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【番外編】新婚旅行(上)(桔平視点)

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 水上ヴィラから見える、常夏の空。ぼんやりとそこから視線を外し、腕の中ですやすや眠る亜沙姫さんを見つめる。
 新婚旅行、パラオの空の下。
 両開きの木製ドアの先にはテラスが続いている。その先には何も見えない。ただひらすらに大海原と眩しい空が続くだけ。
 透明なコバルトの波が、常夏の陽射しを反射しながら、ちゃぷちゃぷと眠くなる音を立てる。
 亜沙姫さんは天蓋のついたキングサイズのベッドの上、一糸纏わずぐっすり眠っている。まだ起きそうにない。──昨夜、ずいぶん無理をさせたから。
 そうっと額にキスを落とす。
 亜沙姫さんの薄い目蓋が、ぴくりと動いた。やがて、ぼんやりと長い睫毛を震わせながら彼女は目を覚ます。

「──起こしてしまいましたか」
「ん……半分おきかけてたの……」

 まだ半分ほど眠りの中にいる亜沙姫さんは、舌足らずな口調で答える。
 ふと愛おしさに突き動かされて、首筋に顔を埋めた。

「も、う」

 亜沙姫さんが身体を捩る。構わず、昨夜の情事の痕が赤く散る白い首筋をペロリと舐め、軽く噛んだ。

「ん……っ、ご飯食べようよ」
「まだ時間ありますから」

 答えながら、亜沙姫さんを組み敷く。唇に噛みつくようにキスをして、口内を舐めあげていく。亜沙姫さんが弱い上顎を舌で擦り上げると、思った通り亜沙姫さんの身体から力が抜ける。

「ふ……ぁ」

 唇を離すと、亜沙姫さんから甘い、少し鼻にかかった声が漏れる。
 そんな声はずるい。胸を突き上げるような愛おしさをもう逃せば良いのか分からなくて、ただ鎖骨をやわやわと噛んだ。

「ん」

 亜沙姫さんがピクリと腰を揺らす。そっと手を伸ばすと、昨夜のお互いの残滓で、まだそこはトロリと蕩けていて。
 ぷくりと主張している肉芽を、そっと剥く。亜沙姫さんから溢れていた柔らかな水でヌルヌルとそこを刺激した。

「や……ぁ、っ!」

 亜沙姫さんの爪先が小さく宙を蹴る。

「そこ、ダメっ、も、声……出ちゃう」
「隣とは離れてますから大丈夫ですよ」

 海上ヴィラはお互いのプライベートのためか、かなりの距離をとって建てられていた。
 普通の会話程度なら、まず聞こえないだろう。

「絶対聞こえるよう……」
「じゃあちょっと我慢ですね」

 昨夜のことを思い出して、すでに勃っている屹立に更に血が通う感覚を覚える。
 夜だから、響くから──と、必死で声を我慢する亜沙姫さんはものすごくエロかった。

「……は、ぁっ、……て、いうかっ」

 亜沙姫さんはイヤイヤと首を振る。

「もう明るいよう、あっ、ダメっ、見られちゃうっ」

 大きな掃き出し窓にはカーテンがない。
 けれどそれは、その先は海しかないからだ。俺は薄く笑って──指を亜沙姫さんのナカに挿し入れた。

「ダメ、ですか?」

 指を動かさずに聞いてみる。
 ──亜沙姫さんはよく、俺が女性を苛める趣味があると俺に言うけれど。
 断じてそんな趣味はない。

(ただ、まぁ──)

 くちゅ、と僅かに指を動かす。亜沙姫さんのナカがキュッと締まり、奥に導くように蠕動する。

(亜沙姫さんを苛める趣味はあるのかもしれない)

 そう思いながら、意図的に少しだけ眉を下げた。最近気がついたけれど、亜沙姫さんはこういう顔に弱い。
 亜沙姫さんはきゅうと眉を寄せて唇を噛む。血色の良い頬が、更に赤らむ。

「っ、……すこし、なら?」
「嬉しいです」

 頬にキスを落とすと、亜沙姫さんは軽く目を閉じた。

「目、開けてください」

 綺麗な瞳が見ていたい。目尻にキスを落とすと、亜沙姫さんはおずおずと目を開いた──ので、その瞬間を逃さずに、ナカの亜沙姫さんが感じるトコロを指ですかさずに刺激する。
 お腹側の、すこしだけザラついたソコ。
 ぐちゅんぐちゅん、と亜沙姫さんから溢れ出す淫らすぎる水音。見開かれた美しい瞳。

「ぁ、ぁあ……っ!」
「声出てますよ」
「あっ、いやぁっ、んん……っ!」

 両手で口を押さえて、亜沙姫さんはくぐもった嬌声を上げ続ける。ぴくぴくと蕩け、震えるナカ。熱くて仕方ない。愛おしくて仕方ない。薄い腹、臍の横に唇を落として吸い付いた。

(──出来て、いるだろうか)

 亜沙姫さんはピルを辞めた。
 子供をつくろう、という話になって──もちろん授かりものだけれど。
 ちゅ、ちゅ、と腹にキスを繰り返す。
 孕んで欲しいと思うのは、子供を作ろうと決めたせいなのだろうか、それとも本能的なものなのだろうか?
 ひとつ分かっているのは、この感情のほとんどが──独占欲に基づくものだという、その一点だけだ。
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