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番外編
【番外編SS】みんなで(中)
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予定通りの到着時刻、お昼前。
長崎空港を出ると、新婚ほやほやの康平さん夫妻が待っていてくれた。
「めんそーれ長崎っ」
「凪、それは沖縄なのでは」
康平さんの奥さん、ほわほわした雰囲気が可愛い凪子さんの冗談(?)に修平さんが真面目に返した。
2人は幼馴染らしくて、仲がいい。
もちろん康平さんとも幼馴染なわけで、幼馴染で結婚ってちょっとドラマみたい。
ふわふわして少し天然さんの凪子さんと、キリッとした雰囲気の康平さんはよくお似合いだと思う。
「……あれ、4人ともお疲れですね? 飛行機揺れました?」
きょとん顔の凪子さんに、4人──大人たちは曖昧に笑った。
もう大騒ぎしようとする2歳児ともうすぐ2歳児を、なんとか宥めて誤魔化してご機嫌を保つのに、今日1日分のエネルギーを使い切った気がする。
ふと、康平さんの視線に気がつく。興味津々(?)な顔で、自らの姪っ子甥っ子を凝視して──ふたりはさっと自分のパパたちにしがみついた。
凪子さんが破顔する。
「ほら、康ちゃん怖がられてる~」
「……兄貴たちと顔の怖さは同じくらいじゃないか」
「笑ってみたら?」
康平さんの笑顔に、子供たちは目線をささっと逸らす。康平さんは思い切りしゅんとして(ちょっと意外だった!)「……レンタカー案内する……」と肩を落とした。
康平さんちの車に亮平さん一家が同乗して、運転好きな修平さんがレンタカーを借りることになっていた。
「とりあえず、行きましょうか~!」
凪子さんが楽しげに言う。
今日泊まるのは、佐世保市内にあるテーマパーク内のホテル。もうランチもそこでしてしまう予定だ。
大量の荷物だけれど、車にさえ乗ってしまえばこっちのものです。レンタルしたのは少し大きめのミニバン。
ふう、と息をつく。
車に乗った途端に、レンタルしたチャイルドシートのなかで、美雨はスヤスヤと眠ってしまった。
「ああ、もう、飛行機で寝てくれていたら……」
まぁ楽しみだったみたいだし、仕方ない。奏太くんとはしゃぎっぱなし、かと思えばご機嫌がナナメになったりと、本人も疲れたのだと思う。
「気圧が変わるのが嫌だったのかもな」
修平さんが言って、バックミラーでちらりと美雨を見て口元を緩めた。
そして、赤信号で止まったときに振り返って、言う。
「美保」
「はい?」
「横に来ないか」
「?」
修平さんは少しだけ、照れたように言う。
「景色のいい道を通るみたいだから」
私はぱちぱち、と数度まばたき。
えーと、ええと、これって。……なんというか、ドライブデートのお誘い、みたいな感じ……なんでしょうか?
美雨はスヤスヤ夢の中。
私はシートベルトを外して、助手席へ移動した。運転席と助手席の間があいてて、移動できるかんじの車だったのです。
座ってシートベルトをつけたあたりで、信号が青になる。
「あ、そういえば」
私は修平さんを見上げた。どきりとする。もう時々しか、助手席に乗らないから──運転してる修平さん見るのが久しぶりすぎて、ドキドキ。
「? どうした」
「いっ、いえっ」
私はぽうと火照る頬を軽く手で冷やしながら続ける。
「さっき、荷物ありがとうございました」
「荷物?」
「あの、結局たくさん持たせて」
「ああ」
修平さんがほんのすこし、頬を緩める。
「俺の方が力があるんだから」
「でも……せめてなにかお礼させてくださいね?」
「礼?」
少し考えるように眉間を寄せた修平さんが、軽く首を傾げた。
「……なんでもいいのか?」
「あの、えっと、私にできることですよ? 今度、ご飯を煮込みハンバーグにするとか」
まぁ修平さんが食べたいならいつでも作りたいんだけれど……と、また信号で止まる。
「キスしてくれ」
「……!?」
唐突に思える提案に、私は照れてたのも忘れて修平さんを見つめた。
「き、キス?」
うむ、って感じで修平さんは頷いて、私に顔を近づける。
「な、なんで」
「ご褒美なんだろう」
「そうですけどっ」
そんなことでいいのかな?
意味もなく、視線をウロウロと──。
戸惑っている間に、顎をくっと上げられて、触れるだけのキスをされた。
「……っ」
「なぜきみはいちいち可愛いんだろうな」
そう言って、優しく頬を撫でられて──また修平さんは前を見て、アクセルを踏む。
「これ……、お礼になってます?」
真っ赤になりつつも、修平さんをちらりと横目で見ると、とてもご機嫌な様子で返された。
「なっている」
「……です、か」
私は頬を両手で抑えた。
ああもう、なんでいまだに……こんなことに照れちゃうしドキドキしちゃうんだろう!?
(しゅ、修平さんがかっこいいのが悪いよ……)
他の人はどうなんだろ、とふと思う。
(今日、2人に聞いてみようかな)
紬さんと、凪子さん。
ふたりはどんなふうなんだろ?
やっぱりまだドキドキとか、してたりするのかなぁ……。
長崎空港を出ると、新婚ほやほやの康平さん夫妻が待っていてくれた。
「めんそーれ長崎っ」
「凪、それは沖縄なのでは」
康平さんの奥さん、ほわほわした雰囲気が可愛い凪子さんの冗談(?)に修平さんが真面目に返した。
2人は幼馴染らしくて、仲がいい。
もちろん康平さんとも幼馴染なわけで、幼馴染で結婚ってちょっとドラマみたい。
ふわふわして少し天然さんの凪子さんと、キリッとした雰囲気の康平さんはよくお似合いだと思う。
「……あれ、4人ともお疲れですね? 飛行機揺れました?」
きょとん顔の凪子さんに、4人──大人たちは曖昧に笑った。
もう大騒ぎしようとする2歳児ともうすぐ2歳児を、なんとか宥めて誤魔化してご機嫌を保つのに、今日1日分のエネルギーを使い切った気がする。
ふと、康平さんの視線に気がつく。興味津々(?)な顔で、自らの姪っ子甥っ子を凝視して──ふたりはさっと自分のパパたちにしがみついた。
凪子さんが破顔する。
「ほら、康ちゃん怖がられてる~」
「……兄貴たちと顔の怖さは同じくらいじゃないか」
「笑ってみたら?」
康平さんの笑顔に、子供たちは目線をささっと逸らす。康平さんは思い切りしゅんとして(ちょっと意外だった!)「……レンタカー案内する……」と肩を落とした。
康平さんちの車に亮平さん一家が同乗して、運転好きな修平さんがレンタカーを借りることになっていた。
「とりあえず、行きましょうか~!」
凪子さんが楽しげに言う。
今日泊まるのは、佐世保市内にあるテーマパーク内のホテル。もうランチもそこでしてしまう予定だ。
大量の荷物だけれど、車にさえ乗ってしまえばこっちのものです。レンタルしたのは少し大きめのミニバン。
ふう、と息をつく。
車に乗った途端に、レンタルしたチャイルドシートのなかで、美雨はスヤスヤと眠ってしまった。
「ああ、もう、飛行機で寝てくれていたら……」
まぁ楽しみだったみたいだし、仕方ない。奏太くんとはしゃぎっぱなし、かと思えばご機嫌がナナメになったりと、本人も疲れたのだと思う。
「気圧が変わるのが嫌だったのかもな」
修平さんが言って、バックミラーでちらりと美雨を見て口元を緩めた。
そして、赤信号で止まったときに振り返って、言う。
「美保」
「はい?」
「横に来ないか」
「?」
修平さんは少しだけ、照れたように言う。
「景色のいい道を通るみたいだから」
私はぱちぱち、と数度まばたき。
えーと、ええと、これって。……なんというか、ドライブデートのお誘い、みたいな感じ……なんでしょうか?
美雨はスヤスヤ夢の中。
私はシートベルトを外して、助手席へ移動した。運転席と助手席の間があいてて、移動できるかんじの車だったのです。
座ってシートベルトをつけたあたりで、信号が青になる。
「あ、そういえば」
私は修平さんを見上げた。どきりとする。もう時々しか、助手席に乗らないから──運転してる修平さん見るのが久しぶりすぎて、ドキドキ。
「? どうした」
「いっ、いえっ」
私はぽうと火照る頬を軽く手で冷やしながら続ける。
「さっき、荷物ありがとうございました」
「荷物?」
「あの、結局たくさん持たせて」
「ああ」
修平さんがほんのすこし、頬を緩める。
「俺の方が力があるんだから」
「でも……せめてなにかお礼させてくださいね?」
「礼?」
少し考えるように眉間を寄せた修平さんが、軽く首を傾げた。
「……なんでもいいのか?」
「あの、えっと、私にできることですよ? 今度、ご飯を煮込みハンバーグにするとか」
まぁ修平さんが食べたいならいつでも作りたいんだけれど……と、また信号で止まる。
「キスしてくれ」
「……!?」
唐突に思える提案に、私は照れてたのも忘れて修平さんを見つめた。
「き、キス?」
うむ、って感じで修平さんは頷いて、私に顔を近づける。
「な、なんで」
「ご褒美なんだろう」
「そうですけどっ」
そんなことでいいのかな?
意味もなく、視線をウロウロと──。
戸惑っている間に、顎をくっと上げられて、触れるだけのキスをされた。
「……っ」
「なぜきみはいちいち可愛いんだろうな」
そう言って、優しく頬を撫でられて──また修平さんは前を見て、アクセルを踏む。
「これ……、お礼になってます?」
真っ赤になりつつも、修平さんをちらりと横目で見ると、とてもご機嫌な様子で返された。
「なっている」
「……です、か」
私は頬を両手で抑えた。
ああもう、なんでいまだに……こんなことに照れちゃうしドキドキしちゃうんだろう!?
(しゅ、修平さんがかっこいいのが悪いよ……)
他の人はどうなんだろ、とふと思う。
(今日、2人に聞いてみようかな)
紬さんと、凪子さん。
ふたりはどんなふうなんだろ?
やっぱりまだドキドキとか、してたりするのかなぁ……。
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