけでね」
「まあ気持ちはわかりますよ。今のままでは怖がられるだけですものね。それで?」
「聞いて驚くなよ。大昔、俺らの街をぶっ潰そうとしたオーバーセンチピードの特異個体がいたろ?」
刹那、セレスの顔が一瞬でこわばった。部屋中の家具がポルターガイストにいたずらでもされているかのように激しく動き出す。彼を中心にしっとりとした、しかしながら冷淡で濃密な霊圧が、部屋の空気を満たしていく。
「ソイツ、復活してるみてえなんよ」
「馬鹿な!!」
勢いよく机を叩き、その場で立ち上がる。衝撃でティーカップは床に落ちて割れ、豪奢なテーブルには蜘蛛の巣状の罅が入ったが、彼がそれを気にする様子は全くない。むしろ彼の表情からは、完全に血の気が引いていたのだ。
まるで生きた心地がしていないような絶望的な顔色を浮かべ、新しく棚からティーカップを取り出し、テーブルに置く。置いた勢いで、ティーカップの皿が虚しく割れた。
「ありえない!! アレは、あの化け物は……フィラユーラ様の巫女殿に封じられたはず!! そう簡単に解かれるような代物ではありませんよ!!」
「つっても現に解けてるしなぁ……それに今や二十年も生きてねぇメスガキに使役されてる始末だぜ?」
「……使役? 使役ですって? 御冗談を!! あの破壊の権化にして、私どもを貪り食い荒らした、あの化け物が人間の小娘如きに使役されるなどありえません!! 何かの間違いでは!?」
「弱体化してて全盛期の頃みてぇな力はない。だが今はブルー・ペグランタンっつーガキに仕えて大人しくしてるみてぇでな。こっちから手を出さなきゃ争いにはならねぇだろう」
「信じられません……あの最果ての怪物が、人間の……それも己より弱い存在に使役されるなどと……」
カエルによって告げられる淡々とした言葉に、セレスの血の気はどんどん薄くなっていく。そこに紳士らしさは既になく、絶望に沈むうつ病患者のように、額から脂汗が大量に吹き出していた。
「ブルー……ペグランタンというのは、今日の会議に参加していた……ポンチョを着た少女でしたよね? 確か``百足使い``の……」
「ああ、そうだ」
「``百足使い``など、ただ百足を彷彿とさせる鞭のような武器を使うことに因んだ二つ名だとばかり思っていましたが……しかし、どうやって使役したのか……」
「詳しくは分からんが……あのメスガキと百足はなにかしらの繋がりで結びついてるようだぜ。意思疎通が可能なんだよ」
「い、意思疎通!? 食べます壊します殺しますと怨嗟のように吐き散らしていた印象しかないのですが!?」
「それも分からん。多分なんかあったんだろうが、真実はメスガキと百足のみぞ知る……ってとこだろうな」
執務室の空気は暗い。まるで友人の誰かが死んだかのような、お通夜の空気に近い。重苦しい雰囲気のせいか、執務室の部屋に差し込む太陽光が、心なしか弱くなるが、それを気にする者は誰一人としていなかった。
「休暇中のお前を動かすのは忍びねぇとは思ってる。だが状況は変わった。場合によっては動く必要があることだけは、理解しといてくれ」
「魔王が動いたのです。仕方ありますまい。必要ならば動きますが、私は膝に……」
「ああ、矢を受けてるんだったな。必要なら、旦那に解いてもらえばいいさ」
「私としては休暇を楽しみたい身、そんな事態には陥ってほしくないのですが……まあ、死地は慣れております。舞えというなら、臓腑の雨を降らせしょう」
悪いな、とカエルは申し訳なさげに苦笑いを浮かべるが、「全ては上官の意のままに」と深々と一礼したセレス。
そこからしばらく他愛ない話をミキティウスとともに花を咲かせていたが、澄男に怪しまれるからとあてがわれた部屋へ帰るカエルたち見送った。
記憶の戸棚をそっと閉め、目の前の現実に意識を戻す。
かつて忌み嫌っていたその化け物の全体像を頭に思い浮かべると、紳士らしくなく無造作に、髪を前から後ろへたくしあげた。
「今回の敵は、大したことないですからねぇ……殺す前提なら、あの百足一匹で事足りましたし」
ほんの少し恨めしそうに、かの百足を何度も脳裏によぎらせる。
あの生物は本来、現代人類の文明では手に負えない破格の生物。被害も人道も度外視で事を済ませるなら、あの百足に攻撃指令を出すだけで、敵軍など一秒足らずで殲滅可能だ。
その場合、敵軍は死体すら残らず、東支部周辺都市もろとも壊滅するが、一応任務は達成される。
「とはいえ殲滅できても、東支部の平定を考えるなら、足りませんがね」
我関せずと言わんばかりに、意気揚々とダージリンティーを啜る。
正直に言うなら、戦いが始まる数日前から、この戦いの裏には気付いていた。
おそらく敵の目的は、この戦いで東支部の主力が出張っている隙を見計らい、東支部の請負人を皆殺しにして支配権を奪還する作戦が本命だろう。
数日前から数多の請負人に紛れ込んでいた敵意には気付いてはいた。だが、彼女たちには報告していない。この問題は、今の人類が解決するべき事案だからだ。
「良いのかよ? このままじゃお前、裏切りもんだぜ」
あくどく笑うカエルだが、セレスは視線を交わすことなく鼻であしらう。
「それで私を追い出すなら、それもまた一興。隠居さえできれば、場所に頓着などしませんので」
かつてより、護海竜愛たちに自立しろと体で教えてきた。
東支部が暴閥勢力から解放されて当初、護海竜愛との仲は一時戦いになるほどに険悪だった。むしろ東支部に所属する、奴隷階級にあった全ての女性請負人から敵視されていたが、この世界は弱肉強食。仙獄觀音という強者に寄生するだけの弱者など長くは生きられない。ただ死ぬまでの時間が無駄に長引くだけで、後に東支部を牽引していくこととなる仙獄觀音の障害となってしまう。
護海竜愛と戦いになったあのときも、体でその事実を叩きこみ、ねじ伏せ、認めさせた。この世界の摂理を。この世界の不平等さを。この世界の理不尽さを。
不平等を嘆き、理不尽に絶望し、否定したいなら強くなれ。甘えるな。気に食わぬ道理は己の力でねじ伏せよ―――今回もまた、子供を崖から突き落とす精神で見守るつもりでいる。
「はてさて、みなさん。どうしますかね」
傍観者は嫌われる。その自覚こそあったが、だからといって手を貸すつもりはない。嫌うなら嫌えばいいし、嫌われることに今更痛みも痒みも感じない。
だからいつも怪しまれ疎まれるのだろうなと思いつつ、セレスはテーブルの上に置いてあったパンケーキに蜂蜜を垂らし、その一欠片を口に入れたのだった。
「絶賛隠居中の請負人ですよ。それより、アフターヌーンティーでもいかがです? どうせ暇ですし」
白いテーブルと椅子とセットで情景と一体化している、見た目だけは華麗な紳士―――セレス・アルス・クオンは、粗大ゴミの山の如く積まれた人々を眺めながら、ダージリンティーを口に含んだ。
紅茶を飲んで和むにはあまりに景観が悲惨だが、彼が気にする様子はない。襲いかかってきたであろう最後の一人を尻目に、アップルパイを呑気に食べている始末である。男が困惑するのも無理からぬ話であった。
「な、何してる!? 何故殺さない!?」
「はい?」
「これは戦争だぞ!! なのにお前……なんでそんな呑気なんだ!?」
片手にダージリンティーが入ったカップを持ち、どこから持ってきたのか、アップルパイやらパンケーキが載った皿に、汚れ一つない白いテーブルと椅子。まるで雲ひとつない昼下がり、貴族が自分の私室から庭を眺めながら、領地経営に勤しんでいるかのような、セレスの周りだけ異様な平和的風景が展開されている。
周囲は平穏とは程遠い、気絶した人の山が積まれている地獄絵面だというのに、セレスの表情はどこまでも希薄であった。
「やることも一通り終えましたし、新手が来るまで暇でも潰そうかと」
「いや、おま、いや、えぇ……?」
最後に残された一人は、もはや意味が分からず、首を傾げるばかりだ。
小規模とはいえ、曲がりなりにも支配権を賭けた戦争だというのに、セレスからは全くと言っていいほど緊張感が伝わらない。戦いを舐めているのかと言われても、反論できないぐらいだ。
「別に貴方を殺しても構わないのですが、仙獄觀音から無駄な殺生を禁じられておりましてね。戦意もありませんし、このまま放置しておいてもいいかなぁと」
「お、俺ならまだ……!」
「おやりになるのですか? 残念です……せっかく貴方の分もお注ぎしましたのに」
冗談などではなく本当に残念そうな表情で、もう一つのカップを片付ける。そして明らかに、身体から滲み出る霊力の密度が増した。
「い、いややっぱりやめとこう!! い、いいいい命あっての物種って言うだろ!?」
セレスが発したほんの僅かな霊圧に怖気付き、速攻で戦意が挫かれた男。腰が抜け、待って待ってと言わんばかりに手を振る。
「別に殺しはしませんよ。敵意をもって向かってくるというなら、貴方もそこに積まれた山の一部になっていただくまでのことです」
しかし男の警戒は解けなかった。むしろその顔色は恐怖によって塗りつぶされる。
セレスの表情から垣間見える不気味なほどの無関心が、より恐怖心を強く駆り立ててくるのだ。
男は直感で理解した。目の前の紳士にとって自分の命など、そこらの砂塵に等しいほど無価値なものであるのだと。ギャングに入っているだけあって、己の死線を直感できるだけ、まだこの男はただの捨て駒の中でも賢明な方であった。
「ったくよ、派手にやったよな。オレらの出る幕なかったじゃん」
「ほんとだよ、ボクのち◯こが真価を発揮できなくて萎んじゃったじゃないか!」
「あー暇だ。とりあえずウンコでもすっか。おいそこのお前、紙持ってねぇか紙。ケツ拭く紙がねぇんだよ」
二足歩行の蛙、裸エプロンを着た壮年、天使の翼を羽ばたかせる子熊。それぞれ外見はぬいぐるみにしか見えないのだが、男は目の前の現実に絶句する。それもまた当然だろう。人の言葉を話すぬいぐるみなど、人の常識の埒外なのだから。
男はもう考えるのをやめた。今起きている現実すら噛みしめるのも放棄し、自分の保身のことだけに執心する。何をするか、否、何もしない。無条件降伏を彼らに示すことが保身への近道だと悟ったのだ。
「暇ならば、別のエリアに行けばよろしいのでは」
「しゃーねぇだろ。オレらは使い魔扱いで、戦力として扱われてねぇんだからよ」
両手を頭に組み、暇そうに地面に座り込むカエル。思い思いの態度でエリアに居座る彼らに、セレスは呆れ気味に嘆息する。
カエルたちは、ぬいぐるみのような風貌から護海竜愛たちからは戦力外と認識されていた。正しく言い直すなら、現状存在自体が無視されている。
使い魔はあくまで請負人を補助するための生物にすぎないというのが、武市における通説である以上、彼女たちの対応はなんら間違っていないのだが、彼らの正体を知るセレスにとって、このエリアに放っておくにはもったいない戦力なのだ。
彼女たちに進言してみようかと一瞬考えたが、おそらく理解されない。仙獄觀音ですらカエルたちの実力を測れていなかったため、説得は不可能と判断した結果だ。元より、面倒で説得する気があまりなかったというのが本音なのだが。
「全く……私は絶賛休職中だというのに、何が嬉しくて上司の顔を拝まなくてはならないのですか……」
「そういうことは上司のいねぇ所で言うもんだぜ」
「それだとただの陰口になっちゃうじゃないですか。私は面と向かって言う派なんですよ、苦情というのはね」
「格上の俺らに対して一切臆さないその態度。時が経てど相変わらずだな、お前は」
超絶真剣な声音で話すも頭からパンツを被っている姿が全てを台無しにしているミキティウスの言葉に、セレスは鼻で笑って返す。
セレスにとって、彼ら―――澄連との出会いは初対面ではなく再会であった。時は昨日の会議終了直後に遡る。
イラの地下迷宮案が採用され、早速地下迷宮作成に取りかかることになり、会議は一旦終了となった。
レク・ホーランとブルー・ペグランタン、御玲などの、不死身でない組はイラとエルシアに連れられて地下迷宮の天井の耐久度の相談に、彼ら以外の不死身組はフリージアに連れられて東支部のフロアの一部を貸してもらえることとなった。
澄男はフリージアに案内されて執務室を後にしたが、彼らとともに執務室から己を殺すように抜け出したセレス・アルス・クオンの歩む先に、一匹の蛙が立ちはだかる。
「よう。久しぶりじゃあねぇか、元気にしてたか」
筋肉のない二本の足で仁王立つ二頭身の蛙のぬいぐるみ―――カエル総隊長は、湿った足音を小さく響かせながら、セレスにゆっくりと近づいた。
「ええ、息災でしたよ。それより、なんなんですかそのお姿は? 無期限休暇中の身、私に関わらなければ別段知りたくもないのですが」
「ちと事情ができちまってな。ツラァ貸せねぇか?」
「お断りしたいところですが、上官の命令には逆らえませんからね……よろしいでしょう。ただし、可能なら一対一を希望しますよ」
「それは無理な相談だ。澄男に知られるのは面倒なんでな」
「なら黙っておくようにお伝えください」
「将官だろうと関係ねぇその物言い……相変わらずタール便みてぇだなセレス」
「貴方のその排泄物で例える感情表現、まだ直っていなかったのですね。分かりにくいんですよね、それ」
廊下の角から姿を現した、一対の真っ白な翼をはやして空中を浮遊する子熊のぬいぐるみ―――ナージ。腕を組み、偉そうにセレスを見上げる。続いて小学生低学年くらいの男の子―――ミキティウスと裸エプロンを着たオッサン―――シャルも出てきて、彼らも見た目二十代の紳士を見上げた。
ぬいぐるみ三匹が貴族風の男を見上げるというシュールな絵面が無音で敢行される中で、シャルの股間からはみ出ている猥褻物から目を逸らすように吹き抜けとなっている窓へ向き直り、そこから見える太陽を虚しく見つめた。
「私の部屋はこのビルの最上階。おもてなしはしませんよ」
太陽に全責任を押し付けたかったのか。虚しくため息をつき、空に浮かぶ太陽を恨めしく一瞥すると、先導してエレベータに乗る。
エレベータ内ではお互い無言を貫いていたが、エレベータを降り、廊下を歩き、部屋に着くや否や、カエルは私室の主の断りを待つことなく、中央に置いてある高級そうなソファに勢い良く座り込んだ。
「相変わらずキザな趣味してるよな、お前の部屋」
「貴方の部屋が汚すぎるんですよ。奥様が嘆いていらっしゃいましたよ」
「しゃーねぇだろ、このナリだ。どうしても湿るんだよ」
「もうそのソファも使えませんね。結構お高くつきましたのに」
セレスもカエルの向かい側に座ると、自分の分とカエル、そしてミキティウス、シャル、ナージの分のアフターヌーンティーをこしらえる。
その手際は鮮やかで、一切の無駄がない。一つ一つの所作に優雅さが溢れていたが、それに反応する者は誰一人としていなかった。
「それで、改めて聞きます。なんですか、そのお姿は」
セレスは優雅に足を組み、ティーカップを片手にアフターヌーンティーを一口含む。
外見が二十代くらいの紳士が、紅茶を嗜みながらぬいぐるみに話しかける絵面は中々シュールだが、目の前に置かれたアフターヌーンティーを一気飲みしたカエルは、足をテーブルに乗り出して片肘を膝に置く。湿り気のある汚い足音が耳障りにもセレスの私室に響いた。
「あくのだいまおうの旦那と親分からの命でな。人間界に長期滞在することになっちまったわけよ」
「なるほど。そのお姿はそのための。確かにぬいぐるみならば、貴方方を脅威と感じる者はいないでしょうね。力もほとんど制限されているようですし」
「やりにくいったらありゃあしねぇが、仕方ねぇ。俺たちが本来の姿のままだと、今の人間どもなんざ一瞬で死に絶えちまうからな」
ミキティウスたちもアフターヌーンティーを口に含みながら、静かに首を縦に振る。
「我らが主……``蛮勇の魔王``の命で、そのお姿でこの人間界に滞在していることは理解しました。ならば、あくのだいまおう……というのは?」
セレスの何気ない発言に、カエルやミキティウスたちの雰囲気が変わった。
ほくそ笑んでいるような、無知を憐れむような、そんな渇いた微笑み。重く粘ついた雰囲気を感じとり、セレスは一瞬だけ眉を顰めるが、すぐに目を丸くしてティーカップを少し震わせる。
「まさか……?」
執務室を支配する重い空気に溶け込んでいくのと同時、カエルは鼻で笑い、おかわりしてもらったティーカップを机に置いた。
「``終焉の魔王``……と言えば、誰かはもう分かるだろ?」
セレスは暫し凍りつくが、何かに思い立ったようにアフターヌーンティーのおかわりを素早く作り上げる。しかしその手際はさっきまでの優雅さはそこになく、ただ己を落ち着かせるためだけに作っているかのように荒々しい。
「……最悪、休暇どころではなくなる……やもしれませんか」
かもな、とソファにもたれかかるカエル。湿った音が虚しく鳴り響くが、誰もそれを気にしたりはしない。お通夜のような空気が部屋の中に横たわった。
「それと……だ。お前にとって、これは最悪の知らせかもしらん」
「ほう。魔王様方が、この人間界に関わろうとしている以上のことが」
「別にそれに関しちゃ悪い知らせじゃねぇさ。俺たちは平和的に人間たちと関わりたいだけでね」
「まあ気持ちはわかりますよ。今のままでは怖がられるだけですものね。それで?」
「聞いて驚くなよ。大昔、俺らの街をぶっ潰そうとしたオーバーセンチピードの特異個体がいたろ?」
刹那、セレスの顔が一瞬でこわばった。部屋中の家具がポルターガイストにいたずらでもされているかのように激しく動き出す。彼を中心にしっとりとした、しかしながら冷淡で濃密な霊圧が、部屋の空気を満たしていく。
「ソイツ、復活してるみてえなんよ」
「馬鹿な!!」
勢いよく机を叩き、その場で立ち上がる。衝撃でティーカップは床に落ちて割れ、豪奢なテーブルには蜘蛛の巣状の罅が入ったが、彼がそれを気にする様子は全くない。むしろ彼の表情からは、完全に血の気が引いていたのだ。
まるで生きた心地がしていないような絶望的な顔色を浮かべ、新しく棚からティーカップを取り出し、テーブルに置く。置いた勢いで、ティーカップの皿が虚しく割れた。
「ありえない!! アレは、あの化け物は……フィラユーラ様の巫女殿に封じられたはず!! そう簡単に解かれるような代物ではありませんよ!!」
「つっても現に解けてるしなぁ……それに今や二十年も生きてねぇメスガキに使役されてる始末だぜ?」
「……使役? 使役ですって? 御冗談を!! あの破壊の権化にして、私どもを貪り食い荒らした、あの化け物が人間の小娘如きに使役されるなどありえません!! 何かの間違いでは!?」
「弱体化してて全盛期の頃みてぇな力はない。だが今はブルー・ペグランタンっつーガキに仕えて大人しくしてるみてぇでな。こっちから手を出さなきゃ争いにはならねぇだろう」
「信じられません……あの最果ての怪物が、人間の……それも己より弱い存在に使役されるなどと……」
カエルによって告げられる淡々とした言葉に、セレスの血の気はどんどん薄くなっていく。そこに紳士らしさは既になく、絶望に沈むうつ病患者のように、額から脂汗が大量に吹き出していた。
「ブルー……ペグランタンというのは、今日の会議に参加していた……ポンチョを着た少女でしたよね? 確か``百足使い``の……」
「ああ、そうだ」
「``百足使い``など、ただ百足を彷彿とさせる鞭のような武器を使うことに因んだ二つ名だとばかり思っていましたが……しかし、どうやって使役したのか……」
「詳しくは分からんが……あのメスガキと百足はなにかしらの繋がりで結びついてるようだぜ。意思疎通が可能なんだよ」
「い、意思疎通!? 食べます壊します殺しますと怨嗟のように吐き散らしていた印象しかないのですが!?」
「それも分からん。多分なんかあったんだろうが、真実はメスガキと百足のみぞ知る……ってとこだろうな」
執務室の空気は暗い。まるで友人の誰かが死んだかのような、お通夜の空気に近い。重苦しい雰囲気のせいか、執務室の部屋に差し込む太陽光が、心なしか弱くなるが、それを気にする者は誰一人としていなかった。
「休暇中のお前を動かすのは忍びねぇとは思ってる。だが状況は変わった。場合によっては動く必要があることだけは、理解しといてくれ」
「魔王が動いたのです。仕方ありますまい。必要ならば動きますが、私は膝に……」
「ああ、矢を受けてるんだったな。必要なら、旦那に解いてもらえばいいさ」
「私としては休暇を楽しみたい身、そんな事態には陥ってほしくないのですが……まあ、死地は慣れております。舞えというなら、臓腑の雨を降らせしょう」
悪いな、とカエルは申し訳なさげに苦笑いを浮かべるが、「全ては上官の意のままに」と深々と一礼したセレス。
そこからしばらく他愛ない話をミキティウスとともに花を咲かせていたが、澄男に怪しまれるからとあてがわれた部屋へ帰るカエルたち見送った。
記憶の戸棚をそっと閉め、目の前の現実に意識を戻す。
かつて忌み嫌っていたその化け物の全体像を頭に思い浮かべると、紳士らしくなく無造作に、髪を前から後ろへたくしあげた。
「今回の敵は、大したことないですからねぇ……殺す前提なら、あの百足一匹で事足りましたし」
ほんの少し恨めしそうに、かの百足を何度も脳裏によぎらせる。
あの生物は本来、現代人類の文明では手に負えない破格の生物。被害も人道も度外視で事を済ませるなら、あの百足に攻撃指令を出すだけで、敵軍など一秒足らずで殲滅可能だ。
その場合、敵軍は死体すら残らず、東支部周辺都市もろとも壊滅するが、一応任務は達成される。
「とはいえ殲滅できても、東支部の平定を考えるなら、足りませんがね」
我関せずと言わんばかりに、意気揚々とダージリンティーを啜る。
正直に言うなら、戦いが始まる数日前から、この戦いの裏には気付いていた。
おそらく敵の目的は、この戦いで東支部の主力が出張っている隙を見計らい、東支部の請負人を皆殺しにして支配権を奪還する作戦が本命だろう。
数日前から数多の請負人に紛れ込んでいた敵意には気付いてはいた。だが、彼女たちには報告していない。この問題は、今の人類が解決するべき事案だからだ。
「良いのかよ? このままじゃお前、裏切りもんだぜ」
あくどく笑うカエルだが、セレスは視線を交わすことなく鼻であしらう。
「それで私を追い出すなら、それもまた一興。隠居さえできれば、場所に頓着などしませんので」
かつてより、護海竜愛たちに自立しろと体で教えてきた。
東支部が暴閥勢力から解放されて当初、護海竜愛との仲は一時戦いになるほどに険悪だった。むしろ東支部に所属する、奴隷階級にあった全ての女性請負人から敵視されていたが、この世界は弱肉強食。仙獄觀音という強者に寄生するだけの弱者など長くは生きられない。ただ死ぬまでの時間が無駄に長引くだけで、後に東支部を牽引していくこととなる仙獄觀音の障害となってしまう。
護海竜愛と戦いになったあのときも、体でその事実を叩きこみ、ねじ伏せ、認めさせた。この世界の摂理を。この世界の不平等さを。この世界の理不尽さを。
不平等を嘆き、理不尽に絶望し、否定したいなら強くなれ。甘えるな。気に食わぬ道理は己の力でねじ伏せよ―――今回もまた、子供を崖から突き落とす精神で見守るつもりでいる。
「はてさて、みなさん。どうしますかね」
傍観者は嫌われる。その自覚こそあったが、だからといって手を貸すつもりはない。嫌うなら嫌えばいいし、嫌われることに今更痛みも痒みも感じない。
だからいつも怪しまれ疎まれるのだろうなと思いつつ、セレスはテーブルの上に置いてあったパンケーキに蜂蜜を垂らし、その一欠片を口に入れたのだった。
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