15 / 51
かわいいひと
しおりを挟む
「無理っ、ほんと、お願……っ! じょおむっ」
イきっぱなしが辛くて涙目でお願いすると、謙一さんの動きがゆるゆるとしたものになる。
「あっ、は、……ぁ、……」
まだナカがうねってる。しばらくすると、ほんの少しだけ波が引いた。心地良くて、でも強い倦怠感。ふ、ふ、と浅く呼吸をしながら息を整えた。
「は、はぁっ、……も、……ばか、ほんとに死ぬとこ、ぁんっ、だったんですからね……っ」
ゆるゆると動く謙一さんの動きに、軽く喘ぎながら文句をつけてみる──あ、「ばか」とか言っちゃった。
けど謙一さんは嬉しそうだ。
「そんな可愛い涙目で怒られてもなぁ……」
謙一さんは私の目尻にあっただろう涙を指で拭うと、楽しげに笑った。
唇を、謙一さんの親指がつうと撫でる。
解すようにしながら、唇と歯列を割って入ってきた親指を、目線に促されながらぺろぺろと舐める。
……人の指を舐めるのも、初めてだ。
謙一さんの真似をして、ちゅうちゅう、と太い親指に吸い付く。
他の指は、私の頬を撫でて──謙一さんは満足気に微笑んだ。
その笑顔に見惚れた次の瞬間に、くちゅ、と音をたてて謙一さんが私から出て行く。指も、──ナカ、からも。
「ぇ」
「本当に可愛いんだから困る、……俺は理性的な方だと思っていたんだがな」
くるりとうつ伏せにされて、後ろから抱きしめられた。背中にキスが何度も落ちる。うなじを甘噛みして、ぐいと腰を持ち上げられた。
「ひゃ」
「麻衣」
名前を呼ばれると同時に、ぐちゅん! と謙一さんの屹立が入ってくる。
「ぁあんっ」
「声……っ、可愛すぎる。俺を殺す気なのか」
思わず漏れた声、って感じだった。頬が熱い。きゅん、ってナカが締まった。
「……っ、きつ、……麻衣、力、抜いて」
背中をゆるゆると謙一さんの手が撫でる。
同時に緩やかな律動を始めながら、謙一さんが苦笑している気配がする。
「そんなに締めると、イってしまう、から」
「……は、ぁっ、むり、ですっ……!」
ナカがぴくん、ぴくん、って痙攣していた。シーツを握りしめる。
「気持ち、ぃ、……っ、じょおむっ、気持ちい、の」
頭がくらくらする。
(な、んでこんなに気持ちいい、の?)
身体の相性? 謙一さんが上手?
それもあるのかも、だけれど──私、私は──愛されて、るのが分かる。必要とされて、身体を繋げているのが謙一さんの身体中から伝わってきて。
(大事にされるセックスって、こんなふう、なの……?)
セックスって、男の人の性欲発散なのだと思っていた。……女性だって、それなりに気持ちいいけれど、でもそんなものだって。
枕に顔を埋めて、泣きながら私は感じている。緩やかな抽送が、気持ち良くて気持ち良くて──!
「け、んいち、さんっ」
私は喘ぎながら言う。
「おねが、いっ、ぁんっ、一緒に、一緒に、イきたい」
謙一さんの顔は見えない。
ぎゅっと抱きしめられて、耳元でただ名前を呼ばれる。
「麻衣、──麻衣。愛してる」
低くて掠れた声。
同時に激しくなる抽送。淫らすぎる水音と、肌と肌がぶつかる音。
「ぁ、ぁあっ、やっ、イく、イっちゃう……っ」
「……っ、俺、も──麻衣、っ」
「ぁああ……っ!」
目の前がちかちかして、真っ白になった。脳味噌がスパークして溶けたんじゃないかなってくらいに。
蕩けてきゅうきゅうしてるナカで、謙一さんが薄い皮膜越しに吐き出しているのがわかる。ぴくん、って、何度も。
謙一さんの、堪えるように吐き出す低い息。
それが、妙に愛おしくて。
全部吐き出すように腰を何度か緩く動かして、ずるりと私のナカから謙一さんは出て行く。
私はとろん、と目を閉じて──半ば眠っている。
じきに、ころんと横向きにされて温かな何かに包まれる。謙一さんの体温。なんども繰り返される、触れるだけのキス。
「愛してる、麻衣。本当に──俺の、かわいいひと」
ぎゅ、と腕に閉じ込められて、それでもキスは止まない。頭やこめかみに繰り返されるキスを感じながら、私は眠気に身を任せた。
イきっぱなしが辛くて涙目でお願いすると、謙一さんの動きがゆるゆるとしたものになる。
「あっ、は、……ぁ、……」
まだナカがうねってる。しばらくすると、ほんの少しだけ波が引いた。心地良くて、でも強い倦怠感。ふ、ふ、と浅く呼吸をしながら息を整えた。
「は、はぁっ、……も、……ばか、ほんとに死ぬとこ、ぁんっ、だったんですからね……っ」
ゆるゆると動く謙一さんの動きに、軽く喘ぎながら文句をつけてみる──あ、「ばか」とか言っちゃった。
けど謙一さんは嬉しそうだ。
「そんな可愛い涙目で怒られてもなぁ……」
謙一さんは私の目尻にあっただろう涙を指で拭うと、楽しげに笑った。
唇を、謙一さんの親指がつうと撫でる。
解すようにしながら、唇と歯列を割って入ってきた親指を、目線に促されながらぺろぺろと舐める。
……人の指を舐めるのも、初めてだ。
謙一さんの真似をして、ちゅうちゅう、と太い親指に吸い付く。
他の指は、私の頬を撫でて──謙一さんは満足気に微笑んだ。
その笑顔に見惚れた次の瞬間に、くちゅ、と音をたてて謙一さんが私から出て行く。指も、──ナカ、からも。
「ぇ」
「本当に可愛いんだから困る、……俺は理性的な方だと思っていたんだがな」
くるりとうつ伏せにされて、後ろから抱きしめられた。背中にキスが何度も落ちる。うなじを甘噛みして、ぐいと腰を持ち上げられた。
「ひゃ」
「麻衣」
名前を呼ばれると同時に、ぐちゅん! と謙一さんの屹立が入ってくる。
「ぁあんっ」
「声……っ、可愛すぎる。俺を殺す気なのか」
思わず漏れた声、って感じだった。頬が熱い。きゅん、ってナカが締まった。
「……っ、きつ、……麻衣、力、抜いて」
背中をゆるゆると謙一さんの手が撫でる。
同時に緩やかな律動を始めながら、謙一さんが苦笑している気配がする。
「そんなに締めると、イってしまう、から」
「……は、ぁっ、むり、ですっ……!」
ナカがぴくん、ぴくん、って痙攣していた。シーツを握りしめる。
「気持ち、ぃ、……っ、じょおむっ、気持ちい、の」
頭がくらくらする。
(な、んでこんなに気持ちいい、の?)
身体の相性? 謙一さんが上手?
それもあるのかも、だけれど──私、私は──愛されて、るのが分かる。必要とされて、身体を繋げているのが謙一さんの身体中から伝わってきて。
(大事にされるセックスって、こんなふう、なの……?)
セックスって、男の人の性欲発散なのだと思っていた。……女性だって、それなりに気持ちいいけれど、でもそんなものだって。
枕に顔を埋めて、泣きながら私は感じている。緩やかな抽送が、気持ち良くて気持ち良くて──!
「け、んいち、さんっ」
私は喘ぎながら言う。
「おねが、いっ、ぁんっ、一緒に、一緒に、イきたい」
謙一さんの顔は見えない。
ぎゅっと抱きしめられて、耳元でただ名前を呼ばれる。
「麻衣、──麻衣。愛してる」
低くて掠れた声。
同時に激しくなる抽送。淫らすぎる水音と、肌と肌がぶつかる音。
「ぁ、ぁあっ、やっ、イく、イっちゃう……っ」
「……っ、俺、も──麻衣、っ」
「ぁああ……っ!」
目の前がちかちかして、真っ白になった。脳味噌がスパークして溶けたんじゃないかなってくらいに。
蕩けてきゅうきゅうしてるナカで、謙一さんが薄い皮膜越しに吐き出しているのがわかる。ぴくん、って、何度も。
謙一さんの、堪えるように吐き出す低い息。
それが、妙に愛おしくて。
全部吐き出すように腰を何度か緩く動かして、ずるりと私のナカから謙一さんは出て行く。
私はとろん、と目を閉じて──半ば眠っている。
じきに、ころんと横向きにされて温かな何かに包まれる。謙一さんの体温。なんども繰り返される、触れるだけのキス。
「愛してる、麻衣。本当に──俺の、かわいいひと」
ぎゅ、と腕に閉じ込められて、それでもキスは止まない。頭やこめかみに繰り返されるキスを感じながら、私は眠気に身を任せた。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
2,576
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる