65 / 75
幻聴
しおりを挟む
イってる私の頭を宥めるように桔平くんは撫でる。ふわふわ、やわやわ。
(あ、……きもちい)
大事にされてるみたいだ。まるで一歩も外に出たことのない、箱入りの猫ちゃんみたい。
やわやわ、ふわふわ。
桔平くんの、少しごつごつしたおっきな手。それが私の頭を撫で、髪を梳き、耳朶を摘んで優しく耳殻に触れる。
心地良くて、またやんわりと目を閉じるとカチャリと眼鏡を外された。
「ん……」
「亜沙姫さん、寝ないでください」
私が寝ちゃいそうになっていたことに気がついた桔平くんが、ぐちゅりという淫らな音とともに奥をぐっと突かれた。
「ぁ、ぁあっ、……んっ」
ソコは突かれるとダメなとこで、あっという間に意識が覚醒していく。
「ゃっ、ダメっ」
目を見開くけれど、視力を失った世界はぼんやりしてて……どこか夢の中にいるみたい。甘い靄の中、桔平くんに抱きしめられてただ強引に快楽を与えられる。
「ぁ、ぁあっ」
ナカがわななくように蠢く。そうして桔平くんのをきゅんと締め付けて、……いちばん奥が、柔らかく──桔平くんのを強請って。
「は、ぁ、……っ、来ちゃう……」
絶頂の予感に、シーツを握りしめて──そこで、桔平くんは動きを止めてしまう。
「ぇ、っ、桔平くん」
イけなかったナカが、文句を言うように桔平くんのを締め付けた。
なんで、なんで、イかせてくれないの。
そんな風に。
桔平くんは無言で私をくるんとうつ伏せにしてしまう。そうしてのしかかるようにして、激しく抽送を始めた。
「ぁ、ぁあっ、あっ、やぁっ、激し、……っ!」
枕に顔を押し付けるようにして、ガツガツと貪られる。その動きで、弾けるように全身が痺れるような快楽に包まれる。
「ぁあっ、ぁっ、はぁ……っ!」
もはや言葉なんか出ない。あうあうとみっともなく喘ぎながら、私はお預けされてた絶頂に頭の中まで蕩けそう。涙が勝手に出てくる。
「と、まって、おねが、イくの、キツぃ、よぉっ……」
イっているのに突き上げられる。気持ちよさで頭がおかしくなりそう。息が苦しい。苦しいのに、気持ちいい。
「やめて欲しかったら、その可愛い声を止めてください」
余裕ぶろうとしてる、そんな声に感じた。掠れて、息が荒くて、……胸がきゅんとする。
するけれど、そんな桔平くん以上に、私には余裕がない。
「ぁうっ、そんな、されてたらぁっ、止められないっ」
ぐちゅぐちゅとナカを擦って、突いて、苛めて弄って、桔平くんに何度もイかされて──ナカで桔平くんのがびくびくと吐き出してるのを、半分どこかにいってる意識で感じた。
「は、……っ」
桔平くんの低い声。
気持ちよさそうで、嬉しい。目を閉じてその声を聞く。
(あー……)
身体に力が入らない。イかされすぎた……。今日は色々あって、疲れてるのもあっただろうけれど。
それにしたって、桔平くん元気だよなぁ……。
「亜沙姫、さん?」
私から出て行きながら、桔平くんは耳元でそう私の名前を呼ぶ。
「……」
返事をしたかったけれど、どうにも出てこない。心地よい、温かな泥のような眠気。
くぅ、と寝息のような声が出た。
桔平くんが小さく笑う、そんな気配。
布団が擦れる音がして、桔平くんが布団に潜り込む。
ぴっ、というリモコンを操作する音と一緒に目蓋の向こうで電気が消えたのが分かった。
それから静かに、抱きしめなおされた。丁寧に触れてくる指先からは、起こさないように、という気遣いが感じられる。
(もしかして、毎日こんな感じなのかな?)
起きたら抱きしめられてるような、そんな毎日なのだけれど……そっかぁ。
胸がじんわりあったかくなる。同時にドキドキした。
してるのに、──私の身体はやっぱりもう限界なんだろう。目蓋はちっとも動かない。
微睡にじわじわと飲み込まれて──すぅ、という自分の寝息が聞こえて、少しだけ意識が浮上した。
(あ、ちょっとだけ夢見てた……)
眠ったのは一瞬だったと思うけれど。
猫怪獣の夢。ビルより大きなプラン二匹が街を暴れ回る。私は必死で猫おやつを振り回して「ほら! ほらおいしいから!」と二匹の気を引こうと必死で街を駆け回るのだ。
(変な夢ぇ……)
少し続きが見たいような気がして、また微睡に身をまかせようとしたとき、ふ、と桔平くんが息を吐き出す。
そうして小さく──小さく、私の名前を呼んだ。
「亜沙姫さん」
そうして、密やかな声で──続けた。
「好きです」
心臓がばくん、と鼓動を大きくする。
(──え?)
なに? いまの。幻聴?
「好きです。──愛してる、亜沙姫」
心臓はばくばくと鼓動を刻むのに忙しい。さすがに目が覚めた。
でも、目は開けられない。
どんな顔をしたらいいのか、わからない。
「亜沙姫」
本当に幸せそうに、桔平くんは言って──やがて、静かな寝息が聞こえてくる。
(……いや、待って待って待って待って)
暗闇のなかでパチリと目を開いて、私はパニックに陥る。
(ええと、あの、幻聴……?)
幻聴というか、夢? 夢かな? 半分寝てたし、……えっと!?
「わ、わかんない……」
さっきの、現実? 夢? 猫怪獣の続きの夢が、いまのなの!?
どっちなの!?
ばくばくする心臓と、熱くてたまらない頬と、なんだか気怠い子宮を抱えて──結局私が寝付けたのは、朝方になってからだったのでした。
(あ、……きもちい)
大事にされてるみたいだ。まるで一歩も外に出たことのない、箱入りの猫ちゃんみたい。
やわやわ、ふわふわ。
桔平くんの、少しごつごつしたおっきな手。それが私の頭を撫で、髪を梳き、耳朶を摘んで優しく耳殻に触れる。
心地良くて、またやんわりと目を閉じるとカチャリと眼鏡を外された。
「ん……」
「亜沙姫さん、寝ないでください」
私が寝ちゃいそうになっていたことに気がついた桔平くんが、ぐちゅりという淫らな音とともに奥をぐっと突かれた。
「ぁ、ぁあっ、……んっ」
ソコは突かれるとダメなとこで、あっという間に意識が覚醒していく。
「ゃっ、ダメっ」
目を見開くけれど、視力を失った世界はぼんやりしてて……どこか夢の中にいるみたい。甘い靄の中、桔平くんに抱きしめられてただ強引に快楽を与えられる。
「ぁ、ぁあっ」
ナカがわななくように蠢く。そうして桔平くんのをきゅんと締め付けて、……いちばん奥が、柔らかく──桔平くんのを強請って。
「は、ぁ、……っ、来ちゃう……」
絶頂の予感に、シーツを握りしめて──そこで、桔平くんは動きを止めてしまう。
「ぇ、っ、桔平くん」
イけなかったナカが、文句を言うように桔平くんのを締め付けた。
なんで、なんで、イかせてくれないの。
そんな風に。
桔平くんは無言で私をくるんとうつ伏せにしてしまう。そうしてのしかかるようにして、激しく抽送を始めた。
「ぁ、ぁあっ、あっ、やぁっ、激し、……っ!」
枕に顔を押し付けるようにして、ガツガツと貪られる。その動きで、弾けるように全身が痺れるような快楽に包まれる。
「ぁあっ、ぁっ、はぁ……っ!」
もはや言葉なんか出ない。あうあうとみっともなく喘ぎながら、私はお預けされてた絶頂に頭の中まで蕩けそう。涙が勝手に出てくる。
「と、まって、おねが、イくの、キツぃ、よぉっ……」
イっているのに突き上げられる。気持ちよさで頭がおかしくなりそう。息が苦しい。苦しいのに、気持ちいい。
「やめて欲しかったら、その可愛い声を止めてください」
余裕ぶろうとしてる、そんな声に感じた。掠れて、息が荒くて、……胸がきゅんとする。
するけれど、そんな桔平くん以上に、私には余裕がない。
「ぁうっ、そんな、されてたらぁっ、止められないっ」
ぐちゅぐちゅとナカを擦って、突いて、苛めて弄って、桔平くんに何度もイかされて──ナカで桔平くんのがびくびくと吐き出してるのを、半分どこかにいってる意識で感じた。
「は、……っ」
桔平くんの低い声。
気持ちよさそうで、嬉しい。目を閉じてその声を聞く。
(あー……)
身体に力が入らない。イかされすぎた……。今日は色々あって、疲れてるのもあっただろうけれど。
それにしたって、桔平くん元気だよなぁ……。
「亜沙姫、さん?」
私から出て行きながら、桔平くんは耳元でそう私の名前を呼ぶ。
「……」
返事をしたかったけれど、どうにも出てこない。心地よい、温かな泥のような眠気。
くぅ、と寝息のような声が出た。
桔平くんが小さく笑う、そんな気配。
布団が擦れる音がして、桔平くんが布団に潜り込む。
ぴっ、というリモコンを操作する音と一緒に目蓋の向こうで電気が消えたのが分かった。
それから静かに、抱きしめなおされた。丁寧に触れてくる指先からは、起こさないように、という気遣いが感じられる。
(もしかして、毎日こんな感じなのかな?)
起きたら抱きしめられてるような、そんな毎日なのだけれど……そっかぁ。
胸がじんわりあったかくなる。同時にドキドキした。
してるのに、──私の身体はやっぱりもう限界なんだろう。目蓋はちっとも動かない。
微睡にじわじわと飲み込まれて──すぅ、という自分の寝息が聞こえて、少しだけ意識が浮上した。
(あ、ちょっとだけ夢見てた……)
眠ったのは一瞬だったと思うけれど。
猫怪獣の夢。ビルより大きなプラン二匹が街を暴れ回る。私は必死で猫おやつを振り回して「ほら! ほらおいしいから!」と二匹の気を引こうと必死で街を駆け回るのだ。
(変な夢ぇ……)
少し続きが見たいような気がして、また微睡に身をまかせようとしたとき、ふ、と桔平くんが息を吐き出す。
そうして小さく──小さく、私の名前を呼んだ。
「亜沙姫さん」
そうして、密やかな声で──続けた。
「好きです」
心臓がばくん、と鼓動を大きくする。
(──え?)
なに? いまの。幻聴?
「好きです。──愛してる、亜沙姫」
心臓はばくばくと鼓動を刻むのに忙しい。さすがに目が覚めた。
でも、目は開けられない。
どんな顔をしたらいいのか、わからない。
「亜沙姫」
本当に幸せそうに、桔平くんは言って──やがて、静かな寝息が聞こえてくる。
(……いや、待って待って待って待って)
暗闇のなかでパチリと目を開いて、私はパニックに陥る。
(ええと、あの、幻聴……?)
幻聴というか、夢? 夢かな? 半分寝てたし、……えっと!?
「わ、わかんない……」
さっきの、現実? 夢? 猫怪獣の続きの夢が、いまのなの!?
どっちなの!?
ばくばくする心臓と、熱くてたまらない頬と、なんだか気怠い子宮を抱えて──結局私が寝付けたのは、朝方になってからだったのでした。
0
お気に入りに追加
2,784
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
エリート自衛官に溺愛されてる…らしいです? もしかして、これって恋ですか?
にしのムラサキ
恋愛
旧題:もしかして、これって恋ですか?〜エリート自衛官に溺愛されてる……らしいです?〜
【書籍化のため本編引き下げしております】
「結婚したいから結婚してくれ」
自分の前では「ボケーっとしてる」幼馴染、康平によく分からないプロポーズをされた凪子。職と恋人を同時に失っていた凪子は、流されるように結婚するけれど。
※※※
ずっと好きだった幼馴染が、やっとフリーになったことを知り勢いでプロポーズした康平。
ボケーっとしてる凪子を、うまいこと丸め込んで結婚したはいいものの、いまいち気持ちは伝わってないみたいで。
凪子の前以外では「きりっ」としてる康平と、だいたいいつもボケーっとしてる凪子の、(無意識?)いちゃらぶラブコメ(予定)。
※「鮫川兄弟シリーズ」次男、康平の話となります。
社長はお隣の幼馴染を溺愛している
椿蛍
恋愛
【改稿】2023.5.13
【初出】2020.9.17
倉地志茉(くらちしま)は両親を交通事故で亡くし、天涯孤独の身の上だった。
そのせいか、厭世的で静かな田舎暮らしに憧れている。
大企業沖重グループの経理課に務め、平和な日々を送っていたのだが、4月から新しい社長が来ると言う。
その社長というのはお隣のお屋敷に住む仁礼木要人(にれきかなめ)だった。
要人の家は大病院を経営しており、要人の両親は貧乏で身寄りのない志茉のことをよく思っていない。
志茉も気づいており、距離を置かなくてはならないと考え、何度か要人の申し出を断っている。
けれど、要人はそう思っておらず、志茉に冷たくされても離れる気はない。
社長となった要人は親会社の宮ノ入グループ会長から、婚約者の女性、扇田愛弓(おおぎだあゆみ)を紹介され―――
★宮ノ入シリーズ第4弾
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる